良好な睡眠のススメ!
さて、今回は「良い睡眠を取ろう!」という話題です。
読者の皆さんは、毎日快眠なさっていますか?
皆さんは毎日何時間くらい眠っていますか?
厚生労働省の検討会では、健康のために推奨する睡眠時間や生活習慣を世代ごとに示した「睡眠ガイド」を新たにまとめました。
それによると、睡眠時間について成人は6時間以上、高齢者は8時間以上にならないこと、小学生は9~12時間、中学生・高校生は8~10時間が良いとされています。
また睡眠について近年の研究で科学的に明らかになった内容として、目覚めた時に身体が休まったと感じる「睡眠休養感」が低いほど死亡リスクが高まると言ったことにも触れられています。
一方、子どもについては研究の結果、睡眠時間が不足すると肥満のリスクが高くなったり、学業成績が低下したりしたという報告もなされています。
それでは今回は質の良い睡眠はからだとこころの健康をつくるという観点から、質の良い睡眠と健康への効果、実践方法について深掘りしたいと思います。
それでは初めに睡眠の質の評価から見ていきましょう。
睡眠の質の評価としては、起床後に自分の睡眠を振り返る主観的な評価方法と、自分以外の他人からの評価や脳波などを計測する客観的な評価方法とがあります。
しかし、客観的に評価した脳波などのデータが正常範囲であっても、本人自身の睡眠に対する満足度が低いなど、主観的評価と客観的評価が乖離する場合もあり、定量的に完璧な評価を求めることは難しいとされています。
また、夜間の睡眠と日中の覚醒は相互に影響しあっているため、熟睡感や寝心地、目覚めた時の感覚などの睡眠の満足度のみを振り返った評価だけではなく、日中の生活の満足度や概日リズムの状態など、多面的な評価が必要であると言われています。
概日リズムとは、地球の自転による約24時間の昼夜変動に同調して、体温やホルモン分泌などの身体の基本的な機能が周期的に変動するリズムのことをいいます。
次は質の良い睡眠とはどういったことを指すのでしょうか。
質の良い睡眠とはどのような睡眠かを厚生労働省の資料で示されている睡眠の質の評価指標から考えていきましょう。
評価指標は次の8項目です。
①規則正しい睡眠、覚醒のリズムが保たれていて、昼夜のメリハリがはっきりとしている。
②必要な睡眠時間がとれており、日中に眠気や居眠りすることがなく、良好な心身の状態で過ごせる。
③途中で覚醒することが少なく、安定した睡眠が得られる
④朝は気持ちよくすっきりと目覚める
⑤目覚めてからスムーズに行動できる
⑥寝床に就いてから、過度に時間をかけすぎずに入眠できる
⑦睡眠で熟眠感が得られる
⑧日中、過度の疲労感がなく満足度が得られる
読者の皆さんはどうでしたでしょうか。
8項目のうち、どれだけ当てはまっていたでしょうか。
当てはまっていた項目数が多いほど、質の良い睡眠が出来ていると言えますね!
では、次に質の良い睡眠の健康への効果について考えましょう。
睡眠はからだとこころの回復を行う働きがあり、食事や運動、喫煙、飲酒などの生活習慣と同じように健康に深く関わっています。
質の良い睡眠をとると生活のリズムが整いやすくなり、体内のホルモンのバランスも保たれやすくなるので、肥満や高血圧、耐糖能障害、循環器疾患、メタボリックシンドロームといった生活習慣病の予防につながります。
また、抑うつや不安などのこころの不健康も予防します。
質の良い睡眠が得られると日中の状態が良くなり、活動的に過ごすことができます。
日中の活動的な生活が良質な睡眠をもたらし、からだとこころを健康にします。
それでは質の良い睡眠の実践方法にはどういったものがあるのでしょうか。
①規則正しい生活
睡眠も生活習慣のひとつであり、質の良い睡眠を得るためには、規則正しい生活を送ることが大切です。
②運動習慣を持つ
速歩や軽いランニングなどの運動習慣を持つことで寝つきがよくなり、深い睡眠が得られるようになります。
運動は寝る3時間くらい前の夕方から夜にかけて行うと、一時的に上がった脳の温度が寝床に入る時に下がることによってスムーズな睡眠が得られやすくなります。
寝る直前の激しい運動は身体が興奮して眠れなくなるので避けましょう。
③寝る2~3時間前の入浴
入浴は体温を一時的に上げるので運動と同じように寝つきを良くし、深い睡眠を得る効果があります。
38度のぬるま湯では25~30分の入浴、42度の熱めのお湯では5分程度の入浴、または約40度のお湯で半身浴をするのがおすすめです。
体調や好みに合わせた入浴スタイルを選びましょう。
④朝、起床後に光を浴びる
朝、起きてすぐに太陽の光を浴びると、24時間よりも長い周期の体内時計のずれをリセットすることができます。
夜は家の照明の光でも浴びると体内時計が遅れてしまいます。
夜の照明はひかえめにして、朝起きたらカーテンを開けて自然の光を浴びましょう。
⑤食生活
朝食はしっかりとり、日中に活動するためのエネルギーを補給しましょう。
寝る前に食事をとると消化活動で睡眠が妨げられるので控えて、規則正しい食生活を送りましょう。
寝る前のカフェイン摂取や喫煙は覚醒作用があり、アルコール摂取は眠りが浅くなるのでお勧めできません。
⑥昼寝を有効に利用する
午後に眠気がある場合には15分程度の昼寝をすることで夜によく眠れるようになることがあります。
高齢者の場合は30分程度の昼寝がよいとされています。
⑦室内環境を整える
室内の温度、湿度は季節に応じて適切に保たれていること、静かで暗い環境が質の良い睡眠をもたらします。
寝床の中の温度は33℃前後、湿度は50%前後、睡眠を邪魔しない光と音の刺激の程度の環境を整えましょう。
⑧よく眠れる寝具を選ぶ
深い眠りを保つために身体は発汗しているので、吸湿、放湿性がよく、保温性の良い寝具を選びましょう。
敷布団やマットは適度に硬く、身体が沈み込みすぎないもの、掛布団は身体にフィットしやすく軽いものを選びましょう。
枕は首や肩への負担が少ない自分にあった硬さ、高さで安定感のあるものがよいでしょう。
⑨睡眠のセルフチェック
睡眠を評価する方法はいくつかありますが、睡眠障害の可能性や睡眠に問題がないか、朝型夜型傾向、平日と休日の睡眠・起床リズムのずれを自分でチェックできるウェブサイト(ホームページ)があります。
睡眠障害の有無が簡易的に判定でき、睡眠障害がある場合には詳細診断が可能なウェブサイト(HP)の案内を受けることができ、診療を受ける際に、診断結果を持参して役立てることも可能です。
9項目の質の良い睡眠の具体的な実践方法はご理解いただけたでしょうか。
よりよい睡眠を得るためには、自分の睡眠に目を向けることが大切です。
自分の睡眠について知るきっかけとして活用してみるのもよいでしょうね。
質の良い睡眠と健康への効果、実践方法についてを見てきました。
皆さん自身のQOLの向上には、良質の睡眠は欠くことの出来ない重要なものだとの認識を更に深めていただけたことだと思っています。
これからは睡眠の大切さを肝に銘じながら、決して睡眠不足に陥らないような生活に心掛けていただきたいと念じています。(ま)