寒暖差疲労

さて、今回は「寒暖差疲労」についてのお話しです。

「寒暖差疲労」とは、季節の変わり目や急激な温度変化によって自律神経が乱れ、心身に疲労感が生じる状態を指します。
これは「気象病」の一つで、特に気温差7℃以上を目安に、不調が現れやすい傾向があります。
「気象病」とは、気象・天候の変化によって症状が出現する、あるいは悪化する疾患の総称で、気圧や気温、湿度などの急激な変化がストレスとなり、自律神経のバランスが崩れることが原因の一つとみられています。
急激な気温変化が起こると、寒暖差に体が適応しようとして、体温調整を担う自律神経が過剰に反応し続けます。
結果、体に大きな負担がかかり、「寒暖差疲労」を引き起こすのです。
特に、温度変化に慣れていない方や体温調整がうまくできない方、そして高齢者などに多く見られる症状です。
では、そもそも寒暖差とはどういったことを言うのでしょうか。
一般的には次のの3つのパターンをいいます。
・当日の最低気温、最高気温の差
・前日と当日の寒暖差、週単位での寒暖差
・(冷房の効き過ぎによる)室内外の寒暖差

症状は人によって異なるため、寒暖差による不調だと気づきにくい場合もあります。
ここからは、「寒暖差疲労」による典型的な症状を「体の不調」と「心の不調」に分けて見ていくことにしましょう。
【体の不調】
寒暖差による体の不調としてよく見られるのが、気温変化に対応しようと自律神経が働く際に、エネルギーが消耗されることによる全身のだるさや疲労感、倦怠感です。
また、肩こり、頭痛、耳鳴り、めまい、ふらつき、手足の冷え、便秘や下痢、不眠などの症状も現れることがあります。
【心の不調】
体の不調に加えて、イライラや不安感、ストレスの増加による精神的な不調が生じることもあります。
情緒不安定と感じる場合は、「寒暖差疲労」の可能性が考えられます。
「寒暖差疲労」が慢性化すると、わずかな気温差でも不調を感じやすくなるため、「寒暖差疲労」が慢性化しないよう、まずは「寒暖差疲労」を起こさないような注意が必要です。

「寒暖差疲労」が起こる主な原因は、体温調整に使うエネルギー消費の増大です。
人間の体は外気温が高いときには発汗によって体温を下げ、逆に外気温が低いときには体内の熱が逃げないように熱放散を抑制したり熱を産生して、体温を36~37度前後に保とうとします。
これらの働きは自律神経によってコントロールされています。
しかし、寒暖差が大きいと、自律神経が絶えず気温変化に対応する必要があり、通常以上に負荷がかかってしまいます。
その結果、体温の調整にかかるエネルギー消費量が大きくなり、心身の不調が起こりやすくなるのです。
特に、1日の気温差が目安7℃以上も上下する日や、例えば冬に、暖かい室内と冷たい外気の室外を頻繁に行き来するような状況が挙げられます。
このような状況では、私たちの体に大きなストレスがかかっている他、交感神経と副交感神経が絶えず気温に適応するように働かなければならないため、疲労が蓄積しやすくなります。

では、「寒暖差疲労」が起こりやすいのはいつ頃でしょうか?
「寒暖差疲労」は、特に春や秋の季節の変わり目に起こりやすいと言われています。
暖かさと寒さの両方を感じるような気温差が生じると、体は寒暖差の影響を受けやすくなります。
春や秋は日中と朝晩の温度差が大きいため、「寒暖差疲労」が起きやすい状況が自然と増えるのです。
また、冷房の使用で屋内外の気温差が大きくなる夏や、暖房が効いた室内と冷え込む外気との差が生まれる冬も、「寒暖差疲労」が発生しやすい原因がありますので、現代においては年がら年中「寒暖差疲労」の起きやすい状況に置かれていると言えるかも知れませんね。
特に温暖化の影響もあり、夏は冷房をつけている時間が長く、一日中冷房の中にいることも多くなっています。
このような季節の変わり目や温度管理が難しい環境では、普段以上に体調管理が重要です。

「寒暖差疲労」と「寒暖差アレルギー」は、どちらも気温の変化によって体に不調が現れる点で共通していますが、そのメカニズムや症状には違いがあります。
「寒暖差疲労」は、気温の変化に適応しようとする自律神経が過剰に働くことで多大なエネルギーを消耗することで生じます。
このため、体がだるく感じたり、頭痛や肩こり、眠気、不安感など、全身に疲労や不調が現れるのが特徴です。
一方、「寒暖差アレルギー」は、正式には「血管運動性鼻炎」と同義です。
温度差によって鼻の粘膜の知覚神経が刺激されることでくしゃみや鼻水が起き、鼻の粘膜の血管が拡張することで鼻水・鼻づまりといったアレルギー症状が出る状態を指します。
これはアレルギー物質が関与しているわけではなく、温度差そのものによって神経調節のバランスを失うことで、アレルギー性鼻炎に似た症状を引き起こすとされています。
つまり、「寒暖差疲労」は全身に広がる疲労感や倦怠感が主な症状であるのに対し、「寒暖差アレルギー」は鼻を中心とした呼吸器系の症状というのが主な違いです。
どちらも自律神経の乱れが関係していますが、「寒暖差アレルギー」は鼻粘膜の反応が原因であり、それぞれに応じた対応や予防法が求められます。

