伝統的なお正月とは?
さて、今回の話題は、読者の皆さんに来たるべき新年を迎えていただくにあたり、日本の先達たちが営々と受け継ぎ行ってきたお正月の在り方や過ごし方といった生活面での歴史的文化をご紹介したいと思います。
新年の幕開けを飾る三が日。
家族が集い、新年を迎えて新しい希望に胸を膨らませる日本ならではの伝統的な期間です。
この3日間は新年の福を祈りながら、家族の絆を深める貴重な時間を過ごす人が多いでしょう。
しかし、クリスマスがあってあまり日数を置かずお正月となるスケジュールとなるので、洋風と和風といった一種違った行事が近接していて、なんだか頭の切り替えにピンボケが生じる感もなきにしもあらずです。
読者の皆さんにはご存知の方も数多くお出でとは思いますが、具体的なお正月の意味や、お正月に纏わる行動について改めて確認をしていただきながら、三が日にやってはいけないタブーがあることも取り上げてみたいと思います。
それではまず、三が日の意味と由来から入ってみることにしましょう!
三が日とは、お正月の最初の三日間、つまり1月1日から1月3日までを指します。
この期間は、新年を祝い、家族が集まって過ごす大切な時とされており、神様が年の初めに人々を訪れるとされています。
由来は、中国の習慣が日本に伝わったもので、元日を「人日」として、人の福を祈る日として重んじています。
また、この三日間は仕事をしないで、神様へのお祈りや親族との団欒を楽しむ休日とされています。
続いては「正月」「三が日」「松の内」の違いに参りましょう!
「正月」とは新しい年が始まる1月1日を指し、新年を祝う大切な日です。
家族が集まり、おせち料理を食べたり初詣で神社やお寺を訪れたりする習慣があります。
「三が日」とは、正月の1月1日から1月3日までの3日間を指します。
この期間は一般的に仕事を休み、家族や親戚と過ごしたり新年の挨拶を交わしたりすることが多いです。
伝統的にはこの時期にしか行われない行事や遊びも多く、新年を祝う重要な期間とされています。
「松の内」とは正月飾りを飾って新年を祝う期間を指し、地域によって異なりますが一般的には1月7日までを指すことが多いです。
松の内が終わると正月飾りを取り外し、仕事始めとなることが多いです。
私の住まいする関西では1月15日となっています。
それではここでちょっと寄り道をして、元旦の説明をしますね!
「元旦」と「元日」。
一見同じような意味に思えるこの2つの言葉ですが、実はその意味は全く同じわけではありません。
元旦は、元日の朝のことをいいます。
元旦の「旦」という字は、太陽を表す「日」と地平線を表す「一」から成り立っていることを表わしているからです。
一方、元日は一月一日のことをいいます。
諸説あるそうですが、一般的には「元旦」と「元日」にはこのように微妙な違いがあると言われています。
続いて三が日にやるべきお正月の伝統的な過ごし方をご紹介しましょう!
①初日の出を拝む
新年の始まりと共に初日の出を拝むことは、多くの日本人にとって大切なお正月の風習です。
海や山、公園など地元の名所で早起きをして、新しい年の第一光を眺めることは、一年の清新なスタートの象徴となっています。
新年の抱負を心に思い描きながら神々しい初日の出を見ることで、新たな年への希望を膨らませましょう。
②正月料理で新年を祝う
日本の三が日といえば、おせち料理やお雑煮などの伝統的な料理で新年を祝います。
これらの料理にはそれぞれ意味が込められており、一年の健康や幸福を願って作られています。
家族が集まり丁寧に準備された料理を共に味わうことは、新年の幸せを分かち合う大切な時間となるでしょう。
③初詣や書き初めを行う
お正月には神社やお寺へ初詣に行って、新年の安全や健康、幸運を祈願します。
また書き初めを行い、心新たにその年を生きる決意を表します。
家族や友人と一緒に清々しい空気の中で初詣を楽しみながら書き初めで心を落ち着けることは、心静かに新年を迎えるための素晴らしい方法だと言えます。
それでは、ここからは昔からタブーとされている三が日の行動についてご紹介しましょう!
