人生を豊かにする時間管理術
さて、今回の話題は「人生を豊かにする時間管理術」についてのお話です。
シニア世代になると誰もが、物忘れが増えたり、身体が思うように動かなくなったり、ちょっとしたことが「ひと仕事」になってきます。
ですから高齢になればなるほど、「時間に縛られたくない」「自由に過ごしたい」という感覚が強まり、何をするのにも、これまでよりも時間がかかってしまいます。
そのような理由からでしょうか。若い時のように“効率”や“生産性”を重視した時間管理術は、必ずしも心地よい有効な手法とは限りません。
ただ、「時間を管理すること」=「自分の人生のリズムを整えること」という視点で捉え直すと、時間管理術を学ぶことはシニア世代にとってもQOL(生命の質・生活の質・人生の質)を高める大切な方法になります。
このような高齢者にありがちな葛藤の中で、ある時、普段読まないような台湾出身の IQ 160という世界屈指の頭脳をもつ方の本にであいました。
その本とは、「オードリー・タン 私はこう思考する」という本ですが、現在44歳になっている彼女は、35歳のときに、史上最年少で行政院(内閣)に入閣し、台湾初のデジタル大臣になりました。
世界がコロナ禍で大変な状況になった時、台湾がロックダウンなしに新型コロナウイルスの封じ込めに成功したのは、政府と国民の信頼関係のもと、デジタル技術が活用されたからだ。と言われています。それを主導したのが、オードリー・タン氏です。
コロナ禍で一躍有名になった彼女は、その後も、2023年の TIME誌が選ぶ「AI分野で最も影響力のある100人」に選出されるなど、さらに時の人となりましたが、そんな多忙を極めている賢い方が、いったいどのような時間管理術を使って生活されているのか、大変興味がありました。
この本には、オードリー・タンが日々行っている時間管理術、それは「ポモドーロ・テクニック」という手法であることが詳しく書かれていました。
その影響力は凄く、2020年、オードリーが「ポモドーロ・テクニック」で時間を管理していることがメディアで報じられると、社会はこの話題でもちきりになったそうです。
彼女の一日の過ごし方や考え方を知れば、どんなに多忙な状況であっても、効率よく仕事をこなしつつ、生活の質の向上や自らの学びのための時間をいかにして生み出しているかがよくわかります。
年齢に関係なく、限られた時間を意識して過ごすことが、生活の質に直結し、より豊かな人生につながる大変重要な要素であることを、この本を通して改めて気づかされました。
そのようなことから、ここで、いくつかの代表的な時間管理術の中から、とくにシニア世代にとって、最適な時間管理術を 3つ ご紹介したいと思います。ぜひ、ご自分に合った方法を選び、行動を見直すヒントにしていただければ幸いです。
1.ポモドーロ・テクニック(短時間集中+こまめな休憩)
無理なく続けられ、一つのタスクに集中でき、「生活のリズムを整える方法」として最適。時間を区切ることで、集中力を保ちながら疲れを防ぐことができます。リズム型の時間管理法です。
【特徴】
・1ポモドーロ=25分集中+5分休憩。
・4回繰り返したら15〜30分の長めの休憩をとる。
・時間を区切ることで「少し頑張って、少し休む」というリズムを保つことで、疲れにくく集中しやすくなる。
【 メリット】
・集中と休息のリズムが保てる。
・「あと25分だけ頑張ろう」と心理的ハードルが下がる。
・作業時間を客観的に把握できる。
【デメリット】
・深い集中が必要な作業(クリエイティブな仕事など)では中断がストレスになることも。
・タイマー管理が面倒に感じる人もいる。
【向いている人】
・集中力が続かない人
・先延ばし癖がある人
・勉強・ライティングなど短時間集中に向く仕事をしている人
【高齢者に最も向いている理由】
・集中と休憩のバランスが自然で、疲れにくい。
・「少し頑張る→少し休む」の繰り返しで達成感と満足感が得られる。
