人間関係リセット症候群の改善方法は?

さて、第1回では「人間関係リセット症候群」の人のやりがちな5つの行動についてを、第2回では「人間関係リセット症候群」になりやすい人の7つの特徴を詳しくご紹介しました。

さて、第3回では「人間関係リセット症候群」になってしまう4つの原因を探っていくとともに、改善方法までを見ていくことにしましょう。

ここまで「人間関係リセット症候群」の人は、今ある人間関係をリセットしようと行動にうつす傾向があるとお伝えしてきました。
しかし、社会で生きている私たちにとってすべての人間関係をリセットするのは中々簡単なことではありません。
ではなぜそんなに大変で苦労するにも関わらず、人間関係をやり直したいと考えてしまうのでしょうか?
そこでここでは、「人間関係リセット症候群」になってしまう4つの原因についてくわしく解説していきます。

1 人付き合いが面倒になったから
人間関係をリセットしたくなる多くの原因のひとつに、人間関係が上手くいかないことが挙げられます。
その代表的な原因のひとつが、「人付き合いが面倒になったから」というもの。
どのような人間関係にもめんどうなことはつきものであり、ときには妥協することも大切です。
しかし、「人間関係リセット症候群」の人は、そのめんどくささに耐えられずに、簡単に人間関係をリセットしようとしてしまいます。
具体的な理由があるならまだいいかもしれませんが、軽い気持ちで簡単に人間関係を切り捨ててしまうのは考えものだといえます。
「衝動的に行動に移してしまう」という人は、改善が必要といえるでしょう。

2 自分が嫌われていると感じたから
「人間関係リセット症候群」になりやすい傾向のある人の特徴のひとつに、ネガティブ思考である点がありました。
自分に自信がない人は、ちょっとした出来事が原因で「嫌われているかもしれない…」と、落ち込んでしまいがちです。
自分が嫌われているかもしれないと考えながらコミュニケーションを続けていくのは大きなストレスとなります。
自分を守るためにもこれ以上傷つくくらいなら、人間関係をリセットしたいと考えてしまうのでしょう。
ただし、場合によっては人間関係をリセットすることで状況がよくなるケースもあるため、必ずしも人間関係を見直すのは悪いことばかりではないので、頭から悪者扱いをすることは慎まなければいけません。

3 気をつかうのに疲れたから
「頼まれたら断れない」とか、「他人といるとなんだか疲れてしまう」このように感じてしまうことで、「人間関係リセット症候群」になる人もいるのではないでしょうか。
人によっては元々ひとりで行動するのが好きで、他人とコミュニケーションをとることにストレスを感じてしまう人もいます。
このような人は、負担に感じる人間関係であれば、簡単に断ち切ってしまうこともあるでしょう。
人に気をつかうくらいであれば、その時間をひとりの時間として楽しみたいと考えるのです。

4 環境の変化を報告するのが面倒だから
近況の報告をしないのも、「人間関係リセット症候群」の人がやりがちな行動のひとつです。
これは、環境の変化を報告するのが面倒だからということが原因であることも。
さまざまな人とインターネットでやりとりができる現代において、とくに大事な用事がないのであれば連絡する必要がないと考えるのかもしれませんね。
このような人は悪気はなく、ただ連絡をとっていないだけの可能性もあるでしょう。

以上が「人間関係リセット症候群」になってしまう4つの原因ですが、病気ではないとはいえ周りへのマイナスの影響が懸念されることですので、ここからは改善方法について紐解いていきたいと思います。

「人間関係リセット症候群」は、必ずしも悪いことではありません。
なぜなら、場合によっては人間関係をリセットすることで状況がよくなるケースもあるからです。
しかし、人間関係を良好に保ちたいのにも関わらず、衝動的にリセットしたくなるのであれば改善していった方がいいといえるでしょう。

ここからは、「人間関係リセット症候群」を改善する4つの方法について詳しく解説していきます。
どれも意識を少し変えることでできることばかりですので、ぜひ実践してみてください。
それでは順番にみていきましょう!

