究極の健康長寿モデル「スーパーセンチナリアン」

さて、今回の話題は「スーパーセンチナリアン」についてのお話しです。

スーパーセンチナリアンとは、100歳(百寿者)以上の長寿高齢者の中でも、さらに稀少な110歳まで到達された方を指します。

多くのスーパーセンチナリアンは、100歳時点でも自立した生活を営まれており、健康寿命が100歳を超えています。
2020年の国勢調査では、105歳以上の超百寿者は6515人、さらにスーパーセンチナリアンとなると141人で、総人口に占める割合も90万人に1人という、極めて稀少な方々といえます。

超高齢化が世界で最も早く進んでいる日本。
厚生労働省が、2022年9月16日に発表した100歳以上の高齢者の数は過去最多の9万526人となり、52年連続で過去最多を更新しました。

100歳以上の高齢者が9万人を超えるのは初めてで、昨年から4016人増え、全体の高齢者のうち女性は80161人(全体の約89%)、最高齢者は115歳の大阪府柏原市に住む巽フサさん(1907年生まれ)でした。

そして、2022年度の「百歳高齢者表彰の対象者」は4万5141人となり、内閣総理大臣からのお祝い状と記念品の銀杯が贈呈されます。
本当にお愛でたいことで、この厚生労働省の発表資料には「男女国内最高齢者の状況」と併せて「地域で話題の高齢者」も紹介されています。
お一人おひとりの状況が書かれていて、とても興味深く楽しい内容で、一見の価値があると感じました。

少し前ですが、日経トレンディ5月号の記事に、百寿者の研究で分かった!
「元気で長生き」のカギ、というタイトルで関連記事が掲載されていました。

長寿、特に105歳を超えるほどの超百寿者の人たちにはどんな特徴があるのか、それを知ることで老いにくく元気に生きるヒントが見つかれば!、という趣旨の記事です。
「慶應義塾大学医学部・百寿総合研究センター」センター長の新井康通教授が、究極の健康長寿モデルともいえるスーパーセンチナリアンの特徴を、医学的特徴、生活習慣や性格など、分かりやすく述べておられましたので、下記に簡潔にまとめてみました。

スーパーセンチナリアンの医学的な特徴としては3つあり、
1つは認知機能が保たれていること。
2つ目は心臓血管病になりにくいこと。
3つ目はフレイルになるのが遅い人。

また、長寿に生まれ持った資質の影響はそれほど高く無く、寿命に対する遺伝の影響は25%ほどで、現在分かっているのは、百寿者には「APOE4」という、アルツハイマー病のリスクが高まる遺伝子を保有している人が少ないとい
うことだけは分かっています
ただ数は限られていますが、百寿者の中にもこの遺伝子を持っている人はいますし、残りほとんどは環境によるものと見られており、遺伝要因より後天的な要因の方が大きいということです。

ですから、健康で長生きしようと思えば、生活習慣における「予防」が大事で、年齢に関係なく学習習慣を持ち続けることで認知機能を低下させないことや、血管を老化させない、フレイルにならないといった点を意識して生活することが「長寿の秘訣」となります。

そのためにも、普段の生活で具体的に気を付けておくことは、
○意識して「運動」を心がける。
 何も運動していない人に比べ身体活動が多い人は長生き。85歳以上で元気な人たちは7割ぐらいの方が散歩を普段からしている。
○食事を愉しみ、大切にする。
 心臓血管の若さや認知機能の維持のために、DHA(ドコサヘキサエン酸)や EPA(エイコサペンタエン酸)を多く含むサバ・イワシ などの青魚を積極的に食べる。
 フレイル予防のためにも筋肉量を維持し、高齢になるほど肉や魚、植物性のタンパク質を食事できちんと取って、血中のアルブミン を高く保つ。

その他、スーパーセンチナリアンをはじめ、百寿者など健康で長生きな人には、性格にも一定の傾向が見られるといいます。
その一つが外交的である、ということです。
100歳にもなると、周囲に同年代はほぼいなくなってしまうため、年齢が離れた人とも親しい付き合いができる人は社会とのつながりを持ち続けられます。

人と会うこと、話すこと、出かける先があることなどで身体活動も脳の活動も増やすことができます。
つまり、外交的で人付き合いに前向きな性格の方は、認知症やフレイルを防ぐことにつながり、「元気で長生き」のカギとなります。

ところで皆さんは、30年ほど前にテレビCMなどで人気を博し、1992年(平成4年)の流行語大賞にもなった長寿双子姉妹をご存じでしょうか?
そうです、「きんさんぎんさん」です。
ダスキンのテレビCMで「きんは100歳100歳、ぎんも100歳100歳、ダスキン呼ぶなら100番100番」と元気一杯に登場され、CDや写真集も出されるなど、外交的で、当時の国民的な人気姉妹となりました。

前述の「長寿の秘訣」にもつながりますが、お二人とも大好物はお魚とお茶。
健康のため “ぎんさん“ は、ご自身が常としている「人間は足から死ぬ」を信念に、1日30分の散歩が日課でした。
また姉の “きんさん“ も、再び歩けるようになるために先生に習ってふくらはぎのトレーニングを始められ、見事に歩けるようになられたそうです。
さらに “ぎんさん“ が亡くなった際には、医学の向上のためにと、ご遺族の同意のもと病理解剖がなされたそうですが、驚くほど動脈が柔らかく、とても血管が若々しかったということです。

皆から「理想の老後像」と言われた「きんさんぎんさん」は生前に、健康長寿の秘訣として数々の名言を残されました。

その名言とは、
○くよくよしない
○悲しいことは考えない
○いいことも悪いことも忘れるのが長寿の秘訣
など、今にも通じる言葉がたくさん残されています。

敬老の日に際して、超高齢化を迎えた日本では、これからも100歳以上の高齢者の数は、過去最多を更新していくことでしょう。
人生100年時代、ぜひ「健康寿命の延伸」によって QOL(生活の質)を高め、「Well-being」を叶えましょう。
そのためにも、笑顔一杯の「きんさんぎんさん」に習って、「元気で長生き」のカギを私たちと一緒に試してみませんか。