健康日本21を学ぶ(前編)

さて、今回の話題は「健康日本21を学ぶ(前編)」についてのお話です。

皆さんは、「健康日本21 」という言葉を聞かれたことはありますでしょうか?
健康日本21の正式名称は、「21世紀における国民健康づくり運動」と言います。
健康日本21とは、新世紀の道標となる健康施策、すなわち、21世紀において日本に住む一人ひとりの健康を実現するための、新しい考え方による国民健康づくり運動、のことです。(厚生労働省公式HPより)

日本では、健康増進に係る取り組みとして、「第1次国民健康づくり対策」が昭和 53(1978) 年から数次にわたって展開されてきました。
当初より、健康づくりは、国民一人一人が「自分の健康は自分で守る」という自覚を持つことが基本である、との観点から取り組みが始まっているというところは、とっても大事なところだと思います。

第3次国民健康づくり対策となる「健康日本21」は、平成 12(2000)年の健康日本21から始まり、そしてその後、平成 25(2013)年から健康日本21(第二次)が実施され、いよいよ今年、令和 6(2024)年の4月からは健康日本21(第三次)が、満を持して開始されます。

そこで今回は、皆さんの健康づくりの参考にしていただくために、我が国の道標となる健康施策「健康日本21」を、前編・後編の二回に分けて、その変遷とともに、数次にわたる取り組みや効果、課題などを簡潔に紹介して参りたいと思います。

まず、最初の健康日本21は、平成 12(2000)年から始まりました。
ここでは、「一次予防 の重視」等を基本方針とし、壮年期死亡の減少、国民の健康寿命の延伸及び生活の質の向上を実現することを目的とし、国民全体のさまざまな健康課題に対して10年後を目途とした目標値を定め、生活習慣の改善などに計画的に取り組むことが推進されました。
具体的な健康課題としては、9分野(栄養・食生活、身体活動・運動、休養・こころの健康づくり、たばこ、アルコール、歯の健康、糖尿病、循環器病、がん)80項目の目標等が設定されました。

その後、平成 15(2003)年の健康増進法施行に伴い、「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針(平成15年厚生労働省告示第195号)」が策定され、国民の健康の増進の推進に関する基本的な方向や、国民の健康の増進の目標に関する事項等が定められました。

続いて、平成 25(2013)年からの健康日本21(第二次)では、第一次の取り組み結果を踏まえ、次の5つを基本的方向として、全53項目の具体的な目標値を定め実施されました。

  1. 健康寿命の延伸と健康格差の縮小
  2. 生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底(NCD(非感染性疾患)の予防)
  3. 社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上
  4. 健康を支え、守るための社会環境の整備
  5. 栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に
     関する生活習慣及び社会環境の改善

そして令和 4(2022)年に、健康日本21(第二次)の実施結果をまとめた最終評価報告書が公表されました。
その報告書から抜粋した、目標達成状況の一部を転記させていただきますと、

【目標値に達した項目】
・健康寿命の延伸(日常生活に制限のない期間の平均の延伸)
・75歳未満のがんの年齢調整死亡率の減少(10万人当たり)
・脳血管疾患・虚血性心疾患の年齢調整死亡率の減少(10万人当たり)
・血糖コントロール指標におけるコントロール不者の割合の減少 (HbA1cが
 JDS値8.0%(NGSP値 8.4%)以上の者の割合の減少)
・小児人口10万人当たりの小児科医・児童精神科医師の割合の増加
・認知症サポーター数の増加
・低栄養傾向(BMI20以下)の高齢者の割合の増加の抑制
・共食の増加(食事を1人で食べる子どもの割合の減少)

【悪化している項目】
・メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少
・適正体重の子どもの増加
・睡眠による休養を十分とれていない者の割合の減少
・生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者(一日当たりの純アルコ
 ール摂取 量が男性40g以上、女性20g以上の者)の割合の減少

という結果となっています。
ところで、皆さんは昨年の11月以降に厚生労働省から公表された、健康づくりに関係した2つのニュースを覚えておられますでしょうか。

「健康日本21(第二次)最終評価」では、【悪化している項目】に関連して、①身体活動・運動分野の「日常 生活における歩数」、「運動習慣者の割合」のいずれの指標についても、横ばいから減少傾向 であったこと。
②休養分野の指標である「睡眠による休養を十分とれていない者の割合」が増加しており、悪化していると評価され たこと。
などが報告書にて公表されています。

