白書を読んでみよう!

さて、今回の話題は大変お堅い「白書」とはというお話しです。

白書とは、
中央省庁が社会の実態や政府の施策について国民に周知させることを目的に編集する政府刊行物のことで、一般には毎年度発行されています。
白書の種類は、法律に基づき国会に提出するものや、閣議で報告または配布されるものなど公開の手続きが異なっています。
また、気象白書のように、国会や閣議に提出する義務のない通称白書も存在しています。
もとは、イギリス政府の報告書が白い表紙(ホワイトペーパー)を使っていたことから白書と呼ばれるようになりました。
1947年に公表された経済実相報告書(経済白書)は、日本で初めて発行された白書にあたります。
特に1956年に発表された経済白書の副題は、「もはや戦後ではない」との有名なフレーズを残して大きな影響を与えることになりました。

主な白書としては次のようなものが挙げられますが、これを見るだけで国の施策が多岐にわたっていることに驚かされもしてしまいます。
また、特命大臣を多く抱えて裾野の広い仕事を担当している内閣府や、財政的に巨大な厚生労働省の白書の数が目立っているといえます。


【内閣官房】 – 水循環白書
【人事院】 – 公務員白書
【内閣府】 – 経済財政白書、世界経済白書、防災白書、子ども・若者白書、
 食育白書、少子化社会対策白書、高齢社会白書、障害者白書、交通安全
 白書、自殺対策白書、男女共同参画白書、国民生活白書
【公正取引委員会】 – 独占禁止白書
【警察庁】 – 警察白書、犯罪被害者白書
【原子力委員会】 – 原子力白書
【公正取引委員会】 – 独占禁止白書
【消費者庁】 – 消費者白書
【総務省】 – 特例民法法人白書、地方財政白書、情報通信白書
【消防庁】 – 消防白書
【公害等調整委員会】 – 公害紛争処理白書
【法務省】 – 犯罪白書、人権教育・啓発白書、再犯防止推進白書
【出入国在留管理庁】 – 入管白書
【外務省】 – 外交青書、政府開発援助(ODA)白書
【文部科学省】 – 文部科学白書、科学技術白書
【厚生労働省】 – 厚生労働白書、労働経済白書、自殺対策白書、過労死等
 防止対策白書、海外情勢白書、働く女性白書、母子家庭白書
【農林水産省】 – 食料・農業・農村白書、食育白書
【林野庁】 – 森林・林業白書
【水産庁】 – 水産白書
【経済産業省】 – 通商白書、ものづくり白書
【中小企業庁】 – 中小企業白書、小規模企業白書
【資源エネルギー庁】 – エネルギー白書
【国土交通省】 – 国土交通白書、交通政策白書、土地白書、観光白書、水
 資源白書、首都圏白書
【観光庁】 – 観光白書
【気象庁】 – 気象白書
【海上保安庁】 – 海上保安白書
【環境省】 – 環境白書、循環型社会白書、生物多様性白書
【防衛省】 – 防衛白書

このように身近なことから、国の存亡に繋がるかも知れないことまで、国が行っている事務をカテゴリー別にしてまとめて発表されています。
面白いのは外交青書で、イギリス議会で青色の表紙を使っていたため唯一日本では白書ではなく青書という呼び名になっています。

では、私たちが白書を読むことでどういったメリットを享受できるのかを、3つにまとめてみました。

まず1つめは、【政策や社会情勢に詳しくなれる】ということです。
白書はざっくり言うと、政策+社会情勢をまとめたものなので、読むことでこれらに詳しくなれます。
ニュースや新聞でもこれらの情報は参照できますが、白書で読み返すことで内容の確認ができて頭に残りやすくなります。
それだけでなく、白書はグラフとデータを使って、過去から現在までの推移も示してくれるので、より記憶に残りやすいといえるでしょう。

一点注意が必要なのが、白書は制作に時間がかかり過ぎてしまうため、通常前年度の内容について述べているということです。
令和4年度に刊行されるのは令和3年度のデータを使った白書なので、読む際はいつのデータを見ているのかを意識するようにしましょう。

2つめは【リテラシーが上がる】ということです。
リテラシーとは端的に言えば読解能力のことですが、白書という分量の多い文章を読むことでこのリテラシーを向上させることができます。
政府文書みたいなものなので多少難解な表現があったりしますが、基本的には一般向けに作られているので、読みやすく勉強になります。
また、統計データが出てくるのでグラフなどが多く見られるものもあり、グラフの読み取り能力も向上します。
さらに新しいキーワードについても知ることができます。
代表的なのが「IoT」とかですが、これらを知ることであなたのリテラシーは必ず向上するはずです。

3つめは【ニュースや国会中継が面白くなる】ということです。
白書の内容に詳しくなることで政策や社会情勢について詳しくなることから、ニュースや国会中継の内容がよりわかるようになります。
ニュースの場合だと新しいキーワード(例えばIoT)は解説してくれるケースが多いですが、国会中継だと解説なしでどんどん議論が進んでいきます。
キーワードの意味やどんなことに使われているかを事前に知っておけば、国会議員が何を言いたいのかもわかりますし、聞いてて面白いですよね。

以上3つが白書を読むことで、新たに向上するスキルと言えるでしょうし、「風が吹けば桶屋が儲かる」式で将来の日本はこうなっていくのだろうといった想像力が培われ、また、今行われている政策の建前と本音を読み取る洞察力向上にも役立つことでしょう。
そしてなにより、副次的とはいえ頭を使うことでボケ防止にもなります。
皆さんも、一度興味のある題名の白書をご一読いただき、スキルアップに役立ててみては如何でしょうか。

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