QOLを左右する水の話題
さて、今回の話題は「QOLを左右する水の話題」についてのお話です。
毎日、酷暑とも言えるとんでもなく暑い日が続いています。
「こまめに水を飲んでね!」といった気づかいの言葉や、「目覚めの一杯、寝る前の一杯。しっかり水分 元気な毎日!」などの合い言葉は、もはや私たちの定番の日常会話になっています。
そこで今回は、水の話題の第一弾として、QOL(生活の質)に影響する最も大切な、人間の生存に欠かせない水分補給の重要性について書き記してみたいと思います。
水と生きるSUNTORYのホームページ(水大事典)を見ると、「私たちの体は成人で体重の約60~65パーセントが水分で構成されています。
この水の働きで、栄養素や代謝物の運搬、体温の調節などが行われ、生命の機能が保たれています。健康を維持するのに毎日水分補給をする必要があるのは、このためです。」とあります。
私たちの体にはたくさんの水分が含まれていて、仮に体重70kgの成人男性ならば、約42kg分もの水分を体内に蓄えていることになります。
大袈裟に言えば、まさに人間は水でできているということなんですね。
ですから、体の中の水分を5%失うと、脱水症状や熱中症などの症状が現れ、10%失うと、筋肉の痙攣、循環不全などがおこります。
そして、水分を20%失うと死亡の恐れがあるそうです。
まさしく、水がいのちを支えているといっても過言ではありませんね。
それでは、いのちに欠かせない水、1日に必要な水分量はどれくらいかといいますと、健康な成人の場合、体重1㎏につき約35ml が必要と言われています。仮に体重70kgの成人男性ならば、1日に約2.4Lの水分が必要ということになります。
ここで再度、水と生きるSUNTORYのホームページ(水大事典)から、水とからだの関係、水の飲み方などを引用してみますと、
「成人が1日に排出する水分の量を合計すると、約2.5リットルにもなります。
主な排出分は、不感蒸泄(汗などとして感じなくても皮膚や呼吸を通して水分が失われていること)として約0.9リットル、尿や便として約1.6リットル。
普通に生活をしていても、1日の排出量とほぼ同じ、約2.5リットルの水分を飲食物から補給する必要があります。
平均的な食事で約1.0リットル、食べ物を分解してエネルギーを得る際にさらに0.3リットルの水分を摂取できるので、残りの約 1.2リットルを飲料水から摂取することになります。」とあります。
ということは、飲料水から摂取するのは、1日に必要な水分量(約2.5L)のうち、 約 1.2L~1.5Lを目安にすれば良いということですね。
また、水の飲み方としては、一気にたくさん飲むのではなく、1回につきコップ1杯程度の量の水を1日に6~8回飲むという飲み方が良いようです。
朝起きたとき、歩いたあと、スポーツなど体を動かしているとき、入浴後、就寝前などにこまめに水を飲めば、水分不足に陥ることなく、また水の取り過ぎで体に負担をかけることなく効率的な水分摂取ができるということです。
ところで、皆さんは「健康のため水を飲もう」推進運動という活動を聞かれたことはありますでしょうか。
「健康のため水を飲もう」推進運動とは、「健康のため水を飲んで、熱中症や脳梗塞などの重大な事故から尊い人命を守る」、こういった運動を全国に広く浸透させるため、厚生労働省が後援して2007年から始まった大変意義のある運動です。
健康のため水を飲もう委員会では、この運動の一環として、皆さんに少しでも関心を持っていただくために「健康のため水を飲もう川柳」を毎年、一般公募されています。ここで、昨年の第7回入賞作品を紹介しますと、
・水飲めば「イイね」もらえる体から
・人々の命をつなぐ 水の道
・水チャージ 体のアラート 鳴る前に
いかがでしょうか。“ 水をこまめに飲む習慣 “ 付けの大切さを感じる素敵な川柳ですね。
余談ですが、毎日暑すぎて、ついつい冷えたビールでも飲んで水分補給をしようと思ったのですが、それは水分補給にはならないそうです。
「えっ?」ダメなんですか?
実は、ビールなどのアルコールは残念ながらマイナスに作用するそうです。
水分補給にならない理由は、アルコールには利尿作用があり、逆にからだから水分が失われていくことになりかねないとのことです。
話は変わりますが、ここ数年、水に関する情報で気になっているニュースがいくつかあります。
皆さんは“水が飲めない子ども“が増えている、という話をご存知でしょうか?
「どうゆうこと?」と思われた方もあるかと思いますが、これはどこか外国の飲料水が足りない国の話ではなく、水があるのに飲めないという子どもたちが日本で増えているという話です。
日本の幼稚園や小学校では水を飲めない子が一定数いるようです。
これはある学校の保健室から、「熱中症の症状が出ている子どもにコップにくんだ水を渡して飲むように促しても、唇をぬらす程度しか飲まず、コップの水をのんでくれません」という報告があり、問題提起がなされたものです。
なぜそのような子どもたちが日本で増えてきているのか、飲めない理由とは?
それはなんと「味のない水が飲めない」「冷たくない水が飲めない」というものでした。
原因は、普段からジュースやスポーツドリンクを飲んでいる子どもたちや、ほどよく冷えた飲料しか飲んでいない子どもたちがいて、そのような子どもたちの中には、「水道水」は飲めないという子どもがいるということがわかりました。
このような場合、熱中症などはいつどこで症状が出るかわからないため、緊急時において上手く水分補給ができないことは、場合によっては命に関わる危険を招きかねないだけに、問題になっているということです。
飲みものへの意識や感覚が多様化し、水の価値観も異なってきているのかもしれません。
日本では蛇口をひねると、管理され、基準値に沿った安全でおいしい水があたりまえに出てきますが、日本のように水道水をそのまま飲める国は極めて少なく、世界196カ国のうち、たったの12カ国しかありません。
SDGs(持続可能な開発目標)には、目標6「安全な水とトイレを世界中に」という目標がありますが、「水」は私たちが生きていくために、欠くことのできない「いのちの水」といえます。
世界中の人々の生活を支えている水、広く、大きな意味で「水」は、私たちのQOL(生活の質)を左右する、絶対的な要素です。
酷暑の夏、健康リスクを予防するためにも、ぜひもう一口飲むことを増やして「こまめに水を飲む習慣の定着」を図り「水の大切さ・有難さを再認識する」、学び直しの機会にしていただければ幸いです。(ふ)