1 睡眠や運動で気分をリフレッシュする
「人間関係リセット症候群」になってしまうのは、不規則な生活での身体の疲れが原因かもしれません。
その場合には、質の高い睡眠を意識してみたり、運動をして気分をリフレッシュしてみるとよいでしょう。
睡眠を改善するだけでも疲れがとれて気持ちがすっきりします。
また、運動を定期的におこなうことで、適度な疲れが生まれ質のよい睡眠にも繋がるはずです。
毎日の生活習慣は、想像以上に心身に影響を与えます。
日頃の生活習慣を見直し、身体に気をつかうことで不安定な気持ちが生まれにくくなり、衝動的な感情をおさえられるようになるでしょう。

2 相談できる友達を作る
「人間関係リセット症候群」になってしまう原因のひとつに、「相談できる相手があまりいない」というものがありました。
この原因には、「相談できるほど親しい人がいないからこそ、気軽に人間関係をリセットしてしまう」という心理があるのかもしれません。
もしも、いつも親身に相談にのってくれる友達がいたら簡単に関係を切れるでしょうか?
おそらく、突然音信不通になることはなくなるでしょう。
相談できる友達を作ることで、きっと人間関係を大切に思えるようになるはずです。
あまり思い悩まずに、気軽に相談できる友達を作っていくことで、少しずつ改善していけるでしょう。

3 他人の評価を気にしないで生きる
完璧主義な性格の人や自尊心が低い人の場合には、周囲の人に認めてもらうために必要以上に頑張りすぎてしまう傾向があります。
頑張ることで周囲からよい評価を受けることができるかもしれません。
しかし、本人は自分の本来の実力以上に頑張りつづけているため、いつかは限界がきてしまいます。
始めは周囲からの評価をうけるために頑張ってきたつもりが、気がつけば期待がプレッシャーになりストレスになることも出てくるでしょう。
ストレスが大きくなると、衝動的に周囲との関係を断ち切ろうと考えてしまうかもしれません。
このような行動をおさえるためには、他人の評価を気にしないで生きることが大切となります。
まずは、頑張っている自分を認めて褒めてあげましょう。

4 不安や悩みを紙に書き出す
衝動的に「人間関係をリセットしたい!」と思ったときには、行動にうつすのをグッと我慢して、その時の不安や悩みを紙に書き出してみましょう。
誰にみられるわけでもありませんので、気にせず素直に書き出してみてください。
1度紙に書くことで、気持ちがすっきりして冷静な判断ができるようになります。
ワンクッションをおくことで、本当に現状を変えるべきか、変えないべきかを考えることができますので、衝動的な行動をおさえることができるでしょう。
まずは自分の気持ちと向き合うためにも、紙に書き出してみることを習慣にしてみてください。

「人間関係リセット症候群」について、
第1回では「人間関係リセット症候群」の方のやりがちな行動について、
第2回では「人間関係リセット症候群」になりやすい人について、
第3回では「人間関係リセット症候群」の原因とその改善方法について
解説をしてきました。

何度も言いますが「人間関係リセット症候群」は病気ではありません。
しかし、あまりに過激な行動として他人の目に映ってしまうことから、もし人間関係をリセットしたいと思った場合にはこのメルマガ(ブログ)を再度読み返していただければと思います。

心理学者の河合隼雄氏は、【葛藤保持力】の大切さも説いています。
葛藤保持力とは、『悩みや迷いなどの葛藤に向き合う力』のこと。
葛藤保持力を高いレベルで持つことで、葛藤しながらも何が真実なのか、どのように解決していくと良いのかを考え続けることができ、そして『Aという見方もあるが、Bという見方もあるかもしれない』というような曖昧さを抱えながら生きていくことができます。
葛藤保持力についても、人間関係をリセットしたくなる人たちにとって苦手なスキルなのでしょうが、是非ともスキルアップしていただければと考えます。

読者のみなさんには、「人間関係リセット症候群」を得体の知れない恐ろしいものと考えずに、発症する原因を十分に理解するとともに、発症へのプロセスの中で発症を未然に防ぐ手段を講じていただければと考えます。
いざ発症したと思えた時には的確な改善方法を駆使して、軽症で済ませるような努力をしていただければ幸いです。
そして、「人間関係リセット症候群」への対処は、QOL向上に直結する大切なことであるとの認識をもっていただければと思います。