ウォーキングで健康寿命を延ばそう!

さて、今回は最新の調査結果に基づく健康寿命を延ばすウォーキングについての話題です。

新型コロナにより長期化する自粛生活が影響して、移動距離が抑えられて多くの人の歩行数が減っています。
歩行数の減少と歩く速さは健康寿命と密接に関係していて、筋肉量の減少がサルコペニア(加齢や病気などによって筋肉量と筋力が低下した状態)やフレイル(加齢により心身が老い衰えた状態)を引き起こすことからも、この事態は、将来私たちが高齢者になったときに大きく影響することになると言われています。
毎日行う「歩き」をもっと戦略的に、効率的に行えば、毎日の生活はもっと健やかに過ごせることになるでしょう。
そして病気を予防し、老化を遅らせることが可能となることで、日常的・継続的な医療・介護に依存することなく、自分の心身で生命維持をして、自立した生活ができる生存期間である健康寿命の延伸を図ることができることに繋がっていきます。
いまだからこそ、この健康寿命の延伸に深く関わってくるウォーキングの価値をあらためて見直してみましょう。

では、最新の健康寿命を延ばすウォーキングの常識について掘り下げてみたいと思います。
適切な運動が健康や病気予防に非常に有効であることはもちろんですが、運動はすればするほど体に良いのではなく、しすぎると免疫力低下につながることには注意が必要です。
健康効果が得られて病気予防に繋がる運動は、ウォーキングでいえば一日8,000歩、そのうち中強度の運動(具体的には「早歩き」や「階段の上り下り」など)を行う時間は20分です。
むしろそれを超える運動をすると活性酸素が多く発生し、疲れが溜まったりして、膝関節を傷めたり、血管にも負担をかけてしまいます。
これまで、どのようなウォーキング法が病気予防に有効かを示すデータはほとんどありませんでした。
それを具体的な数値で客観的に東京都健康長寿医療センター研究所の青栁先生の研究によって明らかにされました。
この研究は、2000年より四万温泉で有名な群馬県中之条町の65歳以上の全住民約5,000人を対象にした疫学調査がベースになっていて、この調査を分析していくことによって病気を予防する最も適したウォーキングの法則が導き出されたのです。
結論として、認知症、糖尿病、うつ病、骨粗鬆症、高血圧、脳卒中、心疾患、がんなど多くの病気を予防できるのは、一日8,000歩の歩行と、中強度の運動を20分行えば良いことが明らかになりました。
研究では、運動や身体活動のほか食生活、睡眠、労働時間、病気の有無や体調についても調査をしました。
詳細な血液検査や遺伝子解析も行っています。
その結果見えてきたのは、運動に付随した食や睡眠、人との活動を含めた生活習慣が重要だと言うことでした。
毎日8,000歩を超える活動は外に出ないと生まれませんから、人と会って社会的活動をすることになります。
するとおなかが減り、健康によいものを食べる意識が生まれます。
そして、体内時計が整い、睡眠にもよい影響を与えます。
「風が吹けば、桶屋が儲かる」方式で、一日8,000歩が健康意識の高い生活へとつながり、それが健康寿命を延ばす秘訣だったのです。

それでは、青栁先生がおっしゃる病気を予防するウォーキングの基本5カ条を掘り下げていきましょう!

