人生を豊かにする情緒消費とは
さて、今回の話題は「情緒消費で自分探しを!」というお話です。
忙しい毎日の中で、
「なんだか疲れが取れない」
「満たされていない気がする」
そんなふうに感じることはありませんか。
そんな時、自分の気持ちに目を向け、感情を満たすためのヒントとして、情緒消費という考え方があります。
それは、気持ちを高めたり、癒しを感じたりすることを大切にする消費行動です。
たとえば、少し高くても心が落ち着くカフェで過ごす時間。
お気に入りの香りのハンドクリーム。
推しの存在に元気をもらえる瞬間。
こうした小さな“ときめき”は、心にゆとりをもたらしてくれます。
また、このような非日常な消費は、頑張っている自分へのご褒美となって、モチベーションを高めてくれます。
情緒消費は、「考え方(価値観)」でもあり、「消費行動」でもあり、そして「時代背景から生まれた消費トレンド」でもあります。
若い世代では、別名「感情消費」「エモ消費」とも呼ばれ、広がりを見せているトレンドです。
モノを所有することよりも、感情が豊かになる体験そのものにお金を使い、自分らしさや心の安定を求めるのが特徴です。
その背景には、SNSによる感情を共有する文化の広がりや、孤独・不安の増加、価値観の変化などがあります。
「ワクワクする」「心に刺さる」「つながる」など、年齢を問わず心が動く体験は、価格や機能では測れない情緒的価値を味わえる貴重な消費といえるでしょう。
最近の出来事では、例えば、日本からいなくなってしまいましたが、「愛らしいパンダ」、今月開催される「ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック」、「世界で活躍する大谷選手」などにまつわる消費行動、「節分や観梅などの季節や文化を味わう行事」もすべて情緒消費の対象となります。
情緒消費かどうかを決めるのは、
その消費の目的が「感情を満たすこと」にあるかどうかです。
例えば、趣味を例にとると、
・仕事のストレスを和らげたい
・気持ちを切り替えたい
・心が落ち着く時間がほしい
・自分らしさを取り戻したい
こうした感情を目的とした支出は、明確な情緒消費といえるでしょう。
それは、
「心が満たされるか」
「自分の気持ちがどう動くか」
「自分らしいと感じられるか」
といった内面的な満足が重視されているからです。
一方で、
・技術向上が目的
・資格取得のため
・成果や記録を伸ばしたいなどは、情緒消費とは少し性質が異なります。
感情は伴いますが、主目的ではないためです。
でも、その経験が心の満足につながることもあるかもしれませんので、一概に分けられない面もあるかもしれませんが・・・
〇推し活も、代表的な情緒消費のひとつ
情緒消費全体の公式統計はありませんが、推し活は今や代表的な情緒消費の一つです。
ある民間の調査では、日本の推し活市場は、約3.5兆円から3.9兆円と推計(1人当たり年間約25万円を消費するとして)されていて、性別や世代を問わず大変な広がりを見せています。驚くことに、国民の15歳から69歳の男女を対象にした調査では、何と約3人に1人が「推しがいる」と回答しています。
「推し活のために、つらい仕事も続けられる」というように、推しの存在は、日常に楽しみを与え、前向きな気持ちを生み出してくれる大切な存在です。何かに夢中になり、誰かを想い、応援する時間そのものが、心のエネルギーになっているのです。
2010年代後半に広がりを見せた推し活は、最近では、政府・日銀の調査でも取り上げられるほどで、お米の価格の高騰や物価高の中でも推し活消費は例外です。ついつい財布の紐もゆるくなりがちです。
世界的に見ても、コンテンツ産業は驚くほどの成長を遂げ、今では、至るところで人気アニメやキャラクターとのコラボ商品、コラボ企画がめじろおしの状態です。
ではここで、もう少し詳しく「推し活」について、普及した背景やなりたちについて紹介してみたいと思います。
それは、国民生活センター発行の冊子「国民生活」で、“「推し活」を知る “という特集が組まれており、その記事では、日本で〇〇活という言葉が出てきた背景や流れが詳細に記載されていました。
推しとは「ほかの人にすすめること。また俗に、人にすすめたいほど気に入っている人や物」のことです。
1995年に産経新聞で「就活」という言葉が使われ、2000年版の「現代用語の基礎知識」に採用されると、2010年版には「婚活」、2011年版には「朝活」が収録されるなど〇〇活と言う言葉が世の中に定着していきました。
そして、2012年にはアニメ「アイカツ!」が始まり、アイドルとオタクの親和性から、その活動を「オタ活」として広く使用されることとなり、その後、そのような系譜から、推しをさまざまなかたちで応援する「推し活」が浸透、2021年のユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされるまでになったということです。
おもしろいですねぇ。
推し活と聞くとアイドルや芸能人を思い浮かべがちですが、推し活は非常に幅が広く、その対象は実にさまざまです。
アニメやキャラクター、好きなブランドや作家さんの作品、動物(ペット)、鉄道、お城、地域のお宝、地元のお店など、「応援したい」「好きでいたい」という気持ちがあれば、それは立派な推し活です。
でも注意が必要です。
このように、推し活人気は高まる一方ですが、あまりに依存性が高くなり過ぎると、自身の経済力と見合わない推し活をしてしまったり、昨今言われるような「推し疲れ」の状態になって、情緒消費の意図とはまったく異なり、本末転倒とならないようにしたいものですね。
〇心の回復力(レジリエンス)が高まる「情緒消費」
情緒消費は、年齢を重ねていくほど価値があります。
心を満たす消費は、QOL(生活の質)を大きく左右します。
懐かしい音楽や映画に触れる時間。
人と会話して笑顔になれるひととき。
季節を感じる自然の中での小さな楽しみ。
シニアにとっての情緒消費で大切なのは、刺激よりも笑顔でいられる時間、安心感、つながり、無理のない生活・役割です。
「今日も心地よかった」、というその感覚が、生きる喜びにつながっていきます。
情緒消費は、特別な贅沢をすることではありません。
「今日はどんな気持ちで過ごしたいか」と自分に問いかけることから始まります。大切なのは、「そのとき自分がどう感じたいか」を意識すること。
頑張るための消費ではなく、自分を労わるための消費。
嬉しい、癒やされる、ときめく、安心する——
その小さな積み重ねが、心の余裕を生み、暮らし全体の質を高めてくれます。
〇二月という「心の棚卸し」の季節
年齢に関係なく、年度替わりは「心が動く瞬間」です。
情緒消費を意識すると、「なぜ今、これを選びたいのだろう?」と立ち止まり、今の自分に気づく自分探しをすることができます。
二月は、心の声にそっと耳を傾け、感情を見つめ直す「心の棚卸し」にぴったりの季節です。
普段から忙しくされているあなたの日常にも、“ 心がふっと緩む選択 ” を取り入れてみませんか。
情緒消費を通して、今の自分を大切にしようという気持ちや、次のステップに向かっての、新たな気づきが生まれるかもしれません。
四月からの新たな一歩を前に、心を整え、今の自分を知るという意味でも、情緒消費が次への挑戦につながるきっかけとなれば幸いです。(ふ)


