ヤングケアラーを知ろう
さて、今回はたくさんの方に知っていただきたいことについて書きました。
読者の皆さんは多方面にアンテナを張っておられ、既にご承知の方が多いかも知れませんが、今回は、皆さんだけでなく皆さんの家族、友人、知人へ拡散をしていただき、周知や啓発をしていただきたい話題です。
「ヤングケアラー」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか?
ヤングケアラー(英語: young carer)とは、通学や仕事のかたわら、障害や病気のある親や祖父母、年下の兄弟姉妹などの介護や世話をしている18歳未満の子どもを指します。
厚生労働省と文部科学省の合同チームによる調査によると、ヤングケアラーに該当すると考えられる子どもは、中学生の約5.7%、高校生の約4.1%も存在しています。
これは驚くべきことに、中高生のクラスに1人~2人のヤングケアラーがいる勘定になります。
ヤングケアラーの問題点には「学業や進学に影響が出る」や「相談できる人がいない」などがあります。
中学生や高校生などの学生にとって、家族を介護しながら学業を両立するのは容易ではありません。
介護に時間が割かれることで「宿題や勉強の時間が取れない」「睡眠時間を確保できない」「友達と遊ぶ時間がない」などの問題が発生します。
勉強時間を充分に確保できないことで、進路を変更せざるを得ない生徒や、通学すらできない生徒もいます。
介護と学業の両立による精神的な負担と肉体的な負担が重なることで、体調を崩してしまうヤングケアラーも珍しくありません。
すでに社会に出ているヤングケアラーの中には、介護費用や食事代、日用品代などを負担して経済的に困窮している人もいます。
加えて「学校で介護のことを相談できる友達が少ない」「役所の担当者によっては取り合ってくれない」など、周りに相談しにくいのもヤングケアラーの問題点です。
親族や自治体からの協力が得られず、誰にも相談できずに抱え込んでしまう人も少なくありません。
大人に変わって家族のケアを行うヤングケアラー。
該当者は多いにもかかわらず、まだ適切なフォローを受けられていない子どもが多く、課題が山積しています。
また、ヤングケアラーの自覚がないまま家族をケアする子どもも多く、行政のさらなる支援が求められているのが実状です。
現在は縦割りを超えて支援を行うために、専門の窓口を特設している自治体も出てきており、今後の支援が期待されています。
子どもや孫の介護負担を軽減するためには「誰が介護をするのか」「介護費用をどのように賄うのか」「公的介護保険をどこで申請するのか」などを、事前に家族で話し合っておくことも大切でしょう。
私も含め読者の皆さんも、他人ごとではなく自分ごととして考え、公的介護保険のシステムを使って社会全体で介護していく考えを再確認し、ヤングケアラーの抱える問題点を一つ一つ解決していく必要があると言えるでしょう。
冒頭でも書きましたが、皆さんの家族、友人、知人でこの話題について理解を深めていただき、将来を担う子どもたちのQOL向上につなげていただければ幸いです。
まず、多くの方々に知っていただくことからスタートしましょう!