ブランドランキング
さて、今回の話題は、最新のブランドランキングのお話しです。
株式会社日経BPコンサルティングが、今年で26年目を迎えるブランド価値評価プロジェクト「ブランド・ジャパン 2026」の結果をまとめました。
この調査は昨年11月に実施され、日本最大級のブランド価値評価調査で、人々の頭の中にあるブランドイメージを数値化し、可視化することを目的としています。
財務諸表(企業の財政状態や経営成績、現金の流れを利害関係者に報告するための書類)などは加味せず、アンケート調査に基づいて評価しています。
調査回答者数は5万8000人(一般生活者編、ビジネスパーソン編合計)です。
また、調査対象についてはのべ1,500の企業、商品・サービスブランドで、53業種にわたって、国内ブランドの「今」を俯瞰できるものとなっています。
評価基準としての「総合力」算出には、「先見力」「人材力」「信用力」「親和力」「活力」の5指標と5つの「企業評価項目」を採用しています。
では、具体的な調査結果を順位ごとに見て行きましょう。
一般生活者編「総合力」ランキングでは、サントリーが87.4ptのスコアを得て、前回の第25位から24ランクアップし、堂々の首位を獲得しました。
サントリーはブランド力を構成する要素の中で、イノベーティブ(革新性)とコンビニエント(利便性)への評価が急上昇しています。
1000ブランド中、コンビニエントランキングでは第7位(前回91位)、イノベーティブランキングでは第20位(前回82位)と急上昇となりました。
これらに加えて、フレンドリー(親和性)ランキングでも第1位(前回21位)と評価が高まったことが首位獲得につながりました。
サントリーは、2025年大阪・関西万博において、ダイキン工業と共同出展した「ウォータープラザ」や、水上のスペクタクルショーなどが話題となり、企業メッセージである「水と生きる」を体現したエンターテインメントとして高く評価されました。
また、「ザ・プレミアム・モルツ」のCMシリーズが幅広い層に支持されたことに加え、「サントリー生ビール」の定番化や金麦がビールに格上げされたニュースが出るなど、多様化する家飲み需要に迅速に対応したことで、日々の生活における利便性への評価が飛躍的に向上しました。
さらに、製造工程における「脱炭素」への挑戦として、「グリーン水素」製造設備の導入計画を発表するなど、環境配慮と技術革新を両立させる姿勢も評価を支える一因となったと言えるでしょう。
このように強力なコンテンツと日常に寄り添う商品展開が奏功し、全ブランドの中で最も親しみのあるブランドへと躍進しました。
続いて、2位以下のランキングでトップ5に入った、YouTube、ダイソー、パナソニック、無印良品について紹介しましょう。
第2位(87.3pt、前回首位)は、オンライン動画共有プラットフォーム(基盤)の雄として君臨しているYouTubeです。
AI技術の統合や購買体験の拡張により「イノベーティブ」は高水準を維持しています。
動画生成AIモデル「Veo」の統合や「YouTubeショッピング」の本格的な普及が進み、プラットフォームとしての機能を進化させた点が評価されました。
また、サービス開始20周年を迎え、生活空間に溶け込むことで「フレンドリー」の評価も高めています。
第3位(86.5pt)は、読者の皆さんも利用されていると思しき100円ショップで有名なダイソーです。
何と言っても長引く物価高の中で、生活者の家計防衛意識に寄り添う施策が評価されたといえるでしょう。
若年層が財布代わりに使う百均ポーチをはじめとした「透明グッズ」や、公式アプリへの「在庫検索機能」追加など、企業努力とデジタル活用による顧客体験の改善が進んで、順位を第3位へと順位を上げました。
第4位(85.9pt)は、パナソニックです。
特筆すべきは「コンビニエント」で全ブランド中1位を獲得した点が挙げられるでしょう。
昔からの家電メーカーで有名なパナソニックですが、スピード乾燥機能を搭載したドラム式洗濯乾燥機や自動調理鍋など、家事負担を減らす「タイパ家電」のヒットが支持されました。
また、大阪・関西万博におけるパビリオン展開など、未来志向の発信がブランド全体の信頼感を醸成し、大きく順位を上げました。
第5位(84.9pt)は、無印良品です。
独自の滞在型宿泊施設「MUJI BASE」の拡大など、顧客への体験価値を提供することで「アウトスタンディング(卓越性)」を高めました。
