冬の夜空を見上げてみませんか?
さて、今回は宇宙へ目を向けていただこうと、読者の皆さんに冬の星空の話題をお届けしようと思います。
冬は一年中でもっとも星空がきれいな季節です。
その理由は、明るい一等星が多いことやさまざまな色の星が見えること、そしてオリオン大星雲やすばるなど、肉眼でも見える星雲や星団があることなどです。
さらに、日没が早いので19時ごろからもう夜空が暗く、また冬は上空の空気の流れが強いので星がキラキラと瞬いたりと、他の季節に比べてより星空の印象が強い季節でもあります。
では、ここからは特徴的な冬の星座をご紹介するといたしましょう。
まず南を向いてみましょう。
すると正面に、同じくらいの明るさの星が3つ斜め横にきれいに並んでいるのが見つかります。
これが冬の星座の代表格とも言えるオリオン座の目印の三ツ星です。
そのすぐ下にも、同じように今度は然程距離を置かずに縦に星が3つ並んでいて、小三ツ星と呼ばれます。
ここにはM42オリオン大星雲があります。
オリオン座のまわりを囲む4つの星のうち、左上の赤っぽい星はベテルギウス、右下の青っぽい星はリゲルです。
ベテルギウスは、オリオン座にある恒星で、全天21の1等星の1つです。
光度が変わる変光星のひとつで、赤色超巨星(直径が太陽の数百倍から千倍以上あり、明るさは太陽の数千倍以上(全エネルギー放射は太陽の3万倍以上)ある恒星)に分類されています。
また、肉眼で観望できる恒星の中では最も直径が大きい恒星の1つです。
仮にベテルギウスを太陽系の中心に置いた場合、その大きさは小惑星帯を超えたあたりにまで及び、水星、金星、地球、火星の軌道を超えるのでこれらの星々は飲み込まれてしまう大きさです。
木星軌道をも超える可能性があると言われている図体の大きな星です。
一方リゲルは、日本では三ツ星の上で赤く光るベテルギウス「平家星」に対して、三ツ星下で白く輝いているので「源氏星」と呼ばれています。
リゲルはエネルギーの点から見ればベテルギウスを凌駕する青色超巨星(直径が太陽の数十倍以上あり、光度が太陽の1万倍(全エネルギー放射で太陽の10万倍)以上ある恒星)で、リゲルの場合は、なんと太陽の12万から27万9000倍の光度を持っています。
質量が非常に大きいため、中心核での水素の核融合は既に終了していて、現在はヘリウムからなる中心核が収縮している段階にある状態です。
そのため、半径は太陽半径の79倍から115倍まで膨張しています。
宇宙には半端ない星がたくさんあって、驚かされることばかりですね。
ではここで、オリオン座の神話をご紹介しましょう!
オリオンはとても体が大きく、力持ちで、ギリシャ神話では一番の狩人でした。
そんなオリオンは、そのうち力を自慢するようになりました。
それを見かねた女神ヘーラは、オリオンを懲らしめるために、彼の足元に大きなサソリを放ちました。
さすがのオリオンもサソリの毒には勝てず、命を落としてしまいます。
今でもサソリが苦手なオリオンは、サソリが東から夜空に上がってくると、そそくさとサソリから逃げるように西方へ沈んでいきます。
ギリシャ神話は数多くありますが、オリオンとサソリのお話しは星の動きと連動した分かりやすい神話として有名ですね。。
これらの星座の概念は、約5000年前のメソポタミアの羊飼いたちによって生まれました。
その後、ギリシャ人が自分たちの神話を星空にある星座に重ね合わせて、物語として彩りながら語るようになりました。
では、話しを本題に戻しましょう。
三ツ星を結ぶ線を左下の方に伸ばすと、おおいぬ座の白く一際明るく輝く星のシリウスが見つかります。
シリウスは単独の星ではなく、シリウスAとシリウスBという2つの星からなる連星(2つの恒星が両者の重心の周りを軌道運動している天体)系です。
シリウスはおおいぬ座で最も明るい恒星で、太陽を除けば地球から見える最も明るい恒星です。
視等級(肉眼で感じる天体の明るさ)は-1.46等で、地球から約8.6光年の距離に位置しています。
ベテルギウスとシリウスを線で結んで、左の方へ大きな正三角形を作るようにすると、角のところにまた明るい星が見つかります。
この星はこいぬ座のプロキオンです。
プロキオンは全天で8番目に明るい星です。
ベテルギウスとシリウスとプロキオンを結んだ三角形のことを、冬の大三角と呼びます。
同じように、ベテルギウスを中心にして、周囲の明るい星と三角を作っていくと、さまざまな星座の目印の星が見つかります。
ベテルギウスとリゲルの上に三角を作ると、おうし座のアルデバランが見つかります。
