世界幸福度ランキン結果をみて感じたこと

幸福度ランキングとは、国連の持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)が、毎年3月20日の「国際幸福デー」に合わせて発表しているランキングデータです。
調査は世界の150か国以上を対象におこなわれ、2012年から毎年実施されています。
もともと国連機関は、国内総生産(GDP)をはじめとする経済指標を重視していましたが、世界的な金融危機や環境破壊など、これから先の社会を生きる上で、無視できない問題が多発してきたため、これらの経験をもとに「経済指標だけでは本当の幸福度は測れない」と考えるようになりました。
こうした経緯を経て誕生したのが、世界幸福度ランキングです。

世界幸福度ランキングが公開されるたびに読者の皆さんも感じられたと思いますが、「どうして日本の順位はこれほどまでに低いのか?」ということです。

2020年の日本の順位は62位でしたが、2021年は56位と、少しばかり順位を上げただけで、先進諸国と比較すると、低い水準であることに変わりありません。

1人あたりの国内総生産(GDP)の数値でみれば、日本の順位は決して低くはありません。
資源には乏しいものの経済は世界第3位であり、ヨーロッパ諸国ほどではありませんが、社会保障制度も確立されています。
寿命の長さは世界でも上位ですし、海外と比べて「日本は治安が良く暮らしやすい」と感じる人が多いでしょう。
ではなぜ、日本の幸福度ランキング順位はこれほどまでに低いのでしょうか?

その理由は「人生の自由度」と「他者への寛容さ」の2項目に隠されています。

日本人の「人生の自由度」に影響を与える要素のひとつと言われているのが、労働環境です。
欧米諸国と比較して、「日本人は働きすぎ」といわれていることは皆さんもよくご承知ですね。
ヨーロッパ各国のように、長期休暇を取る風習もなければ、「有給休暇はあっても取りづらい」と感じる人が多いことは事実です。
また「休暇の取りづらさ」以上に、「職場の中で自分に合った働き方を自由に選択できない」と感じる点が問題だと指摘する声もあります。

「他者への寛容さ」の項目については、寄付やボランティア活動が非常に大きな要素となります。
日本には、積極的に寄付をおこなったりボランティア活動に参加したりする風習が根付いていません。
社会全体でこうした取り組みが積極的におこなわれている国ほど、幸福度ランキングは上昇しやすいという特徴があるのです。

GDPや健康寿命など、客観的な数値で示されるデータに注目すれば、日本は間違いなく「幸せな国」であるといえるでしょう。
一方で、国民の主観にもとづくデータを見ると、「幸せではない国」としての要素が見え隠れすることもあります。
この主観的データが、幸福度ランキングで日本の順位が低迷する原因なのです。

世界幸福度ランキングは、人によって基準が異なる「幸福度」を、わかりやすい数値で示すための取り組みのひとつです。
できるだけ幅広い観点から「幸福」を捉えるための調査がおこなわれていますが、それは決して完璧ではありません。
幸福度ランキングで上位になれないからといって、それが即「不幸」につながるわけではないのです。

ただし、「人生の自由度」が上がれば、日本の社会において「暮らしやすい」と感じる人は格段に増えるはずでしょう。
「他者への寛容さ」が上昇すれば、社会全体でやさししく寄り添い合える、理想の仕組みができあがるかもしれません。

日本人の幸福度を上げるために、いま必要なものは何なのでしょうか。
世界幸福度ランキングは、それを知るためのひとつのヒントになるでしょう。
我々日本人一人ひとりが、「自由」と「寛容」を意識して生活するようになれば、順位だけではなく、国民それぞれが抱える「幸福感」も上昇するかもしれませんね。