パソコンと私が歩んだ道

こんにちは。ウクレレ講演家・盲目のセラピスト、亀ちゃんです。
今回は「パソコンと私」というお話をしたいと思います。
もともとパソコンはよく使っていたのですが、盲人となったとき、私はパソコンを手放しました。盲学校に通うようになり、ノートが取れない私は、すべての授業をカセットテープに録音する方法しかありませんでした。しかし、家に帰ってからそれを聞き返す際、何らかの方法でノートを作る必要があったので、再びパソコンを使うことにしました。

当時、私は漢字入力ができなかったため、すべて「ひらがな」で書きました。
例えば、心臓の勉強では「しんぞうのなかは、うしんぼう、うしんしつ、さしんぼう、さしんしつの4つのへやにわけられています」といった感じです。読みづらいかもしれませんが、私にとっては音が聞こえれば十分でした。

2006年に管理人さんにホームページを作ってもらい、週に一度のブログを書き始めました。(現在のホームページとは異なります)最初は漢字が入力できなかったので、毎回妻に入力を頼んでいました。数か月後、自分で入力に挑戦したのですが、慣れていないため「A4サイズ」1ページの入力に5時間ほどかかっていました。それでも毎週続けていると徐々に速くなり、6年後には5時間が20分ほどになりました。

その頃には、インターネットやメールに加え、スケジュール管理や10年日記を書くためにパソコンを活用するようになり、なくてはならない存在となっていました。
2018年に「幸せの入り口屋 いらっしゃいませ」の本を書いたときも、入力に慣れていたことがとても役立ちました。

「どうやって入力をしてるの?」と尋ねられることがよくあるので、ここで少し私たち盲人が使っているパソコンについて説明します。パソコン自体は普通のノートパソコンですが、中に音声ソフトを入れています。文字を入力すると、その文字を音声で読み上げてくれます。例えば「山」と入力したい時、「全角ひらがなローマ字変換モード」で「y」のキーを押すと「ワイ」と読み上げ、続けて「a」のキーを押すと「や」と読み上げます。同じように「m」と「a」で「ま」と読み上げ、「yama」と入力後にスペースキーで漢字変換をすると「山脈のさん やま」と読み上げてくれ、漢字の「山」を確定させることができます。

そんなパソコンに慣れてきたある朝、昨夜まで機嫌よく使えていたパソコンが、突然立ち上がらなくなりました。何を試してもダメで、最後にUSBにバックアップを取ったのが半年前だったため、その後の半年間のデータがすべて消えてしまいました。

非常に落ち込みましたが、仕方がないので、今回の出来事について真剣に考えました。
そして出た答えの、「バックアップを取っていなかった私のミス」は当然ですが、さらに考えると、パソコンでも、時計でも、携帯でも、車でも、冷蔵庫でも、いつ壊れてもおかしくないということでした。もっと言えば、私の命や生活も明日のことは分からないので、「毎日を大切に生きなさい」ということを教えられたように感じました。

これまで数多くのことを教えてくれた相棒のパソコンが、最後に「突然壊れることでしか教えられないこと」を身をもって教えてくれたように思います。あの余裕のない中で盲学校の勉強を一緒に頑張り、一緒に成長してきたパソコンに、「ご苦労様でした」と最大の感謝を伝えました。

あの日以来、私は常にバックアップを意識するようになりました。
昔読んだ「マーフィーの法則」に確か「明日バックアップを取ろうと思ったその夜に、パソコンはクラッシュする」というような言葉がありましたね。 にこっ! 幸せの入口屋 亀ちゃん