あなたは、朝食抜きますか?

さて、今回の話題は、朝食を取らないメリットとデメリットについての考察をご紹介しましょう!

最近は朝食抜きダイエットなどの影響で、朝ごはんを意識的に抜く方が増えつつあります。
また厚生労働省の調査では20代~30代の世代が最も朝食抜きの生活を送っていることがわかっています。
おそらく多くの方は小さなうちから「朝ごはんはしっかり食べましょう」と言われて、育ってきたはずです。
しかし、近年は朝食を抜くことを推奨する声も多くなっています。
それではここからは朝食を抜くメリットとデメリットを両論併記でご紹介することにしましょう!

<朝食抜きのメリット>
○摂取カロリーを減らせる
冒頭でもお伝えしたように近年は朝食抜きダイエットが流行っていますが、朝食を抜くことで単純に1日の摂取カロリーを減らせることができます。
この影響により、効率的に体重を落とすことができるというのが朝食抜きダイエットの考え方となっています。
このような理由から朝食抜きの食生活は正しく実践することで、肥満防止や脂肪燃焼効果を得られる可能性があります。

○内臓を休ませることができる
暴飲暴食をすると疲労感や胃もたれ、肌荒れといった症状が出ることがありませんか。
これは胃、腸などの消化器官や肝臓といった内臓の疲れが原因となっている可能性があります。
1日3回の食事をガッツリと食べる方や、お酒をよく飲むといった方の消化器官、肝臓は常にフル稼働の状態であり、非常に疲れやすいという特徴があります。
この内臓疲労の影響により、前述の疲労感などの症状が現れるようになります。
内臓の酷使により、疲労感を覚える理由ですが、消化吸収能力の変化が挙げられます。
内臓疲労に陥ると口から摂取した食べ物を消化吸収する機能が低下し、栄養不足になります。
その結果、体はエネルギー不足の状態となり、疲労感を覚えるようになります。
体がエネルギー不足に陥ると自律神経の乱れも引き起こすため、イライラなどの気分の不調を招くこともあります。
朝食抜きの生活はこのような内臓疲労による弊害を防いでくれる可能性があります。
前日の夕食から翌日の昼食までは胃や腸に負担のかかる食べ物、飲み物が入ってこないため、内臓もゆっくりと休むことができ、正常な機能を維持しやすくなるという考え方ですね。

○サーチュイン遺伝子の活性化
「長寿遺伝子」「若返り遺伝子」とも呼ばれるサーチュイン遺伝子をご存じでしょうか?
私たち人間は約60兆個ともいわれる全身細胞が日々分裂を繰り返すことで生命活動を行っています。
そして人が一生のうちで細胞分裂できる回数には制限がありますが、それを決めているのがテロメアと呼ばれる部分です。
このテロメアが長い人ほど、多くの細胞分裂が可能であり、短い人ほど少なくなります。
長寿遺伝子とも呼ばれるサーチュイン遺伝子はテロメアの消耗を防ぐ力があるため、細胞の老化を遅らせることが可能となります。
サーチュイン遺伝子を活性化させるには「カロリー制限」が有効であることが、マウスの実験からわかっています。
つまり朝食を抜き、1日の摂取カロリーを減らすことで、サーチュイン遺伝子が活性化する可能性が高いということです。
サーチュイン遺伝子が活性化すると以下のようなメリットが得られる可能性があります。
・活性酸素を除去してガンの発生を抑える
・動脈硬化予防
・高血圧予防
・メタボリック症候群予防
・脂肪肝予防
・糖尿病予防
・心筋梗塞発症のリスク軽減

○時間短縮・経済的負担の軽減
こちらは直接体に変化を与えるものではありませんが、朝ごはんを抜くことで朝食を用意する時間や食べる時間を他のことに充てられるようになります。
具体的にはご飯よりも睡眠が大好きという方であれば、朝食を抜くことで睡眠時間を少しだけ増やすことが可能です。
また朝食にかかる費用も0円のため、節約や貯金をしているといった方には一定のメリットがもたらされるでしょう。

<朝食抜きのデメリット>
では、ここからは朝食抜きのデメリットについて解説しましょう!
○集中力や記憶力の低下
朝食を抜くことで、脳のエネルギー源となるブドウ糖が不足するため、集中力や記憶力の低下につながります。
ブドウ糖は脂溶性のビタミンAやビタミンDと違って、体内に貯蓄しておくことができません。
したがって朝食を抜くことで脳にエネルギーが供給されないため、イライラしたり、勉強・仕事が捗らないといった弊害を招きやすくなります。

○血糖値の急変動が起きやすくなる
朝食抜きの生活を行うと血糖値が下がり始めるため、体内では血糖値を上げる働きをするインスリン拮抗ホルモンの分泌量が増えます。
このように私たち人間の体は血糖値が下がり始めたら、自然に血糖値が高まるようになっていますが、朝食抜きの弊害はここにあります。
朝食を抜いた場合、昼食を食べる頃にはインスリン拮抗ホルモンによって血糖値が上昇しやすくなっています。
つまりこのタイミングで昼食を食べてしまうと、血糖値が通常よりも高くなるということです。
昼食によって急上昇した血糖値を下げるために、インスリンが大量に分泌され、血糖値を下げようとします。
しかし、今度は大量のインスリンによって血糖値が急激に下がり、その結果としてまた大量のインスリン拮抗ホルモンが分泌されるという悪循環に陥りやすくなってしまいます。
このような血糖値の急上昇、急降下は体への負担も非常に大きく、何より肥満になりやすいことになってしまうのです。