  1. 大切なのは歩きの「強度」で、目安としてはなんとか会話ができるくらいが尺度となります。
    病気予防になるウォーキング法は、量と質の両方の観点から考えることが大切で、量は一日8000歩を指していて、質とは運動強度のことで、8000歩のうち中強度の歩行を20分行うのが最適です。
    中強度の歩行の目安は、なんとか会話ができる程度の速歩きです。
    歩きながら歌が歌えるようでは軽すぎて、会話ができないくらい息が上がってしまっては強すぎるというイメージで理解してください。
    ギリギリ会話できる程度というのは、運動によって活性酸素が発生して細胞がダメージを受けても、修復力、免疫力を高めてくれるちょうど程よい案配の運動強度です。
  2. ダイエット効果を期待するなら、連続速歩き30分を目指しましょう!
    75歳未満でメタボを解消するには、一日1万歩、うち中強度歩行30分を続けることが有効です。
    ただし運動習慣がない人はいきなりではなく、一日4000歩、中強度の歩行5分から始めて徐々に増やし、2カ月かけて1万歩・30分を目指しましょう。
    また、メタボでない人は一日8000歩、中強度歩行20分で十分メタボ予防になります。
    逆に1万歩以上歩くと免疫力が下がってしまうことから、病気のリスクが上がる可能性もあるので注意しましょう。
  3. 「8,000歩・速歩き20分」を2カ月続けて、長寿遺伝子のスイッチオン !では、「8000歩・速歩き20分」をどのくらい続ければ効果が得られるのでしょうか?
    前述した青栁先生は、「ひとつの目安は2カ月。2カ月で長寿遺伝子のスイッチがオンになります。」とおっしゃいます。
    長寿遺伝子とは、体内で細胞の損傷を防ぎ、エネルギー産生に影響を与えているサーチュインという酵素をつくる働きをもった遺伝子で、その活性化により生物の寿命が延びるとされています。
    分かりやすく言えば、美と若さを司る遺伝子と言えるでしょう。
    長寿遺伝子は誰もがもっているものの、普段は眠っていてどうすれば目覚めて活性化するのか、わかっていませんでした。
    しかし2012年にスウェーデンの研究で「1日20分の中強度の運動を2カ月」で長寿遺伝子のスイッチが入ることが証明されました。
    しかし2カ月休んでしまうと再び長寿遺伝子は休眠してしまいますので、継続することが大変重要なこととなります。
  4. 不眠解消のおすすめは夕方ウォーキング
    朝起きてすぐのウォーキングは避けてくださいと言われています。
    なぜなら人は就寝中に呼吸や汗で水分を体外へ出してしまいますから、起床時には水分が不足していて身体はカラカラです。
    また、血液はドロドロの状態になっています。
    そのため、脳卒中、心疾患のリスクを高めてしまいます。
    朝、水を飲んだとしても、小腸に届くまで最低20分はかかります。
    このようなことから、水分不足状態は直ぐには解消されないため朝起きてすぐの運動は健康のためには控えましょう。
    では効果的なウォーキングの時間帯はどこかと言えば、それは最も体温が上がる夕方です。
    夕方に速歩きをすれば、筋肉が刺激され、血液の巡りもよくなり、ピークの体温がさらに上がります。
    その後、徐々に体温が下がり、就寝時の体温に至ります。
    ウォーキングで体温を引き上げておけば、その後下降する体温との落差が大きくなり、安眠効果が高まります。
  5. 歩けない日があってもOK。1週間単位で考えましょう!
    一日8000歩・速歩き20分のメリットは理解していても、毎日コンスタントに歩くのは中々厳しいのも現実です。
    人のバイオリズムには、24時間の次に7日間というサイクルがあります。
    1週間の平均を見れば1年間を推定できます。
    だから、歩けない日があってもOKです。
    雨の日などは無理に歩かず、1週間単位で帳尻を合わせましょう。
    さらに1カ月のトータルで達成できればOKだと考えます。
    ルールを厳しくしてしまうと中々続けられません。
    大事なのは何より継続することですからね。

以上がウォーキングの基本5カ条ですが、何をさておいても頭にたたき込む必要のあることは「継続」です。
頑張って折角健康寿命の延伸に向けての線路を引いたのに、継続をしないと今までの努力は水の泡となってしまいます。
正しく「継続は力なり!」と言えますね。
スタートして直ぐにフルスロットルに持っていくのではなく、自分なりに「この程度なら、これからも続けていけるかな?」と身体と常に相談しながら無理のないウォーキングを続けていただければ幸いです。(ま)