蛙化現象って何?

さて今回は、若者の間で話題になっている“蛙化現象”についてご紹介させていただきます。

“蛙化現象”とは「好きが一転して大嫌いになる」現象のことで、もう少し詳しく言うなら、好意を抱いている相手が自分に好意を持っていることが明らかになると、その相手に対して嫌悪感を持つようになる現象です。

では、Q&A形式で“蛙化現象”の理解を深めて行きましょう。
Q1.”そもそも“蛙化現象”ってどんな心理状況なのでしょうか?
『蛙化現象』とは好意を持っていた相手が自分に好意があるとわかった途端に冷めてしまったり、生理的嫌悪感を抱いてしまうという心理状態のことです。
しかし近年はそこから派生し、相手が自分に好意を持っているか否かは関係なく、自分が好意を持っている相手のささいな言動を見て急に気持ちが冷めてしまうという、いわゆる『好きが一転して大嫌いになる』という感情のことを指すこともあるようです。

Q2.“蛙化現象”と呼ばれるようになった由来やルーツはあるのでしょうか?
グリム童話の一つである『カエルの王様』という話がルーツになっています。
しかし、童話のあらすじは、登場人物の好意感情が一転して嫌悪感情に変わるというものではありません。
池に金のまりを落としたお姫様(美しさの象徴)が、金のまりを拾ったカエル(醜いものの象徴)との約束を守ろうとせず、嫌悪感を抱いたりしてしまいます。
実は、カエルは魔法をかけられていて、元の王子様(美しさの象徴)に変身するというストーリーです。

Q3.“蛙化現象”になってしまう理由を教えてください
(特に若者が陥ってしまう理由もあれば教えてください)
大きく3つの要因があるのではないかと考えます。
1つ目は自己肯定感の低さ。
大好きな人なのに、いざ両思いだとわかると『私なんかで釣り合うのだろうか』と不安になり、その不安から逃れるために自分が嫌いになる。
これは根底に自己肯定感の低さがある場合が多いです。
2つ目は現実感の乏しさ。
生身の人間はアニメや人形のようにキレイな容姿をずっと保てるわけではないですし、はたから見ると恥ずかしい言動や失敗もするものです。
しかし、相手を理想化しすぎると現実感に乏しくなってしまい、現実に向き合ったときに裏切られたような気持ちになり、それが強い嫌悪感情につながってしまうのです。
3つ目は経験値の低さです。
“蛙化現象”が若者に多いのは、やはり年齢による経験値の低さがあるのではないでしょうか。

Q4.“蛙化現象”になってしまい、改善したい場合、どのように対処すればいいのでしょうか?
“蛙化現象”の要因を説明しましたが、自分がどの要因に当てはまるか自己分析していただき、自身の思考の癖を修正していくという意識を持ってください。
例えば、好きな相手に対して『○○であるべき』『○○に違いない』など自分の理想を押し付けていないかどうか。
好意を持たれた時に『ありがとう』ではなく『なんで私?』と自分自身をおとしめる思考はしていないかどうか。
想像ばかりしていて、実際に行動する場面になるとしない理由を考える癖はないかどうか。
以上の事柄に対して、自分に該当するモノがないかどうかを振り返ることから始めましょう。
その上で、気付いた時にその場でその思考を修正していきましょう。
また、謙虚さを持つことも大切です。
謙虚とは自己否定ではありません。
自分の存在を認めて素直であることです。
自分を受け入れると他人に対しても寛容になり、そこで初めて『自分も他人も完璧ではない』ということが体感できるのです。
凝り固まった思考を修正していく柔軟性と、自分自身を受け入れる謙虚なマインドでいることを心がけてみるのも良いのかもしれません。
「自分も他人も完璧ではない」ということを自然に受け入れられたら、相手との関係構築を図っていく免疫が養われていくことでしょう。

さてここからは、“蛙化現象”を少し砕いた形でお示しさせていただこうと思います。
“蛙化現象”を「相手からの好意に耐えられない」タイプと、「理想と違うと冷める」タイプのふたつのタイプに分けて、分かりやすく具定例をご紹介しながら触れていきましょう。
まずは、“あるある”な事例からご紹介していきましょう。
○ガチタイプ! 相手からの好意に耐えられない“蛙化現象”あるある
本来の意味合いでの蛙化現象に悩んでいる女子は、ちょっぴり深刻。
本当は恋愛がしたいのに、なかなか異性と付き合えない自分自身のことを責めてしまう……という“あるある”があります。
・自分に自信がなく、片思いの相手の男性は神的な存在
・神的な存在が自分ごときを好きになるはずがないと思っている
・突然恋愛感情を向けられると、「信じられない」「なぜ」と混乱してしまう
・実際にお付き合いになる前に、好きという感情が消えてしまう
・相手を異性だと意識した瞬間に、突然気持ち悪さを感じてしまう
・けれど本当に気持ち悪いのは、恋愛をしようとしている自分自身

このタイプは、相手の異性の言動と自身の気持ちの変化に、直接の因果関係が無いのが特徴です。
相手に嫌悪感を抱いてしまう原因が自身にあることを認識しているため、「相手を傷つけてしまう……」と申し訳無さを感じてしまうようです。

○おもしろ系! 理想と違うと冷める“自称:蛙化現象”あるある
広義の蛙化現象は、すでに本来の意味とはかけ離れています。
どんどん派生して、「異性に冷めた瞬間のエピソード」が“あるある”のエンタメ恋愛ネタとして語られているようです。
・フードコートでキョロキョロしている姿をみたとき
・電子マネー決済をした際の効果音を聞いたとき
・会計のときにお財布を出しているのにスムーズにいかないとき
・眉毛や鼻毛など身だしなみに気になることがあったとき
・彼の私服のセンスがイマイチだったとき
・急なスキンシップを求められた、または性的な感情を表現されたとき
・全力で自転車を漕いでいる姿を見たとき
・デートの予定がうまく行かなかったとき

「実際に付き合ってみたら、理想とあまりにも違って幻滅……」ということなら、誰しも経験があるのではないでしょうか。
恋愛経験が浅い時期に異性を理想化してしまうことは良くあるので、多くの女性が共感するのも納得です。
同性の友人とこういった話で盛り上がるのは楽しいですよね。
しかし、これは異性が理想と違った行動をとったときに幻滅しているだけなのです。
ネット上ではこちらの方がより認知されているようですが、従来の蛙化現象(ガチタイプ)とは別物なのです。

【された側の男性へ】
従来の意味での“蛙化現象”のバックグラウンドが語られることは少ないのですが、突然異性を気持ち悪いと思ってしまう原因はご本人のこれまでの経験やトラウマのなかにあるようです。
ご本人もそれには自覚がありますので、相手の言動のせいにしたり、笑ったりすることはありませんし、できません。
相手の男性もしんどい思いをしているのを理解できるため、逆に申し訳ないと悩む声も多いといえます。
もしも好きな女性が“蛙化現象”なら、心情の変化であなたを傷つけたことを詫びている(ガチタイプ)のか、異性に幻滅したことをただそう呼んでいる(おもしろ系)なのか、状況を確認してみましょう。
この判別は、あなたが相手を理解する手がかりになるはずです。
場合によっては、“蛙化”した女性への極端な怒りや偏見、恋愛への恐怖心はやわらぐのではないでしょうか。
相手の立場や考えを理解することが大切であることを“蛙化現象”を通して気付かれる方もおられると思います。
この「気付き」を“蛙化現象”だけに留めることなく、何事においても重要なことだと認識していただき、日々の生活へ活かしていただくため、心の中で常に温めていただければと期待します。