心のブロックが外れた日 ~マイナスは、人生の宝物だった~
今回は、私の人生をそっと変えてくれた「心のブロック」のお話です。
私が小学生だったある時、算数の授業参観がありました。
先生の分数の説明を、私はわかったつもりで聞いていました。
ところが、いざ問題を解こうとすると、手が止まってしまったのです。
傍にいた、誰かのお母さんが、やさしく解き方を教えてくれました。
おかげで問題は解けました。
けれどその瞬間、胸の奥に強い痛みが走りました。
「この子、頭が悪いなぁ」と思われただろうな、と。
?
その恥ずかしさとショックは、小さな私の心に深く刻まれました。
それ以来、それが関係しているかどうかは分かりませんが、私は
「自分は頭が悪い」
「記憶ができない人間だ」
そう信じ込んで、47歳まで生きてきました。
大人になり、視力を失い、盲学校へ通うことになりました。
そこでは鍼灸の国家資格を目指し、ツボの名前を覚えなければなりませんでした。
「えいん、きょっこつ、ちゅうきょく、かんげん、せきもん、きかい、いんこう、しんけつ……」のように、354個を覚えなければいけませんでした。
「記憶が苦手な自分には無理だ」
そう思いながらも、逃げるわけにはいかないので、必死に覚えました。
授業では、勉強の途中でストップウォッチを使い、制限時間内にツボの名前を言うテストがありました。
驚いたことに、他のクラスメイトが何度か詰まる中、私はいつも一発で合格できたのです。
そのとき、心の奥で小さな声が聞こえました。
「あれ? できないのは、能力じゃなく、思い込みだったのでは?」
その気づきは、私の人生を大きく変えることになりました。
覚えられないと思っていた電話番号も、歌の歌詞も、覚える気になれば、思っていたより楽に覚えられるようになりました。
自慢にはなりませんが、今ではカラオケで20曲ほど、フルコーラスで歌えるようになり、歌がうまいというより、「よく覚えてるねぇ」と褒めてもらえることが多くなりました。(笑)
ウクレレも、楽譜が読めない分、歌詞とコードを丸ごと覚え続け、気がつけば100曲ほど弾けるようになりました。
ここで、ふと思い出したことがあります。
昔、算数の勉強で
「マイナス × マイナスは、プラスになる」
と習いました。
マイナス10 × マイナス10は、プラス100。
マイナス100 × マイナス100は、プラス10,000。
自分にとっての弱点やコンプレックスは、確かにマイナスです。
でも、そのマイナスを真正面から受け止め、向き合い、ひっくり返したとき、それは大きなプラスの強みになります。
自分の武器になります。
しかも、
マイナスが大きければ大きいほど、
ひっくり返したときのプラスも、大きくなります。
「できない」と思い込んでいた記憶力。
苦手だと思っていた人前で話すこと。
一人ではどこへも行けないという考えなど。
それらはすべて、私にとって大きなマイナスの思い込みでした。
だからこそ、ひっくり返した今、人生の宝物になっています。
少しキザな言い方ですが、
「趣味は何ですか」と聞かれたら、こう答えたいのです。
「自分の弱点やコンプレックスを見つけることです」と。(キザですね、笑)
それを工夫して強みに変えていく過程が、楽しくて仕方ありません。
これからも私は、自分のマイナスと出会い続けるでしょう。
そこに、まだ知らない大きなプラスが眠っていると、信じているからです。
ひょっとしたら、誰にでも「思い込み」があるかもしれませんね。にこっ。
最後にお知らせです。
この亀ちゃんの「心のQOL通信」は、2年間続けてきましたが、来月2026年3月で、終了します。
ここまで読んでくださった皆さまに、心から感謝します。
来月の最終回、この場所でお会いできることを、楽しみにしています。