ではここからは、読者の皆さんが簡単に出来る自分自身の「寒暖差疲労セルフチェック」をしてみましょう。
「寒暖差疲労のセルフチェック」は、季節の変わり目や急激な気温変化に体がうまく対応できず、さまざまな不調を引き起こしているかを見極めるための指標です。
以下の項目に当てはまるかどうかを確認してみましょう。
<寒暖差チェックシート>
・暑さ、寒さが苦手
・エアコン(冷房・暖房)が苦手
・周りの人が暑いのに、自分だけ寒く感じて長袖が常に手放せない
・顔がほてりやすかったり、全身がほてりやすい
・温度差が強いと、頭痛や肩こり、めまい、だるさ、関節痛、喘息、下痢
 などのさまざまな症状が現れる
・熱中症になったことがあったり、熱中症に近い状態になったことがある
・季節の変わり目に、体調不良になる
・冷え症がある
・温度が一定の環境にいる時間が長い(オフィス、自宅でも一日中エアコン
 をつけている)
・代謝が悪かったり、体がむくみやすい
チェック数が1~3個の場合は軽症の可能性、4~6個であれば中等症の可能性、7個以上は重症の可能性が考えられ注意が必要です。
ただし、このチェックシートはあくまで目安であり、「当てはまる=即治療が必要」というわけではありません。
「寒暖差疲労」や「気象病」といわれる症状は自律神経が深く関係していますが、「気象病」を起こす7~8割は女性であり、更年期障害の症状と重なる部分も多くあります。
更年期障害も自律神経の乱れが原因となるため、連動して同じ時期に不調になりやすい特徴もあると言えます。
チェックの数が多い場合、以下の対処法を参考にして、一度医療機関の受診を検討してみるのも良いかもしれません。

「寒暖差疲労」への対処法
頭痛、めまい、肩こり、関節痛、喘息、下痢などが続く場合は、自己判断せず専門家の診断を仰ぐことが重要です。
まずは内科を受診し、必要に応じてさらに専門的な治療が必要かを確認しましょう。
専門外来として「寒暖差疲労外来」を設けている医療機関もあります。
「寒暖差疲労」は放置すると体調が悪化する可能性があるため、早めに医療機関を受診するなどの対応が大切です。

「寒暖差疲労」への対策
「寒暖差疲労対策」には、自律神経を整えることが重要です。
急激な温度変化に体が対応できるよう日常的に自律神経を整えることで体が寒暖差に強くなり、症状の発症を和らげることができます。
自律神経が乱れると、体温調節が難しくなり、さまざまな不調が現れるため、意識的に整える習慣を取り入れることが効果的です。

自律神経を整える方法を基盤として「寒暖差疲労対策」を紹介しましょう。
規則正しい生活を送ることは、「寒暖差疲労」を予防し、体のバランスを整えるために非常に重要です。
それでは、規則正しい生活の具体例についてはどのようなものがあるのでしょうか。
1 質の良い睡眠・生活リズムを心がける
質の良い睡眠は、脳の疲労回復をサポートします。
夜は照明を控え、スマートフォンなどのデジタル機器の使用を避けることで、リラックスしてぐっすりと眠れる環境を整えることができます。
さらに、朝になれば太陽の光を浴びることで、自然な生活リズムの促進も可能となります。

2 シャワーのみで済まさず、湯船に浸かる
少しぬるいと感じる温度のお風呂に首までしっかり浸かり、体の芯まで温めることも、自律神経を整えるのに効果的です。
「寒暖差疲労」の症状の一つである冷え症対策として、保温・保湿効果のある入浴剤を使用するのもおすすめです。

3 適度な運動を取り入れる
定期的な運動は、体力の向上、血行改善、そしてストレスの軽減に効果があります。
ウォーキングやストレッチなど、無理なく続けられる運動を日常生活に取り入れることが大切です。
また、デスクワークを行っている方は、定期的に立ち上がるなどして、座りっぱなしの時間を避けるよう心がけましょう。

4 体を温めるバランスの良い食事
人参や大根などの根菜類、さらにタンパク質など、体を温める食材を意識して摂取することをおすすめします。
一方、冷たい飲み物や体を冷やす食べ物の取りすぎには注意が必要です。
近年、若い世代では栄養バランスの整った食事を毎食行う人の割合が減少し、主食のみの食事が増えている傾向があります。
この結果、エネルギーの基となる栄養素に比べて、ビタミンやミネラルが不足しがちです。
特にビタミンB1は、糖質からエネルギーを生成する過程に不可欠な栄養素です。
ビタミンB1を十分に摂取することで、エネルギーを効率よく得られ、抗疲労効果も期待できます。
日常的にビタミンやミネラルが不足している方は、栄養機能食品や医薬部外品の栄養ドリンクを利用するのも一つの方法です。

5 自律神経を整えて「寒暖差疲労」を乗り越えよう
気温の変化が激しい現代では、適応しようと知らず知らずのうちに体に負担がかかり、自律神経の乱れから来る不調を感じる人は多いです。
この不調を引き起こす「寒暖差疲労」を防ぐためには、日常生活での自律神経を整えるケアがますます重要になっています。
日頃から適度な温度差を意識しつつ、規則正しい生活や食生活を整えてみるようにしてください。
少しずつでもいいので、日常生活の中で小さなケアを積み重ね、寒暖差に強い体を作っていきましょう!
継続をすることによって、徐々に心身共に健康な身体を作り上げていくことができるでしょう!(ま)