・脳科学的にも集中維持に効果がある
・家事・読書・脳トレ・趣味など、どんな活動にも応用可能。
・タイマーを使うだけで実践でき、操作が簡単。
※「今日は2ポモドーロだけやる」と決めるだけでも◎。
2.タイム・ブロッキング法(時間をブロックして予定化する)
1日の時間をあらかじめ「朝・午前・昼・午後・夜」といったブロックに分け、それぞれに行動予定をゆるく割り当てる方法。心身の健康維持・生活習慣の安定に効果的。特に退職後・在宅中心の方におすすめです。
【特徴】
・カレンダーや手帳で「何時に何をするか」をあらかじめ決めておく方法。
・1日のスケジュールを“意図的に設計”することで、流されない行動を実現する。
【メリット】
・「時間の使い方」が整理される。
・後回しや“空き時間の浪費”が減る。
・マルチタスクを防ぎ、集中時間を確保できる。
【デメリット】
・予期せぬ予定変更があると崩れやすい。
・柔軟性が必要な仕事には向かない。
【向いている人】
・自分の時間を管理したいビジネスパーソン
・計画通りに進めるのが得意な人
【高齢者に向いている理由】
・1日の生活リズムが明確になり、だらだら過ごす時間が減る。
・「予定がある」と意識できることで、生活の張りが生まれる。
・朝・昼・夕方などの時間帯ごとにルーチン化できる。
・孤独感を防ぎ、1日に目的が生まれる
・紙のスケジュール帳でも実践できる。
※注意点
厳密に決めすぎるとストレスになるため、「ざっくりした枠」で管理するのがコツ。
3.アイゼンハワー・マトリクス(「緊急度」と「重要度」で優先順位を整理)
時間管理だけでなく、人生の優先順位を整理するツールとしても有効。「やらない勇気」を持ちたい高齢者におすすめです。
【特徴】
・タスクを「重要度」と「緊急度」の2軸で4つに分類して、優先順位を明確にする方法。
・目の前の“急ぎの仕事”に流されず、本当に価値あることに時間を使うよう促します。
【メリット】
・何を優先すべきかが明確になる。
・長期的な成果に時間を使える。
【デメリット】
・分類が主観的になりやすい。
・計画を立てても「重要だが緊急でないこと」が後回しになりがち。
【 向いている人】
・「忙しいけど成果が出ない」と感じている人
・優先順位のつけ方に迷う人
【 高齢者に向いている理由】
・「やるべきこと」と「やらなくていいこと」が整理でき、心が軽くなる。
・予定や用事を詰め込みすぎず、ゆとりを保てる。
・判断に迷ったときに、シンプルな軸で考えられる。
・本当に大切な活動(健康・人との交流など)に時間を使える
・紙とペンだけで簡単にできる。
いかがでしたでしょうか?
高齢者にとって時間管理術を選ぶ際に大切なのは、「複雑でないこと」、「無理をせず続けられること」「生活に張りが出て心身のリズムに合うこと」です。
管理して“縛る”のではなく、“整える”ための仕組みとして考えるのがポイントです。例えば、
・「午前中は身体を動かす時間」「午後は休息や好きなことをする時間」といったゆるやかなリズムを決める。
・「疲れたら休む」「やれるときにやる」といった柔軟さを許す。
・「一日のうちで小さな達成をひとつ作る」ことで充実感を得る。
など、時間の“効率化”よりも、心と身体のリズムを保つことが大切です。
高齢者の研究では、一定の生活リズムを保つ人ほど、抑うつリスクが低い。「予定を立てる」「一日の流れを意識する」人ほど、主観的幸福度が高い。といったデータもあります。
つまり、“きっちり時間で動く”ことが目的ではなく、一日の中で「安心できるリズム」を持つこと自体が、心身の健康につながるのです。
そして、「今日は何をするか」よりも、「どんな時間を過ごしたいか」を軸にすると、さらにQOLが上がります。
「時間はすべての人に平等に与えられている」とよく言われます。
ぜひ一度、ご自分に合った無理のないやり方で、QOLを高め、人生を豊かにする時間管理術を実践してみてはいかがでしょうか。(ふ)


