あるアンケート調査で思うこと
さて、今回の話題は、あるアンケート調査についての話です。
「モテナス日本」が外国人500人にアンケート調査をしました。
その名も「日本への旅行時の体験についてのアンケート」です。
最近、日本の過去から現在に至るまでの文化に触れたい外国人が、世界各国からインバウンドと称して日本に押しかけて来ています。
そうした中、2023年11月24日〜11月26日の期間で、外国人約500人に日本で体験してみたい伝統文化についてのアンケートが実施されました。
答えていただいたアンケートでは、外国人はどんな伝統文化に興味を持っているのかがよくわかる結果となりました。
これから順位を発表していきますが、果たして読者の皆さんの考えた伝統文化は、何位にランクインされたでしょうか。
発表の前に、是非自分なりに考えてみてください。
日本人でもあまり良く理解していなかったり、そもそも知識先行で見たことも、したこともない未経験の伝統文化もあると思います。
この機会にその歴史や内容について学んでみては如何でしょうか。
日本の真髄を感じられるかも知れませんよ!
では、ランキングの発表です。
1位 歌舞伎
日本で体験したい伝統文化の第1位は歌舞伎です。
16%の外国人が「歌舞伎」と回答しており、その人気ぶりがよくわかる結果となりました。
歌舞伎は、慶長8年(1603年)に出雲阿国(いずものおくに)が始めた「かぶき踊り」がルーツとされており、その歴史は400年にも及ぶものになっています。
奇妙な身なりや行動をするという意味の「かぶく」が語源で、既存の身なりや風習に左右されず、流行を取り入れ、人々を楽しませる演技や踊りが歌舞伎とされています。
このような歴史的背景も、外国人が興味深く感じる理由の一つです。
2位 侍・殺陣(たて)
外国人が日本で体験したい伝統文化の2位は「侍・殺陣」です。
15.7%もの人が選択していますが、日本人としては正直ピンとこないというのが感想ではないでしょうか。
甲冑に身を包み、主君や自身を守るために剣術を極めていく姿は外国人にはとても魅力的に映るものです。
映画「ラストサムライ」や「キルビル」、「七人の侍」での殺陣・演舞は、日本人が見ても迫力があるもので、映画やアニメを通じて侍のかっこよさを感じた外国人が多かったと推察できます。
映画村や、居合教室などでは外国人を対象とした体験コースを用意しているので、訪日外国人でも気軽に、侍や殺陣を体験できます。
3位 忍者
忍者について日本人の我々はどれぐらい知っているでしょうか?
私が知っているのは、服部半蔵、百地三太夫や、伊賀、甲賀、風魔、軒猿の地域の忍者集団、くノ一程度ですが、皆さんは如何でしょうか。
忍者は黒装束に身を包み、闇と共に生きるミステリアスな雰囲気を持っており、それが外国人から人気を集める理由の一つです。
室町から江戸時代にかけて実在した忍者を体験したいと考える外国人は多いようで、侍と同様に、映画やアニメの影響で広まったと考えられます。
三重県伊賀市には「伊賀流忍者博物館」があり、展示物以外にも体験を楽しめる博物館があるので、外国人に紹介すると喜ばれるでしょう。
4位 茶道
第4位は「茶道」で、13.2%もの外国人が茶道を体験したいと回答しています。
着物を着てお茶を立てる姿は、日本人のイメージそのものなのでしょうね。
安土桃山時代に活躍した千利休が今の茶道の原型を作り、現在では独自の流派に分かれていますが、お客様を大切にもてなすという原則は変わらず、茶道はその精神を養うものです。
約1時間程度で茶道体験できる教室もあるので、外国人のおもてなしに活用してみてはいかがでしょうか。
5位 芸者・舞妓
外国人が体験したい伝統文化の5位は「芸者・舞妓」です。
芸者・舞妓は見た目だけでも美しく、フォトジェニックなため、観光客にも大変人気があります。
その歴史は江戸時代にまで遡ります。
吉原で色を売る遊女と、芸を売る芸者で棲み分けされており、最盛期は昭和の初期ごろだったとされています。
