後悔をしない人生を送るために!
さて、今回はベストセラーになった本の話題です。
最近私は、「ゼロで死ぬ」という題名の本を読みました。
本書は、お金の稼ぎ方や増やし方などの巷によく出回っているマネー本ではなく、”お金の使い切り方”をテーマとした、今までに無かった切り口で著わされている本だと言えます。
必要以上のお金を貯め込むことを良しとせず、経済的な価値以上の本当の豊かさを追求することを目的とした内容となっています。
そして、一度しかない人生を、誰もが悔いのないものとしたいための羅針盤的な著書だと言えます。
それでは、著者が述べていることや言いたいことを簡単に抜粋しまとめましたのでご紹介します。
1. 今しかできないことにお金を使う
私たちは日々まるで、人生がずっと続くかのような感覚で生きています。
そのため、喜びを先送りし、手遅れになるまでにやりたいことを我慢し、ただただお金を稼ぐばかりの生き方になりがちです。
例えば、90歳になって水上スキーを始めるのは現実的には難しい。
今やりたいことを我慢すればその分のお金は貯まりますが、十分なお金を得た頃にはやりたかったことができない年齢になっているかもしれません。
人はいつか死ぬからこそ、限られた時間の中で最大限に命を燃やす方法を考えていきたいですし、いかなければならないのではないでしょうか。
著者は、自分が何をすれば幸せなのかを知り、その経験に惜しまずお金を使うことが大切だと言います。
まだ物心のつかない幼い頃に海外旅行に連れて行ってもらっても、現地で食べたアイスが美味しかった思い出くらいしか得られるものはありません。
その一方で、90歳の時に富士登山をしようとしても、楽しめるかどうかは分かりません。
行動するときのタイミングが重要で、時間とお金という限りある資源を、使うにふさわしい時期にきっちりと使うことで、私たちは豊かな人生を送れるというのが、本書の主張です。
2. 人生で一番大切な仕事は、思い出作り
若い頃からお金と時間を使うなら、何に使うのがよいでしょうか?
人生は毎日、毎週、毎年の経験の合計です。
人生最後の日に自らの人生を振り返ったとき、合計での経験の豊かさが、どれだけ充実した人生を送れたかを測る物差しになります。
若いときに勉強した方が効率が良いのは、投資と同じように、学んだことがその後もずっと使い続けることができるからです。
これは人生の思い出でも同じで、経験からはその瞬間の喜びだけではなく、後で思い出せる記憶が得られるからなんです。
とても素晴らしい旅行を経験すると、その時に楽しかったという記憶だけではなく、そこで得た知識や思い出は、友達に話したり一緒に旅した人と思い出話にふけったりと、その後の人生でも繰り返し再活用できます。
こうした原体験から新たに生まれる経験は、まさに記憶からの配当と言えるわけです。
人生を豊かにする経験には時間とお金がかかるものですが、若くて元気に満ちているうちであれば、そんなにお金をかけなくても経験から大きな喜びを得られます。
そして、得られた思い出は老後の時間を豊かにします。
だからこそ、とにかく早い段階で経験に投資をするべきと著者は言います。
3. 早死リスクと長寿リスク
死ぬことと長生きすること、あなたはどちらに投資しますか?