価格改定の影響はあったものの、サステナビリティ(持続可能性)と社会課題解決への姿勢が共感を呼んで、総合力は高水準を維持しています。
6位以下は次のとおりとなっています。
6位は、UNIQLO(ユニクロ)で83.3ptです。
7位は、McDonald’s(マクドナルド)で83.2ptです。
8位は、AEON(イオン)で82.3ptです。
9位は、Google(グーグル)で81.6ptです。
10位は、SONY(ソニー)で81.2ptです。
「総合力」の前回との差上昇ランキングの上位をみると、チキンラーメンが15.8pt上昇し首位となりました。
湖池屋とコラボした「0秒チキンラーメン」の展開や、モスバーガーとの協同企画で話題を集めた活動などが「アウトスタンディング(ずばぬけた、傑出したという意味)」指標で高く評価されました。
また、スーパーマーケット等を運営するロピアは、12.4pt上昇しました。
大容量で高品質な精肉や惣菜や独自の売り場づくりで「エンターテインメント性のある節約」ができる店として「イノベーティブ」指標、「アウトスタンディング」指標で高く評価されました。
なお、今回から新たに取得しているサステナブル活動評価7項目の一般生活者編での首位は、「取り組み認知」・「情報開示の姿勢評価」でサントリー、「取り組みへの共感」・「取り組み応援」でユニクロ、「良いインパクトへの期待」でトヨタ自動車などがそれぞれ首位となりました。
一般生活者編でのランキング2位に入っているYouTubeですが、2006年にはGoogleの傘下に入っていますので当然企業名ではありませんが、ひとつのブランドとしてはユーザーに対してはとても強いインパクトと実力を兼ね備えていると言えるでしょうね。
かく言う9位に入っているGoogleも、Alphabet (アルファベット)の傘下にあります。
親会社としての立場にあるAlphabet より格段に有名な現状を見ると、ビジネス(企業)とブランドとの使い分けを象徴するものと言えますね。
皆さんももう気づかれていると思いますが、6位のユニクロもブランドとして、親会社であるファーストリテーリングの名前を遙かに凌駕していると感じてしまいます。
一方、ビジネス・パーソン編の「総合力」ランキングでは、トヨタ自動車がなんと19度目の首位(前回首位)、ソニーが第2位(同第4位)、ソフトバンクが第3位(同第44位)となりました。
続いて、任天堂が第4位(同第3位)、JR東日本が第5位(同第51位)を獲得しました。
また、ソフトバンク、JR東日本、日清食品、パナソニック、日本マクドナルドの5ブランドが、新たにトップ10入りを果たしました。
今回のランキングでは、一般生活者編のTOP10は、「飲食・食品飲料」から2ブランド、「流通・小売・アパレル」から4ブランド、「IT・Webサービス・プラットフォーム」から2ブランド、「電機・総合エンターテインメント」から2ブランドとなりました。
長らく続く物価高と大阪・関西万博という対照的な社会背景が今回のブランド評価に大いに影響したのではないかと分析されます。
消費者は日々の生活において、コスパに繋がる「家計を助けるお得さ」やタイパに繋がる「時間を生みだす利便性」を厳しく見極めています。
一方では、万博の展示物や新技術の公開を通じて「夢のある未来」を提示した企業が、近未来への期待感を醸成して、総合的なブランド力を飛躍させる結果に結びついたようです。
これらの結果と、その後の分析を見ると、その時点の物価高などの社会背景を原因とすることがランキングへの影響を及ぼしたことが否めません。
しかしながら、サントリーの首位奪取の分析を見てみると、イノベーティブ(革新性)とコンビニエント(利便性)の評価が急上昇していることで、私たちのQOLの向上に繋がるブランド力がランキング評価を上げているのではと考えられるのではないでしょうか。
そしてフレンドリー(親和性)ランキング1位を見れば、やはり現代人にとって如何に人とのコミュニケーションが重要であるかを感じ取っているのかが理解できたように思います。
企業のブランド力を高めていくことで大切なことは、人が求めるQOLの向上と同じベクトルを持つことではないでしょうか。
これからも、サントリーのような社会が求めるブランドが、数多く醸成されることに期待したいものです。(ま)


