「50代シンドローム」について
今、多くのビジネスパーソンが65歳ほどで迎える「定年」。
その時に生まれて初めて、親や会社といった「頼れる存在」から離れて、本当の自立を迎えることになります。
そして、かつては60歳だった定年は65歳へ延長され、今年の4月からは「改正高年齢者雇用安定法」で70歳までの継続雇用が努力義務とされ、いよいよ70歳定年に向けて舵が切られました。
人生100年時代と言われる中、あなたなら人生の後半戦をどう生きますか。
そしてその設計図は、既に出来上がって手元にあるでしょうか。
最近は人生100年時代と言われ、長い老後に不安を抱かせる風潮があります。
しかし、長い老後自体が不安なのではなく、先が見えないことによって不安が生まれているのではないでしょうか。
今、50代のビジネスパーソンは、勤務する会社で「3つの壁」に悩まされているといいます。
その「3つの壁」というのは、「役職定年」「出向」「年齢を理由とする配置転換」です。
これらの壁によってモチベーションが低下してしまっている現状を、「50代シンドローム」と呼んでいます。
現在の仕事以上に、将来の明るいビジョンが見えないことに不安を感じ、やる気を失っているといえます。
企業にとってもモチベーションが低下した社員を抱えることは大きな負担となります。
これは本人にも企業にも、放置できない課題になってきているといえるでしょう。
それでは、これまでの定年をめぐる社会の動きを見てみましょう。
まずは、定年が人生のゴールにほぼ等しかった“昭和の定年”。
高度経済成長期を過ごしたビジネスパーソンには、それなりの給料や退職給付制度が用意されていました。
正に定年を迎えて、これからはいよいよ悠々自適の生活が待っていたといえます。
しかしながら、超高齢社会を迎え、年金支給開始年齢の引き上げや雇用延長などの変革が起きた“平成の定年”では潮目が変わってきました。
全く前例がないことから不安が生まれ、「50代シンドローム」の元凶となっています。
そして、2019年にスタートした“新元号の令和の定年”はどうでしょうか。
『生涯現役』が一般化し、個人の経験や能力を長く活かせる時代となることが理想でしょう。
自らの価値の創生が活き活きとした人生を送る鍵になると考えられています。
ただ、理想は理想として、果たして現実はどうでしょうか。
今の50代に必要なのが、「会社人生から自走人生へ」という考え方です。
「自走人生」とは「会社に頼る時期を脱し、自発的な考えをもって人生を歩むこと」といえます。
「自走人生」は、人生で初めて自立を迎えるという大きな環境変化です。
しかし、実際に定年後に備えて準備している人は多くないのが現状です。
いずれ会社という頼れる存在から離れざるをえないことを自覚できていない人が非常に多いのです。
これでは環境変化には対応できません。
シニアになれば、今までとは違う社会にシフトするといった考え方が求められます。
社会で必要とされ、誰かの役に立ち、自分の新しい価値を見いだし、豊かで幸せな時間を過ごすウェルビーイングの世界観が求められる訳です。
もし未だ準備には至っていない読者の皆様方には、ご自身の人生の後半戦をどう過ごしていくかの具体的な設計図の作成を始めていただければと切に思います。
「身体だけではなく、精神面、社会面も含めた健康」であるウェルビーイングが、あなたの後半生の重要なファクターとなることは必至です。
今までとは違う社会での立ち位置を確固たるものとするため、いろいろなところへアンテナを張り巡らせて、自己研鑽に努められてはいかがでしょうか!
一日でも早く動き出すことが、これからの人生に役立つのではないでしょうか!