ただ、現代社会においては当てはまらないものがあることは否めませんので、ご理解の程よろしくお願いします。
三が日にやってはいけないタブーは6つあります。
①掃除をしてはいけない
お正月、特に三が日の期間中は掃除をすることは避けましょう。
新年に入ってすぐの掃除をするのは、その年の運気や福を「掃いてしまう」とされているからです。
新年には神様が家を訪れて福をもたらすと考えられており、その福を掃除で外に出してしまわないようにとの意味が込められています。
②四足(よつあし)歩行の動物の肉を食べない
日本には古くから、お正月には牛や豚などの四足歩行の動物の肉を避ける風習があります。
これは畑を荒らす動物に関連づけられ、農作物を守る意味合いから避けられてきたとされています。
平和を願うお正月に殺生を連想させる行為は控えるべき、とも考えられています。
③刃物を使ってはいけない
新年に刃物を使うことはできるだけ控えましょう。
なぜなら、刃物は縁を切ることを象徴して関係性を損ねることを意味するからです。
刃物は怪我の原因にもなりますので、無用なトラブルを避けるためにも使用を控えます。
④ケンカをしてはならない
お正月は家族が和やかに過ごすべき時期とされており、ケンカや口論はその年の家庭内の不和を招くとされています。
新年の幸せと家族の絆を大切にするためにも、穏やかな心で過ごしましょう。
⑤お金を使ってはいけない
お正月は財布の紐を締め、節約を心がけるべき日とされています。
新年の初めに散財すると、一年間金運が悪くなるとの迷信もあります。
またお正月は祝祭日であり、落ち着いて過ごすべき時間ともされています。
⑥火を使う煮炊きをしてはいけない
新年の三が日は火を使っての調理を控えるべきとされています。
これは、火事を避けるとともに、家族が調理に追われることなくゆっくりと新年を過ごすためとも言われています。
おせち料理などを事前に準備することで、この期間は火を使わずに済むようにします。
それでは、最後に三が日を過ぎたらやるべき行事についてご紹介するといたしましょう!
①七草粥を食べる(1月7日)
新年が始まって最初の節句である「人日の節句」には、七草粥を食べる風習があります。
これは、お正月に食べ過ぎた胃腸を休め無病息災を願う意味が込められています。
春の七草が入ったシンプルな粥を食べることで、新年の健康を祈ります。
②鏡開きを行う(1月11日)
お正月に供えた鏡餅を開く「鏡開き」は、1月11日に行われることが多い行事です。
これは、神様に感謝して新年の幸せを願う行事で、開いた鏡餅は「福分け」として食べます。
餅は柔らかく煮たり、焼いたりして食べられます。
③正月飾りを処分する(松の内が過ぎたら)
「松の内」と呼ばれる期間が終わると、お正月の飾りを片付ける時期が訪れます。
この飾りは、新年を祝って神様をお迎えしたものですから、燃やしたり、神社で行われるどんど焼きなどで処分する地域が多いです。
これによって、飾りに宿った神様を送り、一連のお正月行事を終えます。
なお、松の内は地域によって期間が変わってきます。
ここまで、お正月三が日を中心とした日本の活動について触れてきました。
過去からのお正月の風習は地域差があるものの、伝統的に受け継いできた数々のものは、底辺には家族が新しく迎える年の心からの安心・安全への願いや、より一層家族一同が発展することを願うといった、今でいうところの家族版QOLの向上そのものの気がします。
戦後、大家族的な生活から核家族といった少数での生活を中心とした生活パターンに移ってきたとはいえ、ことお正月に関しては過去からの大家族時代の名残を数多く受け継いでいると言えます。
過去の日本の伝統的な生活スタイルを色濃く残すお正月の行事や行動は、私の考えすぎかも知れませんが、私たち現代人が、核家族で慣れきった生活に一種のワクチンとして毎年摂取するもののようにも思えて来ます。
お正月は、核家族にはない大家族の良い面を思い出させてくれる良い機会だと言えます。
そしてお正月は、つい最近まで日本の社会基盤を成していた大家族が目指していた生活の質の向上=QOLの向上へ直結する大切なものだと気付かせてくれる行事ではないでしょうか!(ま)