○自律神経が乱れやすくなる
朝食を抜くことで自律神経の乱れを引き起こすこともあります。
自律神経は心臓や血管の循環器、胃や腸といった消化器、肺や気管支の呼吸器などを正常に機能させるために、24時間働き続けている神経です。
自律神経には活動時や昼間に活性化する交感神経、夜のリラックス時などに優位になる副交感神経があります。
自律神経の乱れとはこの2つのバランスが崩れたときに起きるものであり、体にさまざまな不調をもたらすことがわかっています。
自律神経が乱れる原因は夜ふかしや暴飲暴食といった不規則な生活、ストレスなどさまざまなものがありますが、そのうちのひとつに朝食抜きが挙げられます。
朝食を抜くことで、体内時計が正常に働かなくなり、その結果として自律神経の乱れも引き起こすことになります。
自律神経は体温調節などの役割も担っているため、朝食抜きの生活は冷え性にもつながる可能性があるでしょう。

○筋肉量の減少
朝食抜きによって脳にブドウ糖を送ることができないようになると、まず肝臓で蓄えられたグリコーゲンが使われるようになります。
そしてこのグリコーゲンが枯渇(欠乏)すると、次に筋肉のエネルギーが使われていきます。
つまり朝食抜きは一歩間違うと筋肉量の減少につながり、さまざまな弊害を引き起こすということです。
筋肉量の減少に伴うデメリットとしては基礎代謝の低下、運動能力の低下などが挙げられます。
筋肉はじっとしていても消費される基礎代謝の約2割を占めています。
したがって筋肉量が減ることで、1日の消費カロリーも自ずと減少傾向に陥る可能性があります。
1日の消費カロリーが少なくなれば、当然肥満のリスクも上昇するため、ダイエットがスムーズに進展しないといった悩みも抱えやすくなるでしょう。

○病気のリスク上昇
国立がん研究センターと大阪大学が行った研究では、朝食を抜く人ほど脳卒中を発症するリスクが高まることがわかっています。
この研究は全国8県の45歳~74歳の男女約8万人を1週間の朝食をとる回数で4グループにわけ、約12年~15年かけて脳卒中(脳出血、脳梗塞など)や虚血性心疾患との関連を追跡するというものです。
そして調査の結果、「朝食を摂取しない」や「週1回~2回しか食べない」グループは、「毎日食べる」グループよりも、脳卒中全体の発症が1.18倍高くなり、このうち脳出血については1.36倍も発症確率が上昇することが判明したのです。
ちなみにこの研究では脳梗塞、くも膜下出血、虚血性心疾患との関連性は見られなかったとのことです。
朝食を抜くことで、脳出血の発症確率が高まる理由についてですが、高血圧が関係していると考えられています。
脳出血の原因のひとつに高血圧があります。
血圧は朝食抜きによる空腹などのストレスにより、さらに上昇するという研究結果もあるため、脳出血の発症率が高まるという見方もあります。
ちなみに朝食抜きは脳卒中の発症リスクを高めるだけではなく、肥満や糖尿病のリスクを上昇させるという専門家もいます。

まとめとして
今回は朝食抜きのメリット、デメリットなどを解説してきました。
近年は朝食抜きダイエットや置き換えダイエットなどの影響で、以前よりも朝食を抜く食生活が推奨されつつあります。
しかし、体や心の健康を考えると、やはり朝食はしっかり摂取すべきという声が圧倒的に多いのも事実です。
したがって朝食に関しては、よほどの事情がない限りは摂取することをおすすめします。
「朝食を作る時間がない」とか「朝はどうしても食べられない」という方も、コップ1杯の水分補給やブドウ糖などを手軽に摂取できる食べ物を活用するといった工夫を施してみましょう。
最後に、これだけは言っておこうということをお伝えして、今回のブログをおしまいとさせていただきます。
●起床後は水分補給やフルーツなどでの栄養補給を意識すること
タンパク質、脂質、炭水化物と栄養バランスの整った朝食を用意できない方は、水分補給や手軽に食すことができる食べ物などで栄養補給を行うようにしましょう。
起床後の体は就寝中にかいた汗の影響で、水分を欲しがっています。
この状態を放置しておくと、脱水症状になる可能性もあるため、起床後はコップ1杯の水を飲むことを推奨します。
また起床後の水分補給は体内の毒素排出にも役立ちます。
勉強や仕事のパフォーマンスを高めるためには、水分以外の栄養素も摂取しておきたいところですね。
朝食抜きの生活を送る場合におすすめしたいのはバナナです。
バナナは脳のエネルギー源でもあるブドウ糖や糖が脳のエネルギーになるのを手助けするビタミンやミネラルなども含まれているので、効率的に脳へのエネルギー補給を行うことができます。
100gあたり約90kcalと、低カロリーな点も魅力的です。
その他、リンゴやキウイといったフルーツもおすすめです。

●成長期の子どもは朝食抜きはNG
成長期の子どもを持つご両親は自分が朝食を食べなくても、子どもだけには食べさせるようにしましょう。
朝食を食べることで学校での勉強や運動においても高いパフォーマンスを発揮することができます。
子どもは大人と違って、これから脳や体がどんどん成長していく時期です。
したがって3食栄養バランスの整った食生活が非常に重要となります。
ご飯やパンなどの炭水化物、卵や肉、魚のタンパク質、果物や野菜などに含まれるビタミン、食物繊維といったように摂取する栄養素に偏りが見られないように工夫してみましょう。
ちなみに文部科学省が公表している資料では、朝食をしっかり食べる子どもほど、ペーパーテストの得点が高い傾向にあるとのことです。

今回ご紹介したことでは、結果的には朝食摂りましょうを推奨させていただいています。
しかし、日常生活へどう落とし込んでいくかは、読者の方々が個々の生活パターンを考慮して工夫を加えていただければと思っています。