娘が教えてくれた31枚の履歴書の意味
こんにちは、盲目のセラピスト、亀ちゃんです。
「我以外皆我師(われいがいみなわがし)」という言葉の通り、日々、周囲から多くのことを学ばせていただいています。
今回は、私の娘から学んだことについてお話しします。
娘が大学生の時、就職活動は非常に厳しい状況でした。就職氷河期と言われる時代で、彼女も苦労していました。娘はもともと教師を目指して教職課程を修了し、小・中・高の教員免許を取得していましたが、ある方の影響を受け、中小企業で働くことに興味を持つようになりました。それから、就職活動は中小企業に絞り、精力的に取り組んでいました。
面接では最終選考まで進むものの、最後の一歩で落選することが続きました。最初は、前向きに頑張っていたものの、次第に焦りと不安が募っていきました。
ある日、彼女は面接をしてくれた社長さんに「私には何が足りなかったのでしょうか?」と尋ねたそうです。社長さんは「我が社に余裕があり、しっかり教育できる環境があればあなたを採用したいのだけど、明日からの即戦力が必要なんです」と教えてくれたそうです。
それからもなかなか良い結果につながらず、元気を失った娘と電話で話す機会がありました。娘の気持ちをじっくりと聞いた後、私はこう伝えました。「お父さんが目が見えなくなると診断された時、東洋医学の先生から『この世で起きる全ての出来事には意味があるんです。意味のないことはないんです。その意味を考えてみてください』と教わったの。その時はすぐには意味が分からなかったんだけど、今なら少しずつその意味が分かってきた気がするの。だから、必死の時にはなかなか意味が見つけられないけど、後になれば必ず意味が見えてくると思うの。 今、あなたが苦しんでいることにも何か意味があるんやろね…」と。
数か月後、娘から良い教育現場に就職が決まったと嬉しい報告がありました。
私は「本当に良かったね、よく頑張ったね」と労った後、「今回の就職活動で履歴書は何枚書いたの?」と尋ねました。
すると、「31枚よ」と答えてくれました。
私は驚いて「本当に頑張ったね。今回の経験にはどんな意味があったんやろね?」と聞くと、娘はしばらく考えて「これからの人生で、31回はあきらめるなということかな」
と答えてくれました。その言葉に私は胸が熱くなりました。
私は「おぉーっ、あなたが31回あきらめないなら、お父さんも負けずに頑張らないとね」と伝え、「人生の階段のどこかに神様がプレゼントを置いてくれているけれど、それは下からは見えない。途中であきらめたら、そのプレゼントには届かない。あなたのプレゼントは31段目にあったということやろね」と話しました。
私が昔、盲学校に通っていた時、「全国盲学校弁論大会」でお話しした演目「決して、決してあきらめないで、あなたの夢を」の最後の言葉は、「あきらめたら、そこまでですから…」でした。
私も娘を見習い、31回はあきらめずに頑張り続けます。 にこっ! 亀ちゃん