自己肯定感を向上しよう!
さて、読者の皆さんの中には、仕事や日常生活において、他人と比較し自分のダメな部分を否定したり、自分を責めたりして憂うつな気持ちになってしまうことはありませんか?
これらは「自己肯定感の低さ」が原因かもしれません。
自己肯定感は仕事のパフォーマンスや良好な人間関係の形成においては、とても重要な要素の一つです。
自己肯定感とは、簡単に言えば「ありのままの自分を肯定する、好意的に受け止めることができる感覚」のことです。
他人と比較するのではなく、そのままの自分を認め、尊重し、自己への信頼を感じることができる心の状態を指します。
人間関係やパートナーシップ、仕事や自己実現においても、自己肯定感が土台となり、幸福感に大きく影響する感覚です。
では、自己肯定感の高い人と低い人はどのような違いがあるのでしょうか。
具体的に見ていきましょう。
①他人の評価に左右されるかどうか
自己肯定感の高い人は、他人の評価に左右されず、自分自身の価値をしっかりと認識しています。
外部からの批判や意見を冷静に受け止めることができ、自分の価値を他人に委ねることはありません。
一方、自己肯定感が低い人は、 他人の評価や意見に過度に依存し、自分自身の価値を見失いやすい傾向にあります。
他人の期待に応えようとするあまり、自分の本当の気持ちや意志を無視してしまうことがあります。
②物事をフラットに捉えられるかどうか
自己肯定感の高い人は、自分の強みや弱みを正確に認識し、強みも弱みもどちらも受け入れています。
自己評価が現実的であり、自己への過剰な自信やそれとは逆に自分を過小評価をすることをしません。
自己肯定感の低い人は、 否定的な考え方が習慣化しており、自分に対して悲観的な見方をしがちです。
自分に対して過度に厳しい評価を下すことで自己否定をすることもあると言えます。
ほんの些細な失敗でも自分を責め、自信を喪失することが多いです。
③他者との関係性が健全かどうか
自己肯定感の高い人は、他者との関係を大切にし、良好なコミュニケーションを維持します。
自己を受容をしているからこそ、他者の意見を尊重し、協力的な態度を取ることが多いと言えます。
一方自己肯定感の低い人は、他人との関係に不安を抱きやすく、過度に他人に合わせたり、過度に謙虚になる傾向があります。
その結果、自分の意見や感情を抑え込み、ストレスを溜めやすくなります。
それでは、自己肯定感が低くなる原因について深掘りしていきましょう。
自己肯定感に影響する代表的な要因をピックアップしてみました。
①過去の原体験(特に幼少期の体験)は、自己評価に大きな影響を与えます。
具体的に自己評価が低くなる事例としては、幼少期に親や教師からの厳しい批判や過剰な期待を受けた場合です。
例えば、公の場(運動会、プレゼンの場等)において失敗をしてしまい、笑われたりからかわれたりすることによって、「自分はできない」と思ってしまうなどが挙げられます。
実際に原体験と似た体験をしている時に、自己肯定感が低い状態に陥っていることが多いのではないでしょうか。
②家庭環境
家庭内の雰囲気や親子関係も自己肯定感に大きな影響を与えます。
親の過干渉や無関心、過度な期待や厳格な教育方針などが、子どもの自己評価にネガティブな影響を与えることがあります。
例えば、 学校でのテストの成績が悪かった時に、親から「あなたはダメだ」と言われ、「自分はダメなんだ」というレッテルを貼ってしまったり、 兄弟と比較され、「あなたは〇〇と違って、何もできないのね」と言われることで「自分は価値がない」と思ってしまうことが挙げられます。
③偏差値教育
学校教育における偏差値重視の教育制度も、自己肯定感の低下に影響を与えます。
成績や試験の結果でのみ評価されることで、他の能力や個性が無視され、自己評価が偏りがちになります。
それでは、自己肯定感を高める方法にはどのようなものが考えられるでしょうか。
