自分ごと化を図ろう!

さて、今回の話題は「自分ごと化」にまつわるお話しです。

最近、よく「自分ごと」という言葉を耳にします。
この「自分ごと」という言葉は、ミーティングをしている中で、「では、この課題を自分ごととして考えてみましょう!」なんてことになることがあり、「自分ごと」を曖昧ではなく、ちゃんとした理解をしなきゃいけないと思って調べてみました。

調べていくと、「自分ごと」とは、他人事ではなく、自分自身に深く関係する事柄として考えることだとわかりました。
自分と自分以外の人や組織、モノに対して、同期して考えるという事です。

調べていく中で、類似する言葉として「自分ごと化」というのが出て来ました。
良く似ていますが、益々興味が湧いてきましたので深掘りしてみました。

「自分ごと化」というのは、組織や社会、チームで直面する課題や目標を他人事ではなく、自分自身の課題として主体的に捉え、行動する姿勢を指します。
単に与えられたタスクをこなすのではなく、自分の役割や影響範囲を超えて問題や状況を理解し、その解決に積極的に関与しようとする意識が重要視されるということです。
たとえば、業績目標や社会課題など一見自分に直接関係がないと感じる事柄でも、「自分の行動が結果に繋がる」という認識を持つことで、より積極的で責任ある態度が生まれます。
「自分ごと化」は、個人のモチベーション向上や成果の最大化だけでなく、組織全体の一体感や生産性を高める効果があり、現代の働き方やリーダーシップにおいて重要な要素とされていることが分かりました。

では、「自分ごと化」を図る上でのメリットにはどういったものがあるのかも見てみました。
ここまで世間で注目を浴びるには、それなりのメリットを持ち合わせていると考えられたからです。
このメリットは個人だけでなく組織にとってもメリットがあり、生産性の向上や従業員エンゲージメント(従業員が企業に貢献しようとする自発的な意欲)の向上に繋がることが分かりました。

それでは、「自分ごと化」のメリットを挙げてみましょう。
◯成長速度の向上
従業員が「自分ごと化」で物事を考えることによって、人材の成長スピードが加速します。
また、自ら考えて行動することで、問題解決能力や判断力、リーダーシップの能力なども同時に養われます。
さらに、「自分ごと化」を通じて得たスキルや経験は、他のプロジェクトや業務にも応用することができるため、全体としての人材の成長スピードを高めることにもつながります。

◯モチベーションの持続
「自分ごと化」によって、内発的な動機付けを促すことができる点もメリットといえます。
上司からの指示や報酬といった外発的な要因ではなく、自分自身の意欲や価値観といった内発的な動機に基づいて仕事に取り組めれば、持続的かつ積極的な発展が期待できます。
また、「自分ごと化」によって自己実現や成長を実感することができるため、達成感や自信にもつながります。
内発的な動機付けが促されることで、業務に対する熱意や責任感が高まり、結果的に生産性や業績の向上にも大きく寄与します。

◯生産性の向上
従業員一人ひとりが担当業務に強い関心を持ち、主体的に取り組むことで、効率的かつスピーディーな仕事が実現します。
また、「自分ごと化」することで、自ら考え、行動する力が身につくため、自己成長も促進されます。
自分の役割や目標に責任を持つ意識が高まると、業務に対する真剣さや集中力が増し、効率的な働き方が可能となります。
また、課題や目標を「自分ごと」として捉える従業員は、問題解決に向けた創意工夫を行い、リソースの有効活用や無駄の削減に繋がります。
結果として、チーム全体の成果も高まります。

◯従業員エンゲージメントの向上
「自分ごと化」は、従業員が組織の目標やビジョンを自分の目標とリンクさせるきっかけを作り、エンゲージメントを向上させます。
これにより、会社への愛着や信頼が深まり、チームや同僚との連携が強化されます。
また、自分の行動が会社全体にどのような影響を与えるかを理解することで、職場での一体感が増し、離職率の低下や職場環境の改善にも繋がります。

さあ、ここまでは従業員の視点での「自分ごと化」のメリットをご紹介しましたが、ここからはちょっと気になる「自分ごと化」ができない5つの理由を挙げたいと思います。
◯目的や目標が明確になっていない
従業員が何を達成すべきかが明確でない場合です。
目的や目標が曖昧だと、業務の意義や重要性を理解できず、課題に対する主体的な関与が薄れます。
その結果、自ら行動する意欲が湧かず、業務が単なる作業と感じられるようになります。

