宝船と新NISAの夢

さて、今回の話題は「宝船と新NISAの夢」についてのお話です。

2024年となりました。皆さま、あけましておめでとうございます。
正月の縁起物である「宝船」は、七福神を乗せて宝物を積み込んだ帆船のことで、新年をあらわす季語でもあり、その様子を描いた絵や置物などは古く室町時代から親しまれていたと言われています。

七福神(しちふくじん)とは、あらゆるものに富や幸せなどの「福」を授けてくれる神さまで、恵比寿(えびす)、大黒天(だいこくてん)、毘沙門天(びしゃもんてん)、弁財天(べんざいてん)、布袋(ほてい)、福禄寿(ふくろくじゅ)、寿老人(じゅろうじん)の七神を指します。
七福神を信仰すれば、七つの幸福を授けられ、七つの厄災が取り除かれると言い伝えられ、日本では昔から福徳の神として信仰されています。

今回は、正月早々の話題として「宝船」を取り上げてみましたが、いよいよこの1月から「新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)」が始まりました。

普段、皆さんは人生100年時代を迎え、ご自身の家計戦略について、どのように考え、どのような行動をとられていますか?

昨年来、本当にさまざまなメディアに登場し、今年から始まる新NISAの話題で持ちきりの状態になっておりました。
街中の大型書店を覗いてみますと、マネープランのコーナーだけではなく、ライフプランや社会新刊話題書コーナーに至るまで、びっしりと新NISAに関する書籍で埋まっています。
ここ数年、お金に関する書籍や情報が目に見えて多くなってきていましたが、金融機関からの案内メールには、新NISAについてのセミナー案内が引きも切らずに届いています。

特にネット証券は熱心で、売買手数料を無料にしたり、長期投資を想定した「つみたてNISA」では200本前後もの投資信託をそろえるところも出てきました。
この新NISAを始めるためには、新たに専用口座を作る必要がありますが、「NISAの口座は1人につき、1つの金融機関でしか口座を開設できない」ために、顧客の争奪戦になっている感じです。

なぜ、こんなにも加熱した状況になっているのでしょうか?
そこで、新NISAとはどのような制度なのかを、改めて書き出してみたいと思います。
新NISAとは、政府が掲げる資産運用立国に向けた政策の柱の一つとして、「家計の安定的な資産形成」をさらに推し進めていくことを目的に始められました。

そもそものNISAとは「少額投資非課税制度」ともいい、株式や投資信託への投資で得られた利益について、一定の期間非課税とする制度のことです。
本来であれば個人投資家は、一般的に投資で得られた利益に対し20.315%の税金を支払わなければなりません。
しかし、「NISA口座」を利用して一定の金額内で投資すれば、その利益には税金がかからなくなります。
特に、つみたてNISAは少額から投資が可能で、リスクを低減できる投資(長期・積立・分散投資)を支援するための非課税制度で、投資初心者をはじめ幅広い年代の方にとって利用しやすい仕組みとなっています。

そのNISAがさらにバージョンアップして、今月から始まったわけです。
改正された新NISAは、昨年までのNISAと比べてさまざまな点が変更されていますが、要点をまとめてみますと下記のようになります。

新しいNISAのポイント(金融庁公式ホームページより引用)
・非課税保有期間の無期限化
・口座開設期間の恒久化
・つみたて投資枠と、成長投資枠の併用が可能
・年間投資枠の拡大(つみたて投資枠:年間120万円、成長投資枠:年間240万円、合計最大年間360万円まで投資が可能。)
・非課税保有限度額は、全体で1,800万円。(成長投資枠は、1,200万円。また、枠の再利用が可能。)

政府が初めて「貯蓄から投資へ」を政策に掲げたのは2001年のことでした。しかしながら、これまでの日本では、どのような啓蒙活動や制度をもってしても「貯蓄から投資」への流れにはならず、現預金はなお過半を占め、大きく変わることはありませんでした。

やはり、投資にはリスクがつきまとうイメージや、お金の話を表立って行うことに対して、負の固定概念が日本には存在します。
わたし自身も、学校での金融教育を受けた経験もありませんし、その昔に家で聞いた話しでは、「コツコツと貯金をしなさい、けっして借金の保証人になったり、株などのギャンブルには手を出してはいけませんよ」というものでした。
ですので、その意識を覆すような投資には、「石橋を叩いても尚渡らず」の方が多いのだと思います。
また、そんなに余裕資金があるわけではないことも一因かもしれません。

