当法人が大切にしている「健康寿命」について
さて、今回の話題は、当法人が大切にしている三つの柱のひとつである「健康寿命」について触れてみようと思います。
「健康寿命」は2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した言葉で、その定義は「健康上のトラブルによって、日常生活が制限されずに暮らせる期間」のことをいいます。
日常生活が制限されないとは、「介護状態にならないこと」や「自分の身の回りのことを自分自身でする」といったことをいいます。
よく耳にする言葉としての平均寿命とは、「誕生してから亡くなるまでの期間の平均」を指します。
認知症になってしまったり、怪我をして寝たきりになってしまったりしても、臨終するまでの期間を平均寿命といいます。
これに対して健康寿命とは前述したとおり、制限なく日常生活を送れる期間を指しますので、疾患や怪我などで自立した生活を送れなくなった時点で、健康寿命は終わりを迎えることになります。
健康寿命が注目され始めた背景には「寿命の質」という考えがあります。
QOLのとても大事な部分です。
寿命は決して長さ(量)だけではありません。
例えば100歳まで生きた方と90歳まで生きた方を比べてみましょう。
「寿命」としては前者のほうが長いですが、仮に前者の方が80歳からの20年間が寝たきりの状態であり、後者の方は亡くなる直前まで自立した生活をおくっている状態だったらどうでしょう。
この場合は、後者の方のほうが「寿命の質」は高いといえます。
医療分野が発達したことによって世界的に寿命が伸びています。
しかし、単純に生命を持続させるのではなく、最近では健康で自立した時間を伸ばす「寿命の質」の向上を図る考え方に変化してきています。
では、長寿国として知られる日本ではどのような取り組みをしているでしょう!
厚生労働省は、令和元年5月に「健康寿命延伸プラン」という計画を打ち出しました。
このプランは「2040年までに健康寿命を男性で75.14歳、女性で77.79歳とする」ために国民の健康づくりをサポートする具体策として3つの施策を挙げています。
◯次世代を含めたすべての人の健やかな生活習慣形成
次世代を含めたすべての人の健やかな生活習慣形成とは、日ごろの生活を通して健康への意識を高められる環境を厚生労働省が主体となって作っていくことです。
前提として健康無関心層も含めて施策を打つことが明記してあり、健康への意識づくりから始めることも視野に入れています。
◯疾病予防・重症化予防
医療テクノロジーを踏まえ、疾病の予防をしていくための施策です。
具体的には、健康診断の質やがん検査の手法の向上、また歯周病対策なども含めた疾病の予防や重症化を未然に防ぐための施策です。
◯介護予防・フレイル対策、認知症予防
こちらは医療的というより、介護予防を目指す取り組みになっています。
加齢や疾患によって身体的・精神的なさまざまな機能が徐々に衰え、心身のストレスに対して脆弱になった状態の「フレイル」の予防や認知症の対策を進めることで、長く自立した生活を送れるように準備をするのが目的です。
最後に「人生100年時代」は決して夢物語ではなく、すぐそこまで近づいています。
ただ長生きをすればいいというわけではなく、「健康に長生きをする」ことで、人生は非常に有意義なものになるはずです。
既に65歳を超える高齢の方はもちろんのこと、65歳以下の方もご自身の生活を見直して、健康寿命を延ばすための取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。