中高年男性必見!
さて、今回のテーマは中高年男性必見の話題です。
中高年の男性の方で、「体がだるい」「イライラする」「よく眠れない」「性欲がない」などと感じている方はいませんか。
中高年男性にそのような症状が認められた場合は、加齢男性性腺機能低下症候群(late-onset hypogonadism=LOH症候群=)の可能性があります。
加齢に伴う男性ホルモンの低下で引き起こされる諸症状が現れる状態のことですが、それではもう少し深掘りしてみましょう。
「LOH症候群」とは、一般的には男性更年期障害といえるもので、加齢に伴う男性ホルモンの減少に関連して、うつ傾向になる、体がだるい、筋力が低下する、骨がもろくなる、勃起しない、性行為ができないなどの症状を呈するようになった状態を指します。
更年期障害とは女性特有のものと捉えられていた時期もありましたが、近年では男性にも生じることが広く社会に認知されるようになり、男性更年期障害を疑われる患者さんの数は増加しています。
男性更年期障害は男性ホルモンの減少を原因の一端として発症するため、男性ホルモンの補充療法がとられることもあります。
また、ストレスに対応できるように生活スタイルの変更を行うことも治療方法のひとつとして重要になります。
男性更年期障害では、自身に生じている加齢に伴って変化する自分の心身の状態と、どう折り合いを付けられるかが重要であるといえるでしょう。
■心身に多様な影響
男性ホルモンの多くは男性の性腺(精巣)で合成されるテストステロンです。
テストステロンは前立腺や陰茎といった男性生殖器だけではなく、脳、骨、筋肉、脂肪、皮膚など体のいろいろな所で働きます。
男性の体の健康状態を保つのに重要な役割を担っています。
テストステロンの値には個人差があり、年齢とともに少なくなることが知られています。
男性ホルモンの低下により性欲や勃起機能が衰えたり、筋肉量や骨密度が減少したりします。
筋力が低下すると転倒しやすくなったり、骨がもろくなると骨折しやすくなるので、日常生活においてもケガをしないよう要注意です。
このほか脂肪の増加や動脈硬化のリスクが増すこともあります。
また、認知力が低下したり、抑うつ気分や気分変調が生じやすくなったり、十分な睡眠が取れなくなったりと、症状は多岐にわたります。
以前は「加齢に伴う現象だから」と一蹴されていましたが、こうした症状は中高年男性の生活の質(QOL)を大きく低下させ、日常生活を一変させることがあります。
それら諸症状の原因は実のところ男性ホルモンの低下かもしれませんね。
LOH症候群の診断には、血中のテストステロン値を測定してテストステロンが少なくなっていないかどうかを評価することが重要です。
また、一般的な臨床検査や質問紙を用いて内科的疾患や精神疾患がないかどうかも評価し、検査結果に応じてそれぞれの専門の医師に相談します。
■QOL向上の期待
男性更年期障害の治療は、男性ホルモンの補充療法や生活スタイルの変更などを通して行います。
男性ホルモンの補充療法は、症状が重い方に対して適応になり、それにより疲労感やイライラがなくなったり、ぐっすり眠れたり、性欲が改善したりすることがありますが、必ずしも効果が望めるわけではなく、効果を示さないこともありますし、男性ホルモンの補充により体に負担がかかる方もいるので注意が必要です。
自分の症状が加齢による男性ホルモンの低下によるものかどうかが気になる方は、専門の医師にご相談しましょう。
■メンタルも重要
男性更年期障害は、日常生活のなかでのやりがいのなさを根本にしている側面もあります。
そのため、日常生活の中でやりがい、充実感を感じられるように生活スタイルに工夫を取り入れることが重要です。
具体的には、ボランティア活動をすることが男性更年期障害に対して治療効果を示すことがあります。
ボランティアとして他者になにかを与える活動を行い、相手から感謝されるといった流れのなかで、人は自信と存在意義を取り戻していきます。
地域社会などとのつながりを持つことで、自身の不安定だった立ち位置がしっかりとしたものになっていく実感を味わっていただき「LOH症候群」を克服していただければどうでしょうか。
「LOH症候群」は、加齢に伴う現象と諦めずに自分にあった治療を行っていくことで活力が戻り、QOL向上や健康寿命の延伸が期待できることにつながっていくことでしょう。