ホワイト水素でゼロカーボンを目指そう!

さて、今回は読者の皆さんと科学の勉強です。

読者の皆さんは、今注目の画期的なクリーン燃料「ホワイト水素」をご存知でしょうか。
ホワイト水素とは、再生可能エネルギーを用いて水を電気分解することで製造される、環境に優しい水素のことです。
太陽光、風力、水力などの再生可能エネルギーを利用するため、製造過程でCO2を排出せず、カーボンニュートラルな水素として注目されています。
ホワイト水素は、脱炭素社会の実現に向けた重要な要素として、これから様々な分野での活用が期待されています。

ホワイト水素は、化石燃料に代わるクリーンなエネルギー源として、SDGsのゴール7で言うところの「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」の達成に大いに貢献できます。
また、ゴール9の「産業と技術革新の基盤をつくろう」では、ホワイト水素の活用は、産業におけるクリーンな技術の導入拡大につながります。
水素発電や燃料電池など、ホワイト水素を利用した技術は産業の脱炭素化に寄与します。
更に、「気候変動に具体的な対策を」を目指すゴール13にも、深く関与しているといえます。

脱炭素社会の実現に向けて、ホワイト水素の役割は大きく、企業にとっても新たなビジネスチャンスとなる可能性があるでしょう。
一方で、技術的・経済的な課題もあるため、官民一体となった取り組みが求められているといえます。
ホワイト水素の普及と活用が進むことで、持続可能な社会の実現に近づくことができるでしょうね。

最近、こういったホワイト水素に関する期待感を後押しするような研究発表がありました。
ホワイト水素と呼ばれるエネルギー源が各地の山脈に大量に埋蔵されている可能性のあることが、新たな研究で明らかになったのです。
自然界において作り出された燃焼しても温室効果ガスを排出しないとされるこの気体の採取が可能になれば、気候危機対策の取り組みにとって大きな追い風になるとの声が高まっています。
ホワイト水素は地球温暖化につながる化石燃料に取って代わるものとしての期待感から、最近になって一躍注目を集めています。
一部の科学者により、ホワイト水素が地殻内部に大量に存在していると伝えられるようになったのは、ほんの20~30年前のことでした。
それ以降、地質学者らはその形成過程や埋蔵地点の検証を続けています。
主要な問題は、どこを探索すれば人類のエネルギー需要を満たすに十分な埋蔵量を発見し、採掘できるかというところです。
科学者のチームはコンピュータモデルを駆使してプレートの動きを検証。
ホワイト水素の形成に最適な条件を備える地域の割り出しを試みました。
その結果、ピレネー山脈やヨーロッパ・アルプスといった山脈が埋蔵地の有力候補として浮上してきました。

水素は長年、環境に優しい燃料と目され、エネルギー消費量の多い航空、製鉄産業での活用が期待されていました。
しかし商用化された水素の大半は化石燃料を利用して作られるため、水素が本来持つ温室効果削減の効力は打ち消されてしまっていたのです。
ホワイト水素は、使用することでどうしても温室効果ガスであるCO2を出してしまう化石燃料とは異なり、CO2を出さずに使用することができる画期的なエネルギー源なのです。
ホワイト水素の埋蔵地は米国やオーストラリア、フランスなどの各地で発見されていますが、未だ大規模な埋蔵地を見つけることが出来ていないため、大きな課題となっています。
ホワイト水素は地殻内での放射性崩壊など多くの過程を経て自然に形成されます。
しかし論文の著者で独ヘルムホルツ地球科学センターの研究チームが注目するのは「蛇紋岩化作用」というものです。
これは地球のマントルに由来する鉄分の豊富な岩石と水が反応することで水素を生み出す現象を指します。
こうした岩石は通常マントル由来であることから、地殻の中の地中深くにあり、水と容易に反応するわけではありませんが、数百万年にわたる地質作用がそれらの岩石を地表近くへと押し上げることがあります。
具体的には大陸の分裂、衝突によってマントルを構成する岩石が浮上し、海洋水と反応する状況が生まれると考えられています。

科学者らはプレートモデリングを使って、こうしたマントルの岩石が「掘り起こされた」地点と年代、及びその量を突き止めました。
その結果、前述のピレネー山脈やヨーロッパアルプス、ヒマラヤ山脈の一部がそうした地点に該当することが分かりました。
現地では大量の適温のマントル岩や深い断層がもたらす水の循環など、ホワイト水素を生み出す上での好条件がそろっているといいます。
これらのマントルの岩石は、各地の山脈で前述した「蛇紋岩化作用」を引き起こすとみられています。

現在抱えている大きな問題としては、採掘可能な大規模蓄積地のどこにホワイト水素が集まっているのかを突き止めることになるといいます。
マントルの岩石が地表付近に存在する地点を掘削し、そこに水を送り込むことで人工的に「蛇紋岩化作用」を起こすことも可能かもしれないということも考えられます。
初期段階の探索は既に、フランスやバルカン半島、米国などで実際に行われているところです。

水素の原料を化石燃料に求めることは論外です。
これからは、自然界が作り出したホワイト水素を採取する際の課題を克服することでホワイト水素の普及と活用が進み、持続可能な社会の実現に近づくことができるでしょう。
今回は、ホワイト水素は未来の私たちの生活や環境問題にどう関係し、どういった意義が含まれているのかを知っていただきたく、このメールマガジンでお伝えしました。
もし、自然界のシステムを利用して人工的にホワイト水素を作り出すことが出来れば、環境に優しいゼロカーボンのクリーンエネルギーを、持続可能なエネルギー源として利用できることになる夢のような未来が実現されるかも知れませんね!
人類の英知に大いに期待したいところです。(ま)