自己肯定感とは、自分自身への解釈にすぎません。
そのためには、まず自分自身で行った解釈に気づき、そしてその解釈を受け入れた後に、その解釈を自己肯定感が向上する方向へ変えていく行動と環境を整えていくことが大変重要だと言えます。
自己肯定感を低くする要因が外部にあったとしても、変えられるのは、最後は自分だけなのですからね。
では、具体的に探っていきましょう。
①自分の「解釈」に気づく
自分の思考・感情パターンの認識に気づくことが求められます。
日常的に自分がどのように物事を解釈しているかに気づくことが大切です。
ネガティブな解釈をしていると感じたら、まずはその解釈に気づくことから始めましょう。
起こった出来事に対する自分の思考・感情をメタ認知(自らの思考過程を認識し、その背後にあるパターンを理解すること)することがまず第一歩です。
ただし、自分一人でのみこの思考・感情をメタ認知することはとても難しいものです。
自分の思考・感情をアウトプットし、様々な視点からフィードバックを得られるような「場」があることで、「自分ってこのような考えを持っているんだな」と自己認識することができます。
その上で、自分の考え方や解釈が現実に即しているかを見直すことも重要です。
自己批判的な考え方をしている場合、それが本当に現実に合っているのかを冷静に検討してみましょう。
②自分の「短所・弱み・欠点」を、あるがまま受け入れる
「自分には〇〇はできない」「自分には分不相応だ」というように、自己肯定感の低い人は自分で自分のことを否定することが多いかもしれません。
しかし一度過去の自分の経験を振り返ってみてください。
短所や欠点があったからこそ、努力したり、克服したりした経験が少なくとも1つや2つはあるはずです。
物事は「表裏一体」です。
自分の欠落部分にこそ、才能や強みが隠されているかもしれません。
だからこそ自分が悪いと捉えている部分を悪いと解釈せず、あるがままを捉え、肯定的側面を見てみることをお勧めします。
③「小さな成功体験」を積んでいく
【目標設定】
達成可能な小さな目標を設定し、一つ一つクリアしていくことが重要です。
例えば、毎日のタスクリストを作成し、一つずつ達成していくことで、達成感を得ることができます。
まずは小さな達成から行い、徐々に負荷をかけていくことで、自己肯定感も段階的に高まるでしょう。
【自己評価】
達成した目標に対して自分を褒める習慣を持つことが大切です。
自己評価を高めるためには、自分の努力や成果を認め、ポジティブな自己対話を行うことが効果的です。
いきなり達成基準値をあげるのではなく、こちらも徐々に上げていくと良いでしょう。
【振り返り】
定期的に自分の進歩を振り返り、小さな成功を確認することで、自己肯定感を徐々に高めることができます。
日記をつけたりデジタルツールを活用したりして、達成したことを書き留めることが効果的でしょう。
④心理的安全性の高い環境に身を置く
信頼できる友人や家族、同僚などと、心理的安全性の高い環境を作ることが重要です。
たとえ今そのような環境がなかったとしても、敢えて今ある環境を変えてみたり、今の自分にはないサードプレイス(コミュニティにおいて、自宅や職場とは隔離された心地のよい第3の居場所)に飛び込んだり、自分で「場」を創ってしまうこともひとつかもしれません。
幅広い年代や、居住地や職業も違うといった多様な人達と、お互いに尊重し合い、お互いに高めあえるような「場」に身を置くことができれば、 さらに自己肯定感は高まり、色々な物事に挑戦していく自分を獲得できるでしょう。
いずれにせよ、自分だけでは自己肯定感を上げていくことは大変です。
周りの人たちとの良好なコミュニケーションを作り上げていくことで、手を取り合って自己肯定感向上を目指しましょう。
周りの人たちの協力の下、成功体験を積み上げていくことが何より重要なことだと認識すれば、QOLの向上に資する道が開けて来るでしょう。(ま)