食生活のアップデートをしよう!
さて、今回は「何を食べて何を食べないか」に関する話題です。
読者の皆さんは今までQOLに対する知識を取り入れる中で、中高年が健康的に暮らすにはどうすればいいかや、中高年のQOLを担保する最適な方法にはどういったものがあるのかといったことを学んで、そしてその知識を自らの生き方に準えて来られた方が多くおられると思います。
しかし今回のブログでは、ここ20年で大きく変化を遂げた栄養学の常識と、それに基づく新しい栄養学の常識を知らずに、旧来の知識のままよかれと思って食べ続けていると知らないうちに健康が損なわれて、QOLの向上へと繋げていくどころか、逆にQOLの低下を招いてしまうかも知れないという現実があることを知っていただきたいと思っています。
私たちの体は「食べたもの」からつくられます。
「お腹いっぱいになればいい」「好物ばかり食べていたい」と、「食」に無頓着では残念ながら心身共に健康な体はつくることは出来ません。
人生100年時代と言われていますので、定年と言われる60歳から70歳から先の人生は、まだまだたっぷりとあります。
共働きの子ども夫婦のため、孫の育児をサポートする方もいるでしょう。
家事をこなしたり、元気なうちは外で働く方もいるでしょう。
でも、いかなる場合であっても健康な体とそれに宿る体力は必要です。
語学や地域の歴史など新しい学びの機会もあるかもしれませんし、若い頃から続けてきた趣味に没頭する時間もやっとできました。
そうなれば集中力や記憶力もキープしておきたいところですね。
そこで求められることは、QOLの向上を成し遂げるために何を食べるか、何を食べないかといった日々の生活に直結した知識と言えます。
そう、これからの人生の豊かさを左右するのは「栄養の知識」なのです。
それでは、まず不調を訴える高齢者の食事の共通点についてみていくことにしましょう。
共通点は5つあります。
①朝食をしっかり食べない
朝昼夜の理想的な比率は、「朝昼しっかり、夜軽め」です。
しかし、ほとんどの方が逆の「朝昼軽め、夜しっかり」です。
では、軽めに済ませるために何を食べているかというと、それが②③につながっていきます。
②パンやシリアルが多い
①の大きな理由は「調理が面倒だから」というものです。
パンもシリアルも調理は不要。
日持ちするシリアルなら頻繁に買い足す必要もありません。
この理由を考えれば、高齢者もタイパを重視しているのかと考えたりしてしまいます。
③麺類が多い
朝食がパンやシリアルなら「昼食はちょっと料理をしましょう。でも簡単に!」となってしまい、パスタ、うどん、そば、夏ならそうめんと麺類が選ばれがちです。
レンジでチンするだけの冷凍麺や水で流すだけの麺も多用されています。
④単品食べが多い
②③は典型的な単品食べと言えます。
おかずがないためタンパク質や食物繊維が絶対的に不足してしまいます。
「パンや麺類よりお米」という方でも、食べるのが「おにぎり1個」では栄養不足になることに変わりはありません。
⑤食事のリズムが不規則
食事時間が一定ではないことと、頻繁に食事を抜くといった生活を繰り返していると、生命維持装置の自律神経が乱れ、心身に不調をもたらしてしまいます。
では、以上の5項目に十分気をつけて、身体が不調の方へ陥らないように日頃の食生活を考えてみてください。
一度に食べられる量が減る年齢になれば、規則正しく3食を摂ったうえで、さらに間食で栄養素を補わないと、栄養不良になるリスクもありますので、
「栄養の知識」の抽斗を増やして行きましょう。
一方、日頃から元気な高齢者は、食に対しての貪欲さが見え隠れしていると言われています。
若いときから食には興味がなくて「空腹感がなければいい」という方は、先程紹介した不調を訴える高齢者の食事の共通点の①〜⑤のような食生活を、ずっと送ってきていることがあります。
不調に見舞われると食への欲求はますます低下し、負の連鎖の結果として、驚くことに「缶詰を開けるのすら億劫」になるといいます。