その右上にあるプレアデス星団は、M45という番号が付けられている「メシエ天体」で、日本ではむしろ和名で呼ばれている「すばる」の名前で親しまれています。
肉眼でも、5~6個の星が一か所にかたまっているのがわかります。
夜空には多くの星雲や星団が輝いています。
その中に「M○○」というように数字の前にMを付けて呼んでいるものが110個あります。
これらはメシエ天体というもので、肉眼や双眼鏡、天体望遠鏡で容易に見ることができる天体として親しまれています。
メシエというのは、星雲・星団のリストを作ったフランスの天文学者の名前です。
メシエは彗星を探すことに興味をもっていましたが、望遠鏡で見るときに彗星と紛らわしい天体をリストにしました。
これはメシエカタログと呼ばれていて、Mはメシエの頭文字のMを使ったものです。
先に紹介したオリオン大星雲はM42ですし、私たち太陽系が属している銀河系のお隣にある有名なアンドロメダ銀河は、M31と呼ばれています。
ベテルギウスとプロキオンの左には、明るい星が2つ並んでいるのが見つかります。
これらはふたご座のカストルとポルックスです。
最後に天頂近くで明るく光るぎょしゃ座のカペラと結んでみると、ベテルギウスを囲む大きな六角形ができ上がります。
これを冬の大六角形と呼びます。
また、毎年12月の13日~14日あたりに、たくさんの流星が出現する「ふたご座流星群」の放射点(流星群に属する流星が放射状に飛び出してくるように見える天球上の1点のこと)も、名前のとおりこの星座のカストルの近くにあります。
「ふたご座流星群」は、1月の「しぶんぎ座流星群」、8月の「ペルセウス座流星群」と並ぶ三大流星群のひとつです。
冬の季節には3つのうち2つの代表的な流星群を観ることが出来ます。
空が澄んでいて太平洋側では晴れることが多いので、月明かりの邪魔さえなければ、ピーク時にはふたご座流星群であれば100個前後の流星を観測することが出来る可能性があるでしょう。
残念ながら、このメルマガ配信のタイミングでは、2つの流星群とも終わっていますので、来冬までお待ちくださいね。
最後に紹介するのはぎょしゃ座です。
ぎょしゃ座の目印は1等星カペラと五角形に並んだ星たちです。
まずオリオン座を見つけてから、おうし座の方向へ眼をうつし、その少し先のあたりをながめて見ると、自然に五角形をした星の並びがわかります。
5つの星のうち一番明るくて、やや黄色く見えるのがカペラです。
1月なかばの21時ごろなら、天頂付近に見つかります。
おまけの話しですが、ふたご座辺りに一際明るく輝く星が見つかります。
この星は恒星ではなく、太陽系にある惑星の中で一番巨大な木星です。
木星は、何光年以上の距離を隔てて輝いている恒星と異なり、宇宙のスケールから言うと地球の隣近所にあるので、地球には点ではなく面で光が届きます。
そのため、地球上空の空気の流れにも影響され難いため、肉眼で見てもほとんど瞬きません。
これは、他の惑星(金星・火星・土星)にも言えることなので、明るく輝く星で瞬きが余りない星は惑星だと理解していただければいいと思います。
ここまで主な冬の星空を紹介しましたが、星空の観察をする場合の注意点を2つお伝えしておきましょう。
ひとつ目は、冬の夜は大変冷え込みますし、風も結構強く吹くことが多いので、防寒対策を十分にお願いしたいことです。
ふたつ目は、空の暗いところへ出向いた際での野生動物対策です。
野生動物で注意を要するのは、ほぼ毎日ニュースで伝えられているクマによる被害や、従来から被害が続いているイノシシが考えられます。
クマは夕方(薄暮)と早朝(薄明)に活動が活発なようですし、イノシシは基本的には夜行性ですので、クマもイノシシも星空を観る時間帯と重なってしまうことになるので要注意です。
どうぞ、リスクマネジメントをしっかりとおこなった上で、安全に星空を観ていただきますようお願いします。
冬の星空を観て、単にその美しさを楽しむも良し、神話と星々を結びつける人類の想像力と創造力に驚くのも良し、流れ星が見られれば、その儚さを感じるのも良し、地球の周りを無数に飛び回っている人工衛星を見つけて現代科学の英知を知るも良し、今見ている星の光は何年、何十年、何百年以上前にその星を出た光が届いたものと感じ取り、世知辛い現代社会を俯瞰的に見たりするも良し、星を観る(見る)ことで人それぞれ色々な思いを心に感じ取っていただき、これからの読者の皆さんのQOL向上へ繋げていただければ幸いだと考えています。(ま)