私たちは自分がいつ死ぬのかを、あらかじめ確実に知ることはできません。
本書によると、人生は常に以下の2つのリスクを抱えています。
・早く死にすぎてしまう、早死リスク。
・長く生き過ぎてお金が足りなくなる、長寿リスク。
早死リスクに対処する方法としては、生命保険があります。
生命保険会社もあなたがいつ死ぬかを正確に知っているわけではありませんが、多くの人から保険金を集めることで統計的に死亡率を分析し、もし加入者が早死にした場合でも、保険会社自身は利益を得ながら、その家族に確実にお金が支払われる仕組みができています。
これは私たち個人にはまねができない仕組みなので、保険会社を利用することのみで、早死リスクに対処することが可能になります。
一方で、長寿リスクに対処する商品もあります。
いわゆる、”長寿年金”と呼ばれているもの。
これは生命保険とは反対の性質を持っており、長生きしすぎて資産を使い果たしてしまうリスクから身を守ってくれます。
例えば、60歳の時点で長寿年金の契約をすれば、その掛け金は一旦すべて保険会社のものになります。
その見返りとして、あなたは残りの人生の月々の支払いが保証されます。
生きている限り、毎月必ず受け取ることができるのです。
自分ひとりで長寿リスクに対処しようとすれば、不安を取り除くために予備のお金を大量に残しておかなければなりません。
長寿年金という仕組みを利用することで、死ぬ前に資産が尽きないようにしながら、生きているうちにお金を使い切ることが可能になります。
長生きするほどお得に感じられると、余生を健康的に生きようというインセンティブにもなりますね。
4. 子どもには死ぬ前に与える
“ゼロで死ぬ” と聞いたとき、子どもに何も残さないの?と思った方もおられるかもしれません。
著者の主張はそうではなく、子どもに与えるべきお金を取り分けた上で、自分の余生のためのお金を生きているうちに使い切るべきと言っています。
そして子どもには、あなたが死んだ時の遺産として財産を残すよりも、死ぬ前に財産を与えるべきだと言います。
アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)の調査によると、人が遺産を相続する平均的な年齢は60歳だそうです。
晩年になってから相続をすることが多いということですが、これでは子どもたちは受け取ったお金を最大限に活用できるタイミングを逃してしまうことになります。
子どもがお金を最も必要とするのは、一般的に26~35歳くらいで、それを過ぎるとお金の絶対的価値はどんどんと落ちていきます。
子どもに財産を分け与えたいのなら、金額のことだけではなく、できる限り最適なタイミングを考えるべきだというのが本書の主張です。
5. 物事には賞味期限がある
著者は、娘が幼い頃にいつも一緒にお気に入りのディズニー映画を何度も観ていましたが、ある日突然、「もうこんな子ども向けの映画は観たくない!」と言われてしまいました。
このように、どんな物事も永遠には続かず、人生は移り変わり、やがて成長した娘のピアノの発表会を聞いたり、一緒に旅行に出かけたりして楽しむこともできますが、それもいつかは終わります。
そのうち、子どもの成長を見守る父親としてのステージも終わります。
様々な経験の中には将来に先延ばしができるものもありますが、多くの経験は時期を逃すと二度と取り戻すことができません。
一番の悲劇は、死ぬ間際になって、機会を逃したことへの後悔を感じることだと思います。
その時には、もう生き方を改める時間すら残されていません。
そんな人生のステージの有限性を意識するためのツールとして、本書では、タイムバケットを紹介しています。
方法としてはまず、25~29歳、30~34歳というように、5歳刻み程度の時間で区切り(バケット)を作ります。
そこからあなたが死ぬまでに実現したいと思っているリストを書き出し、それぞれを実現したい時期のバケットに入れていきます。
するとリストの中には、人生の特定の時期に行なった方がいいものが見えてくるはずです。
登山をしたり、ロックコンサートに行くなら若い時の方が楽しめますし、期間を明確にすることで、同じ期間に同時にやるのは難しいことや、具体的に段取りを組まなければ実現が難しいものがあることにも気づきます。
例えば、家族を持ってからでないとできないことや、独身の時の方がやりやすいことが明らかになれば、それぞれの人生のステージにおける優先順位が変わってきます。
タイムバケットを作ることで、漠然と死ぬまでにできたらいいなと思っていたことを、現実的な問題として捉えることができるようになるのです。
では、最後に人が死ぬ前に後悔することのトップ2をご紹介します。
◯勇気を出してもっと自分に正直に生きれば良かった
◯働きすぎなければよかった
の2つだそうです。
老後に備えて生活資金を貯めなければと考えている人は多いですが、ほとんどの人は心配しすぎるあまりに使うタイミングを逃してしまい、使い切れないほどのお金をため込んだまま死んでしまいます。
一度しかない人生を、果たして皆さんは悔いることなく過ごせているでしょうか。
ほぼ全ての人が、「嗚呼、あの時はこうすれば良かった。」といくつもの悔恨をお持ちだと思います。
私などは細かなことをいれれば毎日がその繰り返しのようなものです。
ただ、残念ながら過去に戻って修正を加える術はありませんので、ここから亡くなるまでの時間において、上記ふたつの後悔を生まないよう、自身の設計図をカスタマイズすることがあってもいいのではないでしょうか。
今からでも、遅くはありません。
自分自身のQOLの向上を考えることは、well-beingを叶える上でも必要不可欠な気がしませんか!
あとがきとして
この著書への感想は、個人の考え方などの違いもあり、「わたしの人生だから好きにさせて!」という人生感という究極の器のことを、他人にとやかく言われたくないとのお考えの方もおられると思います。
私は無理を強いることを求めているのではなく、ひとつの考え方、選択肢として、人生を歩むための参考書的な意味合いでご紹介しましたことをご理解くだされば幸いです。(ま)