育ち盛り、働き盛りの子どもに食生活を合わせる必要がなくなってから、だんだん①〜⑤の食傾向となり、栄養不良から不調へと進む方もいます。
反対に元気な高齢者は、何といってもよく食べます。
食べることが好きで、単品食べや食事を抜くことはありませんし、食材もとてもバラエティー豊かです。
ステーキや焼肉といった高タンパク質の食事も、好んで食べている印象があります。
食に対していい意味で貪欲ですので、旬のものを欠かすことはありません。
腸内環境、胃酸や胆汁酸の分泌能力など、持って生まれた資質のおかげで不摂生をしても健康面に影響が出にくい人もいますが、それも若い頃の話。
60歳を過ぎたら日々の1食1食が健康状態に確実に反映されるのです。
もうひとつ、ここ20年で大きく変わった栄養学の常識について触れてみたいと思います。
私がまだ現役時代の頃によく耳にしていた「1日30品目を食べましょう!」は、実は今では過去の話となっています。
1日30品目食べることは、バランスがよくて健康につながると信じている方も多いと思いますが、厚生省(現厚生労働省)が1985年に推奨するようになったものの、現在では「30品目にこだわらず、いろいろな食材を食べることの目安に」と、だいぶ緩やかな表現に変化しています。
糖質をはじめとした栄養素が体に及ぼす影響が明らかになるにつれ、30品目も食べる必要はないどころか、反対に肥満、胃腸の不調などにつながりかねないことがわかってきたからです。
これからは「1日30品目」に縛られて必死に調理したり、食べたりする必要がないというのは、高齢者にとっては朗報ではないでしょうか。
60歳以降の方々は、学校教育で「タンパク質=肉」「食物繊維=野菜」と教わったと思いますが、この古い情報によって選択肢が狭められ、調理負担が増えている側面もあります。
「タンパク質」は、肉・魚・卵・大豆製品のいずれからでも摂取できます。
このなかで最も準備が大変なのが肉です。
肉は調理に手間がかかり後片付けも面倒になるのに対し、刺身なら調理いらずで、卵はゆで卵なら包丁もまな板も不要です。
ゆで卵、煮卵、温泉卵は惣菜コーナーのレギュラーメンバーなので、買って済ませることもできます。
さらに、納豆や豆腐にいたってはパックを開けるだけの手軽さです。
便通を促進し腸内環境を整える「食物繊維」は、生活習慣病の原因となる糖や脂質などを体外に排出してくれます。
積極的に摂っていきたい「食物繊維」は、野菜だけでなく、きのこや海藻にも豊富に含まれています。
なかでも海藻の手軽さは大変ありがたいと言えます。
焼き海苔1枚をご飯の横に添えたり、もずくのパックを食卓の一品にしたり、糸寒天をみそ汁の具材にしたり、ひじきならわざわざ煮なくてもパック製品で十分です。
きのこも海藻も乾燥タイプは日持ちがするので買い置きしておくとよいでしょう。
食材を乾燥させると栄養素が凝縮され、生で食べるよりも食物繊維などが豊富に摂れる点も魅力的です。
ここまで中高年が健康的に暮らすために、食生活の改善を切り口として考察してきました。
そして、その中で今の高齢者が現役世代で健康への入り口とされていた知識の一部においては、実は現代の栄養学ではしてはいけないことだと言うことが確認できました。
情報をアップデート出来ていない高齢者は、全く知らずに旧来の知識のまま、よかれと思って食べ続けていると、知らないうちに健康が損なわれてしまってしまいます。
正に「知らぬが仏」で、1食ごとに洒落ではなく本当に「仏」に近づくリスクを持っているのです。
これから読者の皆さんは、食生活リテラシーと呼べる知識のアップデートを行っていただき、誤った過去の情報をリセットして、QOLの向上に繋がる重要な情報を得るため、色々なソースを利用して全方位にアンテナを張っていただければ幸いです。
食生活のアップデートをして、健康寿命を延ばしましょう!(ま)


