ジョハリの窓で自分を理解しよう!

さて、今回のお話しですが、読者の皆さんは「ジョハリの窓」をお聞きになったことがあるでしょうか。
「ジョハリの窓」とは、自己分析に使用する心理学モデルの一つです。
自分自身が見た自己と、他者から見た自己の情報を分析することで次の4つに区分して自己を理解するというものです。
① 自分も他人も知っている自分の性質(開放の窓)
② 自分は気付いていないが他人は知っている性質(盲点の窓)
③ 他人は知らないが自分は知っている性質(秘密の窓)
④ 自分も他人も知らない性質(未知の窓)
他者とのコミュニケーションにおいて自分自身をどれだけ表現しているかという視点で現在の自分の姿を理解することができます。
私たちが社会の中で成長していくためには、積極的に自己を開発していく必要があります。
そのためにはまず、自分を知ることが大切です。
自分を知ることで自己開発をする手法として有効なのが、この「ジョハリの窓」なのです。
ここでは「ジョハリの窓」とは何かを解説するとともに、自分自身の「ジョハリの窓」を描き出す方法や、解釈の仕方についてもご紹介したいと思います。
ご自身の「ジョハリの窓」を自己開発の参考にしてみては如何でしょうか。

では、自分の「ジョハリの窓」の描き方についてお話ししましょう。
「ジョハリの窓」を描いて完成させるには、第三者からの情報(自分が他人からはどのように見えるか)が必要となります。
「自分から見た自分」と「他人から見た自分」の情報から4つの窓を作っていきます。
実際に行う場合はお互いに相手のことを知っている5~10人程度で行うとよいでしょう。
そのため、自分をまだ知らない初対面の人と行うことはできません。
また、心の開示を伴うのでお互いに信頼のある関係性のメンバーで実施することも大切な要素です。
実施方法には主に3つの方法があります。
① その人に対して感じていること、印象、性格などを自由に記述する方法
② あらかじめ人の性格・能力の要素(複数の項目)を決めておき、該当するものを選択する方法
③ 既存のシート、Webなどを利用する方法
①の方法は、特別な用紙を用意する必要もなく、紙と鉛筆があればできる方法です。
ただ、その人が感じている気持ちを正確に表現することができますが、記述される内容が性格面の評価だったり能力面の評価だったりと評価軸の統一性に欠けることが多くなるデメリットがあります。

次に、 作成した「窓」から解釈できることについて考えてみましょう。
作成した「ジョハリの窓」からは、他人から見た自分について知ることができます。
実際の自分をうまく表現できていないことや、自己開示が不十分であることに気付いたり、気付いていなかった自分に気付かされたりすることもあります。
これらの気付きは今後の自己開発に活用することができます。

それでは、「ジョハリの窓」から分かることを見ていきましょう。

【開放の窓】
開放の窓は、自分の分析と他人からの分析が共通しており、「自分自身も知っていて他人も知っている自分の性質」です。
この窓の項目が多い場合、自分の内面や能力などを他人が分かるように表に出している(自己開示している)傾向が強いと言えます。
逆にこの窓が小さいと、他人から見たときに「よくわからない人」のように見えているということになります。

【秘密の窓】
秘密の窓は、「自分は知っているが他人は知らない自分の性質」です。
この窓の項目が多い場合、内に秘めている部分が多く、自己開示をしていない、あるいはできていないと考えられます。
この窓には、意図的に表現していないことも含まれますが、自分の個性をうまく表現できていないという場合には、意識的に表現してみるといいでしょう。
それによってこの項目は開放の窓に移り、開放の窓を広げることにつながります。

【盲点の窓】
盲点の窓は、「自分は知らないが他人は知っている自分の性質」です。
この窓の項目が多い場合は、自分自身の分析ができていない、あるいは自分が気付いていない部分が多いことを意味します。
そのため、自分への理解を深めることに役立てることができます。
自分が知らなかった自分の性質を理解し受け入れていくことで、この項目は開放の窓に移っていきます。

【未知の窓】
未知の窓は、自分も他人も気付いていない、あるいはまだ開発されていない性質です。
新しいことに挑戦したりする中で気が付く、あるいは新たに開発されていく可能性がある項目と言えます。
開発すれば、秘密、盲点、開放の窓のいずれかに新たに項目が加わることになるでしょう。
つまり自己開発するということは、未知の窓を狭め、開放の窓を広げていくことだと言い換えることができます。

まとめとして…。
「自分が知っている自分」と「他人が知っている自分」を分析することで、自己に対する気付きを得ることができます。
繰り返しになりますが、この分析によって分かるのは次の4つの側面から見える自分の姿です。
・開放の窓(自分も他人も知っている)
・秘密の窓(自分は知っているが他人は知らない)
・盲点の窓(自分は知らないが他人は知っている)
・未知の窓(自分も他人も知らない)
この分析によって開放の窓を広げ、未知の窓を狭めるように行動することで自己開発につなげることができると言えます。
この分析手法は、ビジネスにおける能力開発にも十分な効果を発揮します。
ただし、この手法は自己開示を伴うため人によっては心理的な負荷がかかることがあるのでその点への配慮や注意が必要です。
実施する際には内容を十分に理解したうえで、信頼できるメンバーで行うようにしましょう。
結果を受け入れ、自己の開発に利用すれば、ビジネスの世界、一般の人間関係においてもその効果を得ることができるでしょう。
「ジョハリの窓」を利用して、自分自身のことを今以上に理解してコミュニケーションの輪を広げていただければ幸いです。