おそらくこうした状況を踏まえ、健康日本21(第三次)に先行して、厚生労働省から、この悪化している2つの項目についての「健康づくりガイド」が公表されることになったのではないでしょうか。
このニュースは、多くのテレビや新聞などのメディアがこぞって取り上げていましたのでご存知の方も多いと思いますが、再度改めて、日本経済新聞に掲載された2つの記事を紹介してみたいと思います。

まず1つ目が、2023年11月28日に掲載された「1日60分の歩行」推奨 厚労省検討会が運動ガイド、という記事です。

日常生活での身体活動の推奨事項などをまとめた指針を議論する厚生労働省の検討会は27日、「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」を取りまとめた。
健康増進に向け、歩行と同程度以上の身体活動を、成人は1日60分以上(1日約8,000歩以上)、高齢者は1日40分以上(1日約6,000歩以上)することを勧めた。他に、座っている時間が長くなり過ぎないよう注意を呼びかけた。

ガイドによると、身体活動の量が多い人は循環器病やがん、認知症などの発症リスクが低下するとの報告がある。
個人差も踏まえて強度や量を調整し、少しでも多く体を動かすことが大切だ。

推奨事項では、身体活動の強さを表す「メッツ」という単位を使って具体例を挙げた。安静に座っている状態を1.0メッツとし、歩行は3.0に相当する。
生活の中では料理や洗濯は2.0で、掃除機かけ3.3、風呂掃除3.5とした。

スポーツなどの運動を定期的に取り入れることも重要だと指摘。
筋力トレーニングは死亡リスクを軽減するとの研究結果を踏まえ、週2、3回実施することが望ましい。
座りっ放しの時間が長いと血流や代謝が悪くなり、病気の発症に影響する点にも触れた。

子どもについては世界保健機関(WHO)のガイドラインで、強い有酸素運動などを週3日以上する、座り過ぎにつながるゲーム・スマートフォンの利用を減らす、といったことが推奨されていると紹介。
けが防止のため激し過ぎる運動には気を付けるよう求めた。〔共同〕

続いて2つ目が、2023年12月21日に掲載された「成人は睡眠6時間以上を推奨健康づくりで厚労省ガイド」という記事です。

適切な睡眠を取るための指針の改定を議論する厚生労働省の検討会は21日、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を取りまとめた。
小学生は9〜12時間、中高生は8〜10時間、成人は6時間以上を目安に睡眠時間を確保するよう推奨した。

高齢者には長時間睡眠は健康リスクだとして、寝床で過ごす「床上時間」が8時間以上にならないよう注意喚起した。

適切な睡眠時間は個人差があるが、睡眠不足が慢性化すると、肥満や高血圧、心疾患などの発症リスクが上昇し、死亡率にも影響する。

19年の国民健康・栄養調査によると、1日の平均睡眠時間が6時間未満の人の割合は男性37.5%、女性40.6%。経済協力開発機構(OECD)の調査でも、日本人の睡眠時間は短いと指摘されている。

ガイドは睡眠で休養が取れている感覚「睡眠休養感」を高めることも大切だと説明。寝室にスマートフォンやタブレットを持ち込まずにできるだけ暗くして寝る、就寝直前の夜食や眠るための飲酒は控える、といった要点を挙げた。

覚醒作用があるカフェイン摂取は1日400ミリグラムを超えると眠りにくくなる可能性があるとした。目安はコーヒーカップ4杯分(700ミリリットル)に当たる。

子どもでは1〜2歳が11〜14時間、3〜5歳が10〜13時間と例示。朝食をしっかり取り、日中は運動し、夜更かしの習慣を付けないことが必要だ。
成人は食事や運動など生活習慣、寝室の環境を見直して睡眠休養感を高めるよう呼びかけた。

高齢者は、夜の睡眠を妨げないように日中は長時間の昼寝を避け、活動的に過ごすのが望ましいとした。〔共同〕

いかがでしょうか。
皆さまの健康づくりのお役に立つ情報となりましたでしょうか。

わたし自身も、健康増進(維持)を目的に、これまでも、いくつかのフィットネスクラブに通いましたが、今は、昨年より地元にできた「chocoZAP」へ行っています。
朝の散歩とともに、時間があるとき5分でも10分でも身体を動かすことで運動習慣が身につけばいいと思っているところです。
続くかどうかは分かりませんが、今年のチャレンジ行動の一つになれば、と頑張るつもりです。

それでは次回、「健康日本21を学ぶ(後編)」も引き続きよろしくお願い申し上げます。(ふ)