「第三の居場所(サードプレイス)」の魅力

さて、今回の話題は「第三の居場所(サードプレイス」についてのお話です。

第三の居場所(サードプレイス)とは、コミュニティにおいて、自宅や職場・学校で
もない、とびきり居心地の良い場所のことを指し、アメリカの社会学者「レイ・オル
デンバーグ」の著書で提唱された言葉です。

QOLを高める方法として、この第三の居場所の存在がとても大事なキーワードになる
と思いますので、今回はこの第三の居場所について少し深掘りをしたいと思います。

「居場所」という言葉についての明確な定義はないようですが、1932年生まれの
「レイ・オルデンバーグ」がその著書「ザ・グレート・グッド・プレイス」で、この
サードプレイスが現代社会において重要であること、その場所に対する特別な思いを
論じています。

「レイ・オルデンバーグ」は都市社会学を専門としていて、「家庭(第一の居場所)」
「職場や学校(第二の居場所)」という生活上必要不可欠な二つの居場所につづく、
居心地の良さを感じる「第三の居場所(Third place)」の存在が、都市の魅力を左右
すると指摘しています。

ここで、「レイ・オルデンバーグ」が定義する「サードプレイス」の8つの特徴を簡
潔に紹介したいと思います。(出典:ウィキペディア)

・中立領域 : 特定の個人や団体、政治組織や宗教組織に属していない場。
・平等主義 : 個人の社会における地位に重きをおかない。
・会話が主たる活動 : 遊びゴコロや楽しい会話が活動のメインフォーカスである。
・アクセスしやすさと設備 : オープンで皆が訪れやすい環境。
・常連・会員 : 常連がいて空間やトーンを形成する、そして新たな来訪者を引きつけ
 て新参者にも優しいところ。(古い友人も新しい友人も見つかるようなところ)
・控えめな態度・姿勢 : 健全で、その中には無駄遣いや派手さはなく家庭的な感じ。
・機嫌がよくなる : 会話のトーンは、けっして緊張や憎悪を生んではいけない。
・第二の家 : いる人たちは、しばしばあったかい感情を共有する。あたかも同じ家に
 暮らす者同士のように。

以上のように、現代においても非常に魅力ある特徴がわかりやすく示されています。

かく言う私も、還暦の時に「大人のためのサードプレイス」というキャッチフレーズ
に惹かれ、OBPアカデミアというコワーキングスペースを利用するようになりました。
当法人のパーパスである、゛より良く生きるための「学びとつながりの場」となる゛、
を実践できる拠点として、法人登記や住所利用をしながら、自身のアップデートにも
活用しています。

長寿社会の課題として、「高齢者の孤立防止」「現役時代からの高齢期への備え」に
加え、「高齢者の居場所と出番(社会的役割)」の必要性が挙げられています。

また最近では、子どもの第三の居場所の必要性も論じられるようになりました。

誰もが健やかで、自分らしく心豊かな生活が送れる未来の実現には、一人ひとりの
QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を高めて、健康や幸福を表すWell=beingを叶え
ることができる持続可能な生活基盤が必要です。
そのためにも、コミュニティにおいて誰もが安心して心地よく過ごせる、ストレス
なく幸せを感じられる場所 =「第三の居場所」の存在が必要ではないでしょうか。

第一の居場所から第二、第三へとつづく、三つの居場所の比重や関係性はライフステ
ージの状況変化によって移り変わります。
「家庭(第一の居場所)」には子どもや親といった血縁関係、「職場や学校(第二の
居場所)」には同僚や同級生といった組織的な枠にもとづく関係、そして「第三の居
場所」には、失われた第一、第二の居場所を補完する役割があったり、孤独にならず
に過ごせる癒やしの場にもなります。

定年退職者を例にすると、社会人として就職して以来、空間・時間・社会関係と活動
のすべてにおいて、最も主要な位置を占めていた職場が定年退職を機になくなり、居
場所をなくしてしまった場合、もし第三の居場所があればその喪失感を補完できるか
もしれません。

定年退職前後の読者の皆さまには、「高齢期への備え」の一つとして、ぜひ、今から
第三の居場所づくりを始めてみてはいかがでしょうか。
人は誰しも、自宅や職場のほかに居場所が必要です。

リタイアメント後には社会とのつながりの再構築が必要です。新たな第三の居場所が
見つかるきっかけは、人とのつながりや好奇心から始まるといわれています。
例えば、自治会などの地域活動を始めてみたり、学生時代や元同僚との付き合いや、
趣味・サークル、教育機関での学び直し、近隣のよく行くカフェ・クラブや公園など
第三の居場所となるところは何気ない日常の中に存在しています。

シニアにとって「第三の居場所(サードプレイス)」があるということは幸せなこと
です。

もし、「レイ・オルデンバーグ」が定義するような8つの特徴をもつ「第三の居場所
(サードプレイス)」を見つけることができれば、多様な価値観が尊重され、自己肯
定感も高めてくれる、また個々の興味や関心を共有できる仲間や人の存在があるなど
その効果や魅力には事欠きません。
「とびきり居心地の良い場所がある」と考えただけでも、なぜかワクワクしてきます。

QOLジャパンの存在も、いつの日か皆さまにとって「第三の居場所(サードプレイス)」
のように、心地よい「学びとつながりの場」となることができれば幸いです。