◯保守的な組織文化
変化を避ける保守的な組織文化も、「自分ごと化」を阻害します。
革新や個人の主体性を重視しない環境では、従業員が新しい挑戦や創意工夫を行う意欲が低下します。
このような文化では、失敗への恐れや他者からの評価への過敏さが強まり、主体的な行動が抑制されてしまいます。

◯他責思考
他責思考とは、問題や課題の原因を他人や外部環境に求める考え方です。
この思考を持つ従業員は、課題に向き合う責任を回避し、解決に向けた行動を取らなくなります。
結果として、「自分ごと」として捉える意識が薄れ、業務への積極的な関与が難しくなります。

◯余裕がない
業務量が過多だったり、精神的・時間的余裕がない場合、「自分ごと化」に必要な思考や行動に取り組む余力が失われます。
目の前のタスクをこなすことで精一杯な状況では、長期的な視野で課題を考えたり、主体的に関与する余地が減ります。

◯受け身な姿勢
受け身な姿勢の従業員は、指示待ちの状態に陥りやすく、自ら課題を見つけて解決しようとする意識が低下します。
この姿勢が続くと、業務に対する責任感や創造性が欠如し、「自分ごと化」の意識が育たないままになります。
組織として主体性を育む仕組みが必要とされるでしょう。

何となく思い当たる節はありませんでしたか?
では「自分ごと化」できない理由をどう変えていけばいいのでしょうか。
ここからは「自分ごと化」にさせるための5つのポイントについてご紹介しましょう。
「自分ごと化」させるためには、明確な目標を設定したり、社員同士の交流の機会を設けることが重要です。
また、自分自身を見つめ直す機会を提供することで次のようなアクションを促すことも有効だといえるでしょう。              

◯定性・定量目標を具体的に設定する
従業員の「自分ごと化」を促進するためには、具体的な目標を設定することが重要です。
特に目標は定性的なものだけでなく、定量的な形として設定することがポイントです。
定量的な目標を設定することで、従業員は自分自身の業績を具体的な数字で測ることができます。
また、定性的な目標についても同時に設定することで、従業員は自分の役割や責任を明確に理解し、目標達成に向けてスキルを発揮することができます。
定性的な目標は、従業員の自己成長にもつながるため、熟考したうえで検討しましょう。

◯他部署や別の職種との交流・意見交換の場を設ける
「自分ごと化」を促進するためには、従業員が自分の業務に限定されず、他部署や別の職種との交流や意見交換を行うことも欠かせません。
このような場を設けることで、従業員は自分自身の業務についてより深く理解し、新たな視点やアイデアを得ることができます。
さらに、これらの場を通じて、従業員は業務内容や企業全体のビジョン・戦略について深く理解できるでしょう。

◯リフレクションの機会を設ける
リフレクションとは内省のことで、ビジネスにおいては自分自身の仕事の状況や進め方を振り返り、次のアクションにつなげていく事を意味します。
「自分ごと化」を促進するためには、従業員が自己の成長や業務内容について内省する機会を設けることも有効です。
「1on1」や「メンター制度」などの方法によってリフレクションの機会を設けることで、従業員は自分自身の業務や成長について今一度振り返ることができて、更なる成長に向けたアクションプランを策定できます。

◯意思決定や責任を持つ機会を作る
意思決定や責任を持つ機会を設けることで、従業員の自己成長や組織成長に対する意欲を高められます。
意思決定や責任を持つ機会としては、「プロジェクトリーダー」や「チームリーダー」などの役職を与えることが挙げられます。
これらの役職に就くことで、従業員は現状の能力を試すことができて、今後の自己成長に向けたアクションプランを計画できます。

◯マネジメント層にコーチング研修を行う
マネジメント層を対象のコーチング研修を実施することもひとつの手です。
コーチングとは、自己の強みや課題を自覚し、自己成長を促進するための手法です。
マネジメント層がコーチング研修を受けることで、各々がまとめるメンバーに対して適切な質問を投げかけられるようになります。
これにより、従業員が自己の成長について考える機会を提供しやすくなり、「自分ごと化」を促進できます。

ここまで、「自分ごと化」を図る上でのメリット、「自分ごと化」できない理由、「自分ごと化」させるためのポイントを順次紹介してきました。
組織としての視点からみた具体的な考察となっていますが、個人に照らしてもなるほどこれは活用できるといったことがあります。
読者の皆さんには、このメルマガを読んでいただき、「自分ごと」の理解を深める良き機会とすると共に、出来るだけ視野の広い物事の見方をしていただきながら、「自分ごと化」を図っていただければ幸いだと思っています。(ま)