A I の活用
さて、今回は「AIの活用」についてのお話です。
近年は、AIの技術が格段に進歩していて、さまざまな場面で利用されるようになりました。
ビジネスシーンに用いる機会も増えており、多くの業界で利用実績が増えています。
1950年代から研究は始まっていましたが、実用化をされてきたのはほんの最近のことです。
ですから、そもそもAIとはどのような技術なのか馴染みが薄く、理解できていない方も多いかも知れません。
AIとは「Artificial Intelligence(アーティフィシャル・インテリジェンス)」を略した言葉で、日本語では「人工知能」と表現されます。
世間一般では、人間の脳がおこなう認識・理解・推論などの知的活動を人に代わってコンピュータにおこなわせる技術を総称してAIと表現するケースが多いです。
近年は、ChatGPTの登場などでAIが広く普及している時代になりました。
特に会社が事業活動に取り入れる事例が多いため、AIが身近になったと感じる方も多いのではないでしょうか。
それではここからは、AIが持っている能力やその活用方法について、主なものをご紹介することにしましょう。
◯自然言語処理
AIは、自然言語処理ができます。
自然言語処理とは、テキストデータを対象とした処理で、文脈を自動で把握して言葉の意味を解析する処理技術のことです。
AIが自然言語処理技術を用いて対応できる文章は多岐にわたっていて、論文レベルの高度なものから日常会話に至るまで解析が可能です。
膨大なビッグデータをベースとして、あらゆるパターンに対応する能力を持っています。
自然言語処理技術に関しては、現在では自動翻訳システム・文章要約サービス・ChatGPTなどで活用されています。
指定したテーマに沿った文章を自動的に生成する技術でもあるため、今後の活用機会はさらに増えてくるでしょう。
◯画像認識
画像認識も、AIが持つ技術のひとつです。
画像認識とは、対象となる画像に写っている人の顔・物・文字などを自動的に識別する技術のことを指します。
以前は、識別をおこなうコンピュータに大量の画像パターンを記憶させて判断のベースとする手法を用いていました。
一方近年では、AIが自動で画像の特徴を抽出し、高い精度で画像を識別することが可能となっています。
画像識別技術は、顔認証システム・自動車の自動運転・画像文字のテキスト化(OCR(光学文字認識))など、幅広い活用例がみられます。
さまざまなジャンルの業界で利用できる可能性がある、優れた技術といえるでしょう。
◯音声認識
AIは、音声認識の技術も保有しています。
音声認識とは、人間や動物などが発した音声を解析してテキストデータに変換したり、その音声内容に応じた動作を機器に実行させたりする技術のことです。
音声認識技術は、自動で文字起こしができるアプリケーションに導入されています。
また、今では家電製品を音声で稼動させる仕組みを導入しているメーカーも増えています。
読者の皆さんの中には、スマートフォンに質問をして回答が返ってくるツールを活用している方もいるのではないでしょうか。
音声認識技術は、事業向けだけでなく日常生活においても活用事例が多くみられています。
◯予測分析
予測分析も、AIが持つ技術のひとつです。
予測分析とは、過去から現在にわたって大量に蓄積されてきたさまざまな分野のデータを分析して抽出をおこない、将来の傾向を予測する技術のことです。
予測分析といえば、天気予報を連想する方も多いでしょう。
天気予報には、過去の気象データをベースとして未来の天気を予測する技術が用いられています。
過去のデータを利用することは、AIの得意分野です。
近年はAI技術を導入し、膨大なデータを基礎として予測ができ、精度が高まってきました。
最近よく耳にする大雨をもたらす線状降水帯の発生も、AIを駆使して予測改善に利用されています。
また、インターネットにおける閲覧履歴から最適な広告を表示する機能も予測分析の活用事例です。
今後は、マーケティングツールとしても、予測分析を利用する機会が増えてくると考えられています。
◯最適化
AIには、最適化の技術もあります。
AI技術における最適化とは、特定の作業をこなす際に、予想される制約や相反する目標を考慮に入れて最良の解決手順を選択する技術のことです。
たとえば、2024年問題を抱えている物流業界における運送や配送業務の効率化において、最適化技術が活用されています。
これまではドライバーの経験や知見により配送順やルートを決定していたところを、AIの導入により渋滞状況等を踏まえて効率的な運送が可能となりました。
商品の在庫管理や従業員のシフトを管理する場面でも、最適化技術を利用する事例が増えています。
コンビニなどでどういった商品がどういう客層に人気だとか、時間帯で変化する売れ筋商品の陳列方法でも威力を発揮しそうに感じます。
今後においては、顧客のビッグデータが積み上がっていけば、事業展開における様々な場面で、最適化技術は活用されていくでしょう。
◯異常検知
異常検知の技術も、AIが持つ能力のひとつです。
異常検知とは、AIに正常時の画像・動画・音声などのデータを記憶させて、確認対象が正常な範囲から外れた状態か否かを検出する技術のことです。
製造業界における不良品検出も、異常検知技術の事例に該当します。
商品だけでなく、異常検知の技術は、医療現場において病変部位の発見にも活用されています。また、防犯関連の会社におけるセキュリティシステムへの導入も、身近な活用事例のひとつです。
AIの異常検知技術の導入により、これまで属人性の高かった判断も正確かつ短時間で実施できるのは、大きなメリットといえるでしょう。
ここまでAIの活用事例や技術に関して具体的に説明してきましたが、それではAIの活用にはどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
AIの活用メリットについては、端的に言えば次の3点が挙げられます。
①迅速な対応が可能
②人件費削減が可能
③業務の効率化ができる
AIは対象データに対してリアルタイムに分析や処理を実施するため、迅速でタイムリーな対応が可能となります。
顧客対応や防犯対策など、瞬時に判断を要する場面などに、高い能力が期待できるでしょう。
また、AIの活用により人件費の削減効果が得られるのも大きなメリットのひとつです。
これまで人の手でおこなってきた単純作業は、AIに置き換えられる可能性が増してきました。
作業スピードも人より早いため、業務に割く人員を減らせるのも大きなメリットです。
さらに、単純作業をAIに任せ、従業員は人にしかできない仕事をするなど業務の効率化も図れます。
AIを業務に積極的に活用することで、以上のような多くのメリットが享受できます。
必要は発明の母と言いますが、正しく今の世界、とりわけ私たちが暮らしているこの日本においては、与えられた1日24時間を有効に利用していきたい「タイパ」の考え方が広がっています。
AIの得意分野でメリットのひとつである「迅速な対応」が、無駄だと思える時間の削減に寄与し、いわゆる「タイパ」の考えに沿ったものとなるのではないでしょうか。
また、少子化による労働力の減少は、直ぐには解決出来ない問題として日本社会に重くのしかかっていると言えます。
AIの活用で人に代わってAIが業務をこなすことで、適材適所への人の配置が出来れば、人件費削減や業務の効率化を図ることも十分可能となり、労働力不足解消が可能となるでしょう。
このようにAIの活用は、日本が抱えている大きな問題の解決策に成り得る力を秘めているのではないでしょうか。
ヒューマンエラーを防止し、より良い生活への道筋をAIの活用で進めることが出来れば、QOLの向上へと繋がっていく未来が見えてくるものと期待したいものです。(ま)