春のかくれ脱水に気をつけましょう
さて、読者の皆さんは、朝起きた時に「めまいがする」「疲れが取れない」「頭痛がする」ことはありませんか。
もしかすると、その原因は「脱水」かもしれません。
正しい水分補給をしないと摂った水分が無駄になるばかりか、意外な病気につながり命を落とす可能性もあるそうです。
特に春は、じわじわと進行する「かくれ脱水」なるものに注意が必要な季節だそうです。
今回は、読者の皆さんのQOLのリスク要因にとなる「脱水」のことやその対処法などについて、深掘りしていきたいと思います。
それでは先ず、私たちの命の源と言える水について、簡単に考察していきましょう。
人の命にとって、水の役割はどういったものがあるのでしょうか。
水は、のどの渇きを潤すだけでなく、大切な生命を支える重要な役割を担っています。
例えば、体内の栄養素や酸素の運搬、老廃物の排出、発汗による体温調節や代謝を助ける役割などがあります。
また、水を直接飲んだ場合と、食事によって摂取されるものとでは水分の吸収の違いがあります。
通常、水を飲んでから体内に吸収されるまでは約30分かかると言われていますが、食事から摂取する水分は、分解されながらゆっくりと体内に吸収されるため、水を飲んだ時より時間がかかるそうです。
では次に、水分不足状態の「脱水」について詳しく見ていきましょう。
先ず、「脱水」とはどういったことを言うのでしょうか。
「脱水」とは、水分補給不足や汗・下痢などにより体液が失われ必要な分と塩分などが不足している状態のことです。
血液の粘度が高まる(ドロドロになる)ことで、酸素や栄養を全身に運ぶ能力が低下し、さまざまな不調を引き起こします。
一年中どの時期でも「脱水」になることはありますが、春頃から脱水患者が増える傾向にあるのだとか。
春の「脱水」は気づかないうちにジワジワと進行するので注意が必要だそうです。
続いて、具体的な「脱水」の症状を見て行きましょう。
通常、足がつる場合は筋肉の疲労が原因のことが多く、片足や局所に症状が現れます。
しかし、「脱水」が原因の場合は血液中の電解質(塩分など)が全身で不足するため、左右の足の筋肉が同時につるのだそうです。
「脱水」の症状には他にも、だるさやめまい・倦怠感・吐き気・頭痛などがあります。
ただ注意しなければならないことは、水分だけを十分に補給しているから大丈夫と考えないことです。
なぜなら、水分と同時に電解質(塩分など)を補給しないと、全身に回っている血液中の電解質が補充された水によって薄められてしまい、後述する「水中毒」の症状に繋がる恐れがあります。
次に、発症した「脱水」のレベルを軽度・中等度・重度の3段階に分けて見てみましょう。
・軽度(水分が失われる割合2%以上〜5%未満)では、症状:のどの渇きなどを感じることもあるが、症状が出ないことも 多い
・中等度(水分が失われる割合5%以上〜10%未満)では、症状:倦怠感・頭痛・吐き気が起こります
・重度(水分が失われる割合10%以上)では、症状:意識障害・けいれんを発症し、最悪の場合には死に至ります
夏などの暑い時期であれば、発汗があって水分補給には注意をしますが、春のような陽気であれば汗をたくさんかくことがないので、つい水分補給をスルーしてしまうことがありませんか。
実は春には「脱水」がじわじわと進行し、給水が必要との自覚がない「かくれ脱水」なるものが存在します。
では、この春の「かくれ脱水」を引き起こす原因は、どういったものが隠れているのでしょうか。
◯のどが渇きにくい気候
夏場は汗をかき喉も渇きますが、春はのどが渇きにくいので、水分補給を忘れてしまい「脱水」を引き起こしてしまうそうです。
◯活発になる「不感蒸泄(ふかんじょうせつ)」
「不感蒸泄」とは、発汗以外の皮膚や呼吸(呼気)を通じて本人の自覚のないまま身体から失われる水分のことです。
「不感蒸泄」には体温調節や体内の水分バランスを保つ役割があり、1日に1L程度の水分が蒸発していると言われています。
春は気温が上がって体温調節のための「不感蒸泄」が活発になるため、気づかないうちに「脱水」が進んでしまいます。
また、湿度が低いと「不感蒸泄量」が増えるというデータもあります。
春は昼夜の寒暖差が大きく、湿度も変化しやすいため、気が付かないうちに「脱水」が起こりやすい状況といえますので、水分補給には十分に注意しましょう。
では、「脱水」を防ぐために重要な正しい水分補給の方法を見て行きましょう。
水分補給ポイントは、「起床時にコップ1杯の水を飲む」ことです。
