世界幸福度、そしてSDGs達成度ランキングが1位の国

さて、今回は「世界幸福度、そしてSDGs達成度ランキングが1位の国」についてのお話しです。

読者の皆さまは、このいずれもが1位の国はどこかおわかりになるでしょうか?
答えは北欧の国、「フィンランド」です。

このランキングは、国連の研究機関である「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」から毎年報告される、各レポートによって発表されています。
世界幸福度ランキングは、国連が定めた「国際幸福デー」にあたる3月20日に、「世界幸福度レポート2022」によって発表されています。
また、SDGs達成度ランキングは、6月2日に「持続可能な開発レポート2022」で発表されています。

フィンランドは、そのどちらもが1位ってすごいことですよね!
ちなみに、日本の順位は、世界幸福度ランキングが54位(前年56位)で、SDGs達成度ランキングが19位(前年18位)と発表されています。

フィンランドについての概要を調べて見ますと、首都はヘルシンキ。
北ヨーロッパにある共和制国家で人口は約554万人ほど。国土面積は日本の約9割程度の大きさで、国土の約8割が森と湖に覆われています。
気候は、北欧エリアの中でも冬期が最も長く、夏は比較的暖かいようです。
公用語はフィンランド語、スウェーデン語。通貨はユーロとなっています。

フィンランドといえば、子どもの頃にテレビアニメで見た「ムーミン」(原作:トーベ・ヤンソン)が有名ですが、他にも洗練されたインテリアやデザイン、オーロラ、サウナなどが連想されます。
特に、「サウナ」はフィンランド人の生活の中に浸透している特別なもので、海外で最も普及しているフィンランド語といわれています。

先日、街歩きしていて立ち寄った本屋さんで、ふと目についた本がありました。
堀内都喜子さんの著書で「フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか」(ポプラ新書)という本です。

堀内さんは長野県生まれ。フィンランドに留学され、ユヴァスキュラ大学大学院で修士号を取得。帰国後フィンランド系の企業で勤務をされた後、現在は、フィンランド大使館に勤めておられるようです。

この本を読んでみて、なぜフィンランドが「世界幸福度ランキング1位」なのか、なぜ「SDGs達成度ランキングが1位」なのか、が良くわかりました。

日本でも数年前から「働き方改革」に関する法律、制度ができ、ワークライフバランスという言葉が流行り、健康経営など国を挙げて推進されています。
また大企業中心に、生産性向上とイノベーションの創出のため、ダイバーシティ&インクルージョン(多様な人財が活躍できる職場づくり)への取組みが始まっています。
そして、「人的資本」(個人が持つ知識や技能、能力などを資本とみなすこと)がコストではなく投資であると再認識され、学び直しにも力を入れる企業が増えてきました。

フィンランドは、このような取組みを世界に先駆けて行ない、数々のランキング指標で世界のナンバーワンになっています。
また、サスティナブル(持続可能性)は、フィンランド人のライフスタイルから政治に至るまで欠かせないコンセプトになっています。

北欧の国、フィンランドは、日本が目指す「未来のあるべき姿」でもあります。
今回、堀内さんの著書を読み、ここに改めて、心に残った文章を【抜粋】して少しご紹介してみますと、

【自分らしく生きていける国】
選択の自由度、これは私がフィンランドに関わって、良く感じていることである。(中略) フィンランドは選択肢が多くあるというよりも、選択を限定する要素が少ない。
勉強、就職、結婚、出産、転職と様々な人生の場面で、何かを選ぶ必要がでてくるが、本人の事情や希望、ニーズに応える選択肢があり、年齢、性別、家庭の経済状況といったことは、たいした障壁ではない。
それに、選ぶものを一つに絞る必要はなく・・・

【バランスのとれた生活】
フィンランドに暮らすとわかるが、フィンランド人も仕事や勉強に忙しく、家事に趣味にとやることはたくさんある。それでも「人間らしい生活ができる」と、フィンランドに住んだことのある日本の友人たちが表現する通り、全体的にバランスがとれている。
休みを犠牲にして超人的に頑張るわけでなく、休みも睡眠時間もきっちりとり、プライベートや趣味も充実させる。ワークライフバランスがととのっているのだ。※残業はほとんどしない ※睡眠は7時間半以上 ※夏休みは1ヶ月

【フィンランドの仕事文化に欠かせないウェルビーイング】
フィンランドの仕事の文化を語る上で、欠かせないキーワードは「ウェルビーイング」(well-being)だ。フィンランド人はウェルビーイングという言葉をよく使い、重視する。ウェルビーイングとは、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念だ。
幸福という言葉で説明されることもあるが、うれしい、楽しいといった心理状態というより、ウェルビーイングは、心身共に健やかな状態にいることを指す。

【世界のトレンドはフィンランドの「シス」】
シス(SISU)は、フィンランド語で、困難に耐えうる力、努力してあきらめずにやり遂げる力、不屈の精神、ガッツといった意味合いがある。(中略)
フィンランド人からしてみれば、シスは昔からあった言葉で、他の外国語にはなかなか訳せないフィンランドの国民性を語るキーワードだと感じられているようだ。  
以上、「フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか」より抜粋にて。

2022年のSDGs達成度ランキングは、163カ国のうち、1位のフィンランドに続き、2位デンマーク、3位スウェーデン、4位ノルウエーと北欧諸国が上位を占めています。
※日本は、ジェンダーや環境の分野で課題を抱える状況が続いています。

この夏は酷暑という言葉が相応しく毎日の生活が、暑さとの戦いそのものです。
今回、北欧の国を話題にすることで、気持ちの上でも皆さまに少しでも涼しさを感じていただければ幸いです。
ではお身体どうぞご自愛ください。