「子供・若者白書」が公表されました

さて、今週の話題は2022年版「子供・若者白書」のお話しです。

内閣府は2022年6月14日、2022年(令和4年)版「子供・若者白書」を公表しました。
この白書は、子ども・若者育成支援に関する施策の動向や、困難を有する子ども・若者やその家族の支援等について、政府の取組みや民間・自治体等の事例がまとめてられていて、巻末の子供・若者インデックスボードでは児童虐待やヤングケアラー等、子ども・若者を取り巻く環境の実態が見えてきます。

「子供・若者白書」は、子ども・若者育成支援推進法に基づく年次報告書として2010年から作成されているもので、政府は毎年国会に提出・公表しなければなりません。
内閣府のWebサイトでは、「子供・若者白書」の概要版と全体版をPDF形式で掲載されています。
2022年版では、第1章「子供・若者育成支援に関する政策動向」で全体的な政策動向を整理するとともに、第2章以降は「困難を有する子供・若者やその家族の支援(第3章)」「創造的な未来を切り拓く子供・若者の応援(第4章)」等、子どもや若者を取り巻く環境や変化する環境の中で、支援すべき課題を取り上げまとめています。
各章ごとに、コラムでは民間・自治体等の事例を、トピックスでは政府の取組みを掲載していて、政府や自治体等が講じた施策の実施状況を知ることができます。

第1章の特集では、「こども政策の新たな展開」と題し、2021年度の子供・若者政策の大きな展開となった「こども家庭庁」創設に向けた概観を紹介しています。
有識者会議報告書や推進体制に関する基本方針等の概要含め、2023年度の「こども家庭庁」創設に向けた全体の動きをまとめています。
また、トピックスとして、コロナ禍における子ども・若者に対する政府のおもな対応を掲載しています。
更にコロナ禍において政府がとった対応のうち、子ども・若者を対象とするおもなものについて、分野ごとに概要を整理しています。
白書の巻末には、子ども・若者の生育状況等に関する各種指標を整理し可視化したデータ集「子供・若者インデックスボード」を掲載しています。
子ども・若者の現状を、主観、客観の両面から明らかにするため、「I.子供・若者の意識」「II.子供・若者および子供・若者を取り巻く状況」の2部で構成されています。

直近のデータが反映されている指標を取り上げると、「II.子供・若者および子供・若者を取り巻く状況」の家庭での状況について、児童相談所における児童虐待相談対応件数は約20.5万件で過去最多(2020年度)となっています。
警察が検挙した児童虐待事件の検挙件数も2,174件で過去最多(2021年度)となり、共に5年前のデータのおよそ2倍に増加しています。
社会的弱者である子ども達に対する虐待は、コロナ禍で大人との接する機会の増加が児童虐待の増加に色濃く反映されていると言えます。

最近ようやくその存在が社会的課題として認知されるようになった「ヤングケアラー(本来大人が担うと想定される家事や家族の世話等を日常的に行っていることにより、子ども自身がやりたいことができない等、子ども自身の権利が守られていないと思われる子ども)」については、通信制高校生がもっとも多く7.2%、ついで、定時制高校2年生相当4.6%、大学3年生2.9%、全日制高校2年生で2.3%、中学2年生で1.8%です(2020・2021年度)。

その他、学校における児童生徒の自殺件数(2021年)やいじめの重大事態の件数(2020年度)も増加しています。
パソコンや携帯電話等での誹謗・中傷被害件数等は約1.9万件で過去最多(2020年度)となっています。
不登校児童生徒数は、高校では減少傾向にあるものの、小・中学校においては約19.6万人と過去最多に(2020年度)なっています。
学校内での暴力についても、中学・高校で減少傾向にある中、小学校のみ2015年度の約1.7万件から2020年度には約4.1万件と大きく増加していて、子どもが抱える問題の低学年化が顕著に現れていると言えます。

2022年版「子供・若者白書」をみると、児童虐待やヤングケアラーの実態をもっともっと社会へ訴え、周知を図る必要があります。
また、当事者や周辺の人たちのリテラシー向上へ向けてQOLジャパンの活動をより一層活発にしていく所存です。