眠っている間、人は汗や不感蒸泄で一晩に約500mL〜1Lもの水分を失っていますので、起床時にコップ1杯の水を飲むことで「脱水」による不調を回避できるそうです。
また、1日に必要な水の量はどの位なのでしょうか。
人が1日に排出する水分は「不感蒸泄」や尿などで約2500mLです。
そのため、同じ量の水分を摂取することが必要となりますが、体内で作られる代謝水(体内で栄養素がエネルギーになるときに生成される水)と食事で摂取できる水分があり、残りの1200mLを水などの飲み物で摂る必要があります。
下記に一般的な1日の水分排出量と水分摂取量を示してみました。
≪1日の水分排出量≫ ≪1日の水分摂取量≫
不感蒸泄・汗 900mL 代謝水 300mL
尿 1500mL 食物 1000mL
大便 100mL 飲料水 1200mL
計 2500mL 計 2500mL
では大切な水分補給ですが、実は大きな落とし穴が2つあります。
◯のどが渇いているのに渇かないと感じる「口渇中枢」の衰え
「口渇中枢」とは、脳の視床下部にあるのどの渇きを感じさせ、水を飲みたいという欲求を起こさせる神経部位です。
体内の水分が減ると、のどの渇きを感じるようになっていますが、年齢とともにその機能は衰え、のどの渇きを感じにくくなってしまいます。
そのため高齢者とっては要注意事項となりますが、飲む回数と量を意識すれば「脱水」状態を改善することができます。
◯摂った水分がすぐに排出される「一気飲み」
身体が一度に吸収できる水分量は200mL〜250mLです。
それ以上は一度吸収されても、すぐに尿として排出されてしまいます。
そのため、一度に多くの量を飲んでいる人は、一度に飲む水分の量を減らし、こまめに飲むようにすると良いそうです。
では、「脱水」に陥らないために、自身で「脱水状態」を簡単にチェックできる方法を紹介します。
「脱水状態かな?」と感じた場合に次の方法によって確認して、重篤な状況にならないようにしましょう。
◯口、くちびる、舌が乾いている
◯尿量が極端に少ないまたは出ていない
◯外気で冷えていない場合でも手や足の指先が冷たい
◯手の甲の皮膚をつまんだあと3秒以上経っても元に戻らない
上記4項目のうち2つ以上当てはまった場合はすぐに水分を摂りましょう。
次に、専門医の先生のオススメ水分補給法を紹介しましょう。
コップ1杯分の水(170mL〜240mL程度)を決められたタイミングで1日8回補給することで、1日に必要な量をしっかり摂る事ができるそうです。
コーヒーを飲む習慣がある人は、カフェインによる利尿作用が弱まっているのでコーヒーを水分補給としてカウントしてもOKです。
ただし、水分を1日で3〜4L以上摂ると、「水中毒」になる可能性があるので注意しましょう。
「水中毒」とは、大量の水分を摂取することで、その水分によって血中の塩分濃度が薄められて急低下し、頭痛・めまい・意識障害などを起こしてしまう病態のことです。
「水中毒」にならないためにも、水分補給はこまめに適量を心掛けましょう。
1日に8回補給するタイミングの目安は、次のとおりです。
1 起床時
2 朝食時
3 午前10時頃
4 昼食時
5 午後3時頃
6 夕食時
7 入浴の前後どちらか
8 就寝前
また、トイレが近くならない水の飲み方に関しても触れておきましょう。
冷たいものを摂ると膀胱や身体を刺激してしまうことで、尿意が近くなってしまうそうです。
そのため、常温や出来れば白湯を用意するのがいいでしょう。
そして、コップ1杯分を5分くらいかけて少しずつ飲むと、ゆっくり吸収されるのでトイレが近くなりにくくなります。
水分補給をする上で、水や飲み物と同じくらい大切なのが食事です。
春は夏に比べてのどが渇かず、水分補給を怠って気が付かないうちに「脱水」になってしまうことが多いため、水分が多い食材を意識して摂ることが大切と言えます。
1日に必要な水分量2.5Lのうちの1Lを食事から摂取しているので、しっかりと3食摂ることが重要となります。
逆に1食抜くと、1日で食事から摂取する水分の3分の1が摂れないことになってしまい水分不足に陥ってしまいます。
また、食事の水分は身体にゆっくり吸収されるため、尿意を催しにくいのもメリットだそうです。
今まで水分補給に気遣うのは暑い夏の季節と考えて然程気遣って来なかった方や、スギやヒノキの花粉症に注意の目が行っていた方も、これからは自身のQOLのリスクになる春の「脱水」に注意を払っていただければと思います。
花見に出掛けるときには、バッグにはお茶か水の入った水筒かペットボトルをお供に楽しんでいただければ幸いです。(ま)

