貯筋のススメ!
さて、今回は「貯筋のススメ!」という話題です。
「貯筋」とは、その名のとおり筋肉を蓄えておくことです。
貯金と同じように若いときから筋肉を蓄えておくことで、筋力の衰えが顕著になる老後の生活に備えるというものです。
老後を安心・安全に暮らすため、QOLの向上に資するためには、筋肉を一定水準以上に維持しておくことが必要です。
筋肉や神経、骨、血管などあらゆる組織の諸機能は加齢とともに低下する傾向にあります。
人間である以上、これらの老化現象は避けることはできません。
特に普段から運動不足になりがちな人は、その傾向が強くなっています。
場合によって、若いときから運動不足だった人は、老後に寝たきりになってしまうケースも出てくることがあります。
50歳以降は筋力が1年間に1%ずつ萎縮していくというデータもあります。
また、年をとってから病気などで入院してしまうと急激に筋力が落ちてしまうことが起こったりします。
豊かで機械化された便利な現代社会においては、日常生活で身体を動かす機会が減り、このような状況下で長く生活していると、ますます運動機能は低下してしまいますので、意識的に身体を動かすことに注力する必要があると言えます。
いつまでも元気で自立した生活を送るためには、生活環境に適応できる身体能力(この能力のことを「生活フィットネス」と呼びます)が必要です。
「生活フィットネス」は年とともに低下していきますが、この低下のパターンには大きな個人差があります。
平均的な生活を送っている人と比べて、よく体を動かしている人は年をとっても「生活フィットネス」を高い水準に維持しています。
一方、運動不足が続くと「生活フィットネス」は低下していきます。
また、病気などをきっかけにして身体を動かす機会が減ることで、急激に「生活フィットネス」が低下してしまう場合もあります。
「生活フィットネス」には筋力、持久力、柔軟性などさまざまな要素がありますが、なかでも特に重要な要素は「脚筋力」でしょう。
「脚筋力」が低下するとイスから立ち上がる、歩く、階段を昇るといった日常生活における運動がスムーズに行なえなくなります。
また、歩行時に脚が高く上がらず少しの段差につまずいてしまうことや、バランスを崩したときに身体を立て直したり踏ん張ったりする筋力が低下していることが、転倒の原因となっています。
高齢になると骨の強度が弱まっている場合が多く、転倒により骨折してしまうと、寝たきり生活を余儀なくされる場合も少なくありません。
このように老後に寝たきりにならずに一定水準の日常生活を送るためには、若いときからの「貯筋」が必要ということに繋がっていくわけです。
欲しいものがあったときに貯金があれば買うことができます。
貯金は「ゆとり」でもあるわけです。
筋肉もお金と同じで、いざというときのために「貯筋」しておくことが必要です。
例えば、突然病気になって入院しなければならなくなっても、筋肉の「貯筋」にゆとりがあれば、病気や怪我が治ったときにまた普通の生活に戻ることができます。
しかし、病気や怪我で入院している間に「貯筋」が減ってしまい、寝たきりラインを下回ってしまうと、病気は治ったのに歩けなくなってしまったということにもなりかねません。
『備えあれば憂いなし』は筋肉にもあてはまるのですね。
常日頃から運動を通して、しっかりと自分で貯めておくしかないのです。
では、「貯筋」をするためにはどんなことを行えばよいのでしょうか。
それは、一にも二にも普段からの運動です。
お金は不足した場合、借りることができますが、残念ながら筋力は借りることができません。
筋力を蓄えることができる唯一の方法は、普段から筋肉を意識して使っていくことが早道です。
最近では、より身近に筋力を鍛えられるようにと、道具を使わずに毎日できるトレーニングとして、「貯筋運動プロジェクト」が提唱されています。
これは、地域スポーツクラブや動画などで貯筋運動の指導や解説を受けられるようにして誰でもすぐに貯筋のための運動をできるようにするというものです。
「公益財団法人健康・体力づくり事業財団」のホームページでも貯筋運動をするための動画を掲載しています。
財団のホームページのトップページから上の方に並んでいるタスクのうち「調査運動をやってみよう(動画)」を選択して、出て来たエクササイズでやってみたいものの動画を見ながらご自身で体験してみてください。
エクササイズには、イスに座ったまま運動できる「座位プログラム」と、立って運動する「立位プログラム」の2つがあります。
各プログラムには、基本となる姿勢や脚の筋力を増やすための「つま先上げ」や「もも上げ」などのエクササイズ動画が盛りだくさん揃っています。
また、同財団における面白い取り組みの一つが、貯金通帳ならぬ「貯筋通帳」を販売していることです。
「1つの種目を1セット運動するごとに100円が貯金される」というもので、これなら貯金と同じような感覚で楽しみながら「貯筋」をすることができます。
このように貯筋運動プロジェクトなどを活用して、日々の運動を心掛け、「貯筋」をすることが重要だと言えますね。
「貯筋」は、老後をより元気に、若いときと同じように日常生活を支障のないようにするために必要なものです。
これだけをみてみると、「貯筋」はフィジカル(物理的、身体的)な部分を担うことを指すんだと思われる方が大半でしょう。
しかし、ウォーキングで「貯筋」の実践をしている私が感じていることで、大切なことが他にもあります。
それは、「貯筋」の手段であるウォーキングをしていると、フィジカルの向上とともに、メンタルの向上も合わせて出来ることを、経験則から感じています。
歩きながら気になっていたことを頭の中で整理してまとめることで、心を平静へと持っていくことが出来たり、朝日を浴びることで幸せホルモンのセロトニンを作り出すことが出来ます。
また、視覚では色とりどりの花々や木々の緑を目にすることで、聴覚では小鳥や虫たちの鳴き声を聞くことで、触覚では気温や湿度、紫外線などを肌で感じることで、四季の移ろいを全身の感覚神経を通して感じられます。
更に、嗅覚では森林浴で心身ともにリラックスが出来て、ストレス解消にも繋がります。
このように「貯筋」の実践は、人へのフィジカルとメンタルの両方に作用することでQOLの向上に多大な影響を及ぼしてくれるものだと言わざるを得ないと考えています。
読者の皆さんは、こうしたフィジカルとメンタル両面における「貯筋」の有効性を理解していただき、明日からと言わずに今日からでも自分自身に合った「貯筋」のルーチンに取り組んでみては如何でしょうか。(ま)