芸者さんの舞いを見るということは、すなわち「日本舞踊」を鑑賞することです。
また、唄や太鼓、三味線、琴もできるオールラウンダーな芸者さんが多いので、芸者や舞妓さんを鑑賞すれば、初めて訪日した外国人でも日本文化を十分に満喫できるはずです。
6位 書道
6位の「書道」は、6世紀〜7世紀の古墳時代、飛鳥時代に日本に渡来してきたとされています。
仏教が日本に伝わり、写経を始めたことからその歴史が始まります。
それから歴史を刻み、今では高校生たちが歌に合わせて書道パフォーマンスを披露して人気がさらに広まりました。
振袖を着て壁一面の和紙に筆で文字を書き、三味線の音色に合わせて文字が広がる様子は、外国人だけでなく日本人をも魅了してくれます。
7位 工芸
第7位の「工芸」は、幅広い日本のモノづくりのことを指します。
たとえば、布を染める藍染めや、陶磁器の破損部分を漆を用いて修繕する技法である金継ぎなどは日本ならではの伝統工芸といえます。
そのほか人気なのは陶芸や、こけしの絵付けなどがあります。
物を大切にする文化が根付く日本ならではの文化は外国人にも人気があり、その風習自体が興味深いものなのです。
8位 和太鼓
ダイナミックで迫力のある和太鼓も、外国人から人気のある伝統文化の一つです。
全身の力をつかってリズムを刻む和太鼓は、1人〜複数人で楽しめるのが特徴です。
見ているだけでもその迫力に圧倒されますし、バチを使って太鼓を叩くと心身ともにリフレッシュできるものです。
イベントや和太鼓教室で体験コースを予約すれば体験できます。
家族全員で一緒に和太鼓を叩けば、訪日外国人の良い思い出になるでしょうね。
9位 料理
日本食は繊細で見た目にも美しいことから、外国人からも人気を集めています。
懐石料理や和菓子などは食べても美味しく、ひとつの芸術作品を見ているような感覚におちるでしょう。
食べるだけなら和食店に行けば十分に体験できますが、外国人が訪日の際に体験したい場合は、和食教室の体験コースの活用がおすすめです。
作り方やその料理の成り立ちも勉強でき、日本文化を探訪することができるでしょう。
10位 華道
華道も日本に来たら体験したい伝統文化の一つです。
日本ならではのわびさびが表現され、海外のフラワーアレンジメントとは異なる雰囲気を醸し出しています。
着物で花をいけていく姿は美しく、出来上がったものは、和の空間を彩る作品として眺めることもできます。
その心得を学びながら、講師と共に作り上げた作品は一生の思い出に残るでしょう。
ここまで、1位から10位までの紹介と解説をしました。
これら外国人のアンケート結果に対して、果たして私たち日本人はどれだけ期待をを裏切らないよう、十分に対応できるでしょうか。
今では団体ツアーでの観光では物足らないと、日本へのリピーターも増加してきています。
日本をもっとより深く知りたいということから、個人で行きたいところ、経験したいことのプランを引っ提げて来日するケースが多々見られます。
また、日本の芸術文化の真髄を知りたい、もっと奥まで触れてみたいと長期に渡ってストイックなまでに学ぼうという姿勢で過ごす外国人もいます。
外国人にとっては、常におもてなしの心を持ち、他人を慮ることをごく普通に行える日本人をリスペクトしつつも、自分も日本人のようになりたいと芸術文化を切り口としてスキルアップを目指しているようにも感じ取れます。
私はこのアンケート結果を見て、今一度日本と外国との違いを考え、そこから日本の良さを再発見出来るよう自分なりに努力してみようと思いました。
そして、日本のみならず、諸外国にある良さを見つけることも併せてやってみようと考えています。
手段は幾つもありますが、「百聞は一見にしかず」ということで、国内旅行と海外旅行サイトの検索から始めようと思います。
あちこち旅行へ行って、旅先でたくさんの気づきを獲得することで、QOLの向上に繋げられれば良いなあと算段し始めています。(ま)