しかしながら、投資はギャンブルではありません。

むしろ、今回、始まったばかりの新NISAは、大盤振る舞いの新制度とも言われていますので、例え専用口座を作られない場合でも、今後の資産形成、資産運用の必要性について改めて考えていただく絶好の機会にはなるのではないでしょうか。

そこで、皆さまに適切な判断をしていただく材料として、金融リテラシーにつながる最新の知識や情報をランダムに書き記してみたいと思います。

○家計の金融資産構成 :金融資産に占める現預金の割合は、日本が54.2%、米国が12.6%、ユーロ圏が35.5%となっている。(日本銀行 資金循環の日米欧比較 2023/8/25)

○日本の家計金融資産は現預金が過半を占め、欧米と比較して有価証券の占める割合が低い。
2000年から2021年末までを見ると、米国・英国ではそれぞれ家計金融資産(現金・預金、債券、 株式等)が3.4倍、2.3倍へと伸びているが、日本では1.4倍の増加にとどまっている。(内閣官房 資産所得倍増に関する基礎資料集 2022/10)

○家計の金融資産は、9月末までの1年間で資産全体の増加額の8割を投資関連の資産が占めた。日米株高や円安を追い風に個人の資産全体が膨らみ、金融資産全体では2,121兆円と過去最高を更新した。(日本経済新聞 2023/12/26)

○2022年度の全国4証券取引所上場会社(調査対象会社数:3,927社)の株主数合計(延べ人数)は、前年度比525万人増加して7,140万人となった。
全体の97.8%を占める個人株主数は、前年度比521万人増の6,982万人となり、9年連続で増加することと なった。(株式分布状況調査 2023/7/6)

○株式投資に限らず投資商品・金融商品に共通する原則として、リスクとリターンは比例する関係にある。・・・投資は、投資家自身の責任で行われる。
株式投資等の資産運用に際しては、様々な種類のリスクがある。(野村證券証券用語解説集)

○インフレはモノの値段が上がることだが、逆に見ればお金の価値が下がるということ。今年1000円で買えたものが、来年は1020円出さないと買えない
というインフレが長く続くとどうなるのか。単純に計算すると、現在1000万円の預金は年2%のインフレが10年続けば無利子だと820万円、20年続けば673万円の価値へ目減りする。
デフレ下では現預金で持っているだけで、価値が少しずつ高まった。一方、今後もインフレが続けば、この流れは逆回転し、現預金だけを持っていると価値が下がり続ける。(日本経済新聞 電子版 2023/8/19)

皆さま、いかがでしょうか。
何かお役に立つような知識や情報はありましたでしょうか。

現在の日本では、家計の金融資産の保有目的は「老後の生活資金」の目的が各世代において大きな割合を占め、その次には病気や不時の災害などへの備えといった保有目的の方が多くなっているようです。
やはり、将来への不安が根底にあるのでしょうか。

また、日本の家計金融資産については、60代以上の保有比率が6割を超えており、家計金融資産のうち高齢者世帯の現預金が3割を占めています。
ですので、ある意味、ほとんどの現預金は眠ったままで、お金としては社会に循環せず、有効に活かしきれていない状況にあります。

近年、にわかに注目されていることですが、投資は資産を増やすためだけではなく、投資を通じて企業や経済の成長を支え、社会貢献につながる、という考え方です。
投資によって、社会課題の解決を率先して行っている将来性のある企業を支援したり、社会貢献性のある「ESG投資」や「インパクト投資」などが注目を集めているのです。

新NISAをやるか、やらないかの判断は人それぞれです。
新年を迎え、この機会に少しでも金融リテラシーを学んでいただき、無理のない範囲で、リスクとチャンスを比較した判断ができるよう、役立てていただければ幸いです。

正月の2日の夜に、宝船の絵を枕の下に入れて寝ると良い初夢を見ることができると言われています。
ひょっとしたら、笑顔いっぱいの七福神を乗せた「宝船」が、輝きを増しながら、皆さまの家々を訪れてくれるかもしれません。

旧年中は、当法人の活動に際しまして、皆さまからの温かいお力添えをいただき、誠にありがとうございました。
本年もより一層、QOL向上のお役に立てるよう努めて参りますので、どうぞ、今後とも変わらぬご支援を賜りますようにお願い申し上げます。
末筆ながら、ご家族皆さまの Well-being を願って、ますますのご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。(ふ)