ChatGPT(チャットGPT)って何?

さて、今回の話題は「ChatGPT(チャットGPT)」についてのお話しです。
今、世間では生成AI、対話型の人工知能(AI)に関する話題が絶えません。
米オープンAI社が開発した「ChatGPT(チャットGPT)」の話題が毎日のように世界中のメディアで報じられています。

2022年11月30日に無料公開と発表されるや、その反響は凄まじく、わずか5日で100万ユーザーを突破し、2ヶ月後の1月には月間アクティブユーザー数が1億人に達するほど、すごい勢いで利用者が急増しています。

それもそのはずで、このように、専門的、学術的な指標で人間レベルのパフォーマンスを発揮する生成AIはこれまでになく、かの有名なマイクロソフト創業者であるビル・ゲイツ氏も、「産業界全体が、この技術を中心に方向転換することになるだろう」と発言しているほどです。

そしてさらに、米オープンAI社が、2023年3月14日に発表した最先端の「GPT-4」では、人間をしのぐ「賢さ」を獲得したと言われるほどの進化で、その秘密は、ChatGPTに搭載されている大規模言語モデル(LLM)にあります。

多言語への対応力が改善されたほか、言語だけではなく画像情報も認識できるなど、その実力は、米司法試験の模擬試験で上位10%に入る成績を挙げるほどとなりました。
そして先日は、「GPT-4」に日本の医師国家試験を解かせたところ、合格ラインを超えたというニュースもありました。

実はわたしも、あまりの人気に触発され、YouTubeで「ChatGPT」に関するチャンネルを見たところ、誰でも簡単に始めることができる感じでしたので、早速「ChatGPT公式サイト」と検索し、アクセスしてみました。
最初に出てきた英語表記には戸惑いましたが、「Try ChatGPT」をクリックし、次に「Sign up」をクリックして、まずは、Eメールアドレスとパスワードを入力してアカウントを作成。
すると、登録したメールアドレスに OpenAI から直ぐにメールが届き、確認した後、名前と電話番号を入力すると、ショートメール(スマホ)にすぐさま認証コードが届きました。
あとは、この認証コードを入力し、次へとクリックしていくだけで簡単にChatGPTを無料で始めることができました。

初めてのChatGPTの利用は、何を質問しようかと迷いましたが、思いついた質問を日本語で入力してみますと、どうでしょう!
瞬く間に文章で返答をしてくれます。
その文章も驚くほど自然な文章で、人間と話しているのではないかと錯覚しそうになるほどです。

このChatGPTなど生成AI(人工知能)の原理は、ネット上にる莫大な文章を学習し、そのデータをもとに、ある言葉の次に続く言葉として最も確率の高いものを連ねて文章を作るというものです。
そして、この原理そのものは人間の脳の神経回路の働きをモデルとする「深層学習(ディープラーニング)」と呼ぶ技術が基盤となっています。

しかしながら問題は、登場して20年近くたつのですが、なぜ深層学習のAIがこんなに賢いのか、まだ謎が多く、よくわかっていないようなのです。
その謎解きには、世界の研究者が原理解明に取組んで、徐々に仕組みは解明されてきてはいるらしいのですが、研究者曰く、正直なところまだ完全な理解は難しいということです。

何とも不気味な感じがしますね。
このようなことから、急速に発展するAIの危険性を危惧する研究者の一部からは、急な普及は「人類に脅威となる」「開発を加速すべきではない」と警鐘をならされているほどです。

ChatGPTは「検索」ではなく「相談」するシステムですので、生成AI(人工知能)に送った質問の情報や文章はシステムに蓄積されて、学習される可能性があることから、予測しない危険性(機密情報や個人情報の侵害、著作権侵害、偏見や誤情報の拡散、犯罪行為への利用など)が生じないかと懸念されています。

そのほかにも社会に大きな影響を与える話しとして、米オープンAIとペンシルベニア大学が発表した論文では、
「GPTの普及で米国の労働者の9割の業務に影響があり、そのうち2割は業務時間が半分になるという。影響は参入障壁や賃金が高い職業ほど大きくなる」
という調査結果が記述されていました。(週間東洋経済より一部抜粋)

人間が開発したものながら、未知な部分が多く、社会に与える影響度や利用者のリスクを低減するためにも、今、「生成AIの適正利用に向けた統一ルール」が何より必要で、世界的にその模索が各方面で始まっているのもうなずけます。

2023年5月11日の日経新聞の記事に掲載されていた記事では、「岸田文雄首相は10日、広島で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)で「Chat(チャット)GPT」など、文章を自動的に作る生成AI(人工知能)の活用に道筋をつけると明らかにした。
「人間中心の信頼できるAI」をめざす、という考えに基づいて国際的なルールもつくっていかないといけない。
など、今後このような生成AI(人工知能)とどう付き合っていくか、早急に活用ルールを議論すると書かれていました。

このように、社会システムを変えるほどの破壊的イノベーション(技術革新)となる生成AI(人工知能)は、米オープンAIの発表後も、次々と発表がなされており、競争も激化しています。
例えば、オープンAIと提携しているマイクロソフトは検索サービスの「Bing(ビング)」を2月に発表。
そしてグーグル は対話型のAI「Bard(バード)」を3月に発表、さらに40超の言語に対応できる大規模言語モデルの生成AIを先日の5月10日に発表しました。

驚くばかりのスピード発表ですね。
各社、本腰を入れていることが良くわかります。

瞬く間に普及していく生成AIですが、ここで、ChatGPTで何ができるか?その活用方法を記載したいと思います。
一定程度の精度は間違いなくありますので、サポートなどにおいては非常に有用です。
東大でAI研究をリードしている松尾豊教授によれば、ChatGPTができる得意なことは5つあるようです。
①文章の添削、校正 ②文章や概念の要約 ③壁打ち、ブレインストーミング ④リサーチ、論点の洗い出し ⑤アイデアの提案
の5つですが、AIアシスタントとしても充分に活用できそうです。

もし興味がおありでしたら、ChatGPTでぜひ体験してみてください。

それでは最後となりましたが、一つ、興味深い回答がありましたので紹介をさせていただき、終わりたいと思います。
それは、以前はChatGPTに、「幸せな人の顔を描いてください」と質問すると、いくつかの画像を描いてくれました。
しかし今では同じ質問をしても、画像は描いてくれなくなりました。
そのかわりに、以下のような回答がありました。

「申し訳けありませんが、私は機械学習によって訓練された言語モデルであり、視覚的な情報を処理することができません。
しかし、幸せな人々が通常何をするかについては、一般的に以下のような行動をとることが多いとされています。

・笑顔でいる
・愛する人と過ごす
・好きなことをしているときに笑顔になる
・自分自身や周りの人に対して感謝の気持ちを持つ
・楽しい経験をしているときに、その瞬間に集中する
・他人を助けることに喜びを感じる

これらの特徴を持つ人々は、一般的に幸福感を感じていることが多いです。」

この回答、すごいと思いませんか。
この人間と変わらない自然な回答を見て、近い将来、社会の基盤となる重要な存在になるのは間違いない!と思った瞬間でした。
そして、この生成AI(人工知能)の技術を応用した商品やサービスが私たちの日常生活のあらゆる場面に登場することと思います。

その中には「QOLを高めてくれるAI・ロボット」も、もはや夢物語ではありません。
高齢者化社会の課題を解決するテクノロジー、又はテックサービスのことをエイジテック(Age Tech)といいますが、この分野でも、驚異的な生成AI(人工知能)の進化によって、新たなステージを迎える予感がします。
今はただ、より良い未来になることを願うばかりです。

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