「人生会議(ACP)」って何?

さて、今回の話題は、「人生会議」についてのお話です。

先月、加盟している「健活おおさか推進府民会議」から、毎月配信されるメールマガジンの項目の一つに、「(人生会議)という言葉をご存じですか」、という案内があり驚きました。
健活おおさか推進府民会議とは、健康寿命の延伸や健康格差を改善するため、大阪府が健康づくりを推進するために設立したもので、当法人もこの会議に加わっています。
そこで、なるほど、健康づくりの活動には、「人生会議」も関係するんだ!と驚いたわけです。

私たちの活動は、QOL向上についての取組みを行っているため、周りには、日頃からお世話になっている医療・介護関係の方々が多くいらっしゃいます。
ですので以前より、「人生会議」普及のための啓発イベントに参加する機会が幾度かあり、今を、自分らしく「より良く生きる」ためにも、その取組みの大切さを実感していたところでした。

そこで今回は、この人生会議についてふれてみたいと思います。
※「老いや死」の話題は通常、縁起が悪いと忌み嫌われる方もありますので、ここから先は、「心の準備」が整っている方が対象ですので、ご理解よろしくお願いします。

よろしいでしょうか。ではまず最初に、主管先の厚生労働省の公式ホームページにある、「自分らしく生きるための「人生会議」ポータルサイト」からその意味を参照してみましょう。

「人生会議(ACP)」って?
「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)」とは、あなたが大切にしたいこと、望んでいる生き方、そして「もしものとき」にどのような医療やケアを望むかについて、前もって考え、話し合っておくことです。
ご家族や大切な人たち、そして医療・ケアチームと話し合っておくことは、ご自身の思いや選択が尊重され、本人が希望する医療・ケアの実施につながります。
これは、ご自身の「これから」をより良く生きるために、とても大切なプロセス(話し合い)と言えます。

しかしながら、厚生労働省がまとめた報告書によると、人生の最終段階における医療・療養について、家族等や医療介護関係者と話し合ったことがある人の割合は、平成25年からほとんど変わっていません。そこでACPの愛称を「人生会議」に決定するとともに、毎年11月30日(いい看取り・看取られ)、「人生会議の日」とし、人生の最終段階における医療・ケアについて考える日としました。
ではここで、その令和4年度の調査結果を少しご紹介いたしましょう。

「人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査」で分かったこと
まず一番に「人生会議について」、よく知っていた方は一般国民の 5.9%。聞いたことはあるがよく知らない方が 21.5%、知らないと答えた方が 72.1%、無回答0.6%という調査結果でした。
そして、人生会議を進めることについては、57.3%の方々が賛成であると回答されており、反対であるは 0.7%、わからないが 41.1%、無回答 0.8%、という結果でした。
また、人生の最終段階における医療・ケアに関する希望について、これまでに考えたことがある方は 51.9%、ない方は 47.5%、無回答が 0.6%でした。
ただ、ご家族等や医療・介護従事者と詳しく話し合っているか、については、詳しく話し合っているが 1.5%、一応話し合っているが 28.4%、話し合ったことはない方が 68.6%、無回答 1.5%となっています。

あなたが病気で治る見込みがなく、およそ1年以内に徐々に、あるいは急に死に至ると考えたとき、最期をどこで迎えたいですか、という問に対しては、自宅と回答した方が 43.8%、医療機関と回答した方が 41.6%、介護施設と回答した方が 10%、無回答が 4.6%でした。ただ、同じ質問を医師・看護師・介護支援専門員にした回答結果では、いづれも自宅と回答した方が最も多く6割近くとなっており、医療機関と回答した方が約3割、介護施設は1割前後とのことです。

最後に、希望する治療方針については、口から十分な栄養がとれなくなった場合、呼吸ができにくくなった場合、心臓や呼吸が止まった場合などの延命については、望まないと回答した方が最も多くなっていますが、これは、実際にそのような状況になった場合、ご家族の方が本人に代わってそのように意思表示することは難しいことが予想されます。

いかがでしたか? 実際にこのような意識調査が行われていたんですね。
ご自身でしたら、どのようにお答えされるでしょうか。
おそらく、直ぐには判断がつかないことや、答えにくいこともあるかと思います。
わたしも、この「人生会議」について学んだ後、自分にとって大切にしたいことって何だろう?、と思いあぐねてしまった経験があります。

自分にとって大切にしたいことって何?
そんな時でした。元ケアマネジャーをされていた直美キンドルさんとのご縁から、「ハッピーエンド」という映画を鑑賞することとなりました。
この映画は、自分らしく生きる!を標ぼうされているオオタヴィン監督の最新作で、亡くなられた樹木希林さんも出演されている文部科学省選定のドキュメンタリー映画です。
内容は、在宅緩和ケア医の萬田緑平さんの日常に密着した映画で、「楽しい老い」とは?「穏やかな終末」とは?といった、誰にもいつかは訪れる終末期の医療・課題を共に考えさせられる「地域医療の希望」を描いた、評判どおりの、笑いあり涙ありのあったか~い映画でした。

終末期医療(ターミナルケア)は、病気の進行などにより、回復の見込みがない余命が限られた方の QOL(生活の質)を保つための医療やケアですが、映画鑑賞した方々の反応を伺うと、なるほど、在宅で緩和ケアを受けながら、こういう穏やかな最期が迎えられるのも良いなぁ、と思った方が大勢いらっしゃったようでした。
残念ながら、ピンピンコロリを希望していても、なかなかそうはなれないようです。

実は、この映画を紹介してくださった直美キンドルさんは、Kindle作家でもあり、著書『老後の不安はお金だけ? 死ぬまでに読みたい終末期医療の話(医療監修:緩和ケア医 細井崇弘医師)』という本を執筆されています。
「終末期の約70%が自分で意思表示ができない」。このことを教えていただいたのもこの本からでした。
この70%という数字は、つまり
・あなたの家族が、突然あなたの医学的で重大な決断を迫られる可能性
・あなた自身が、あなたの家族の医学的で重大な決断を迫られる可能性
この確率の高さを表しています。
ですから、もしものとき、思いを伝えてくれる人は誰か?
大切にしていること、望んでいることを共有しておくことは、将来的に病気の悪化や認知症などが原因で意思表示できなくなった際に、本人の気持ちを考慮して判断をおこなう際に大変役立ちます。

医療監修をされた緩和ケア医の細井崇弘医師(ドクターたろ先生)は、これまで、厚生労働省の委託事業である「本人の意向を尊重した意思決定のための研修会」の指導者でもいらっしゃいます。
ここでは全てを紹介しきれませんが、この直美キンドルさんの本には他にも「もしもの時の話し合い」のはじめかたについても、本当に詳しく多くの体験談が記載されているので大変参考になります。

終末期医療の価値観の考え方
人生最期の医療やケアに関して、考えるべきこと。人生の最期の医療はとても複雑です。
ご自身の大切にしたい価値観をどうやって考えるか?
とても難しそうですが、どのようなことがあるか、分かりやすいように、こちらの本で紹介されていた「日本人が人生の最期に大切にしたいと思うこと、多くの方が共通して望む基本的な考え方 10選」、そして、「人によって差が出る 8つの考え方」を、まとめてここに紹介しておきたいと思います。
長文になってすみません。

〇多くの方が共通して望む基本的な考え方 10選
1.身体や心のつらさが和らげられていること
2.望んだ場所で過ごすこと
3.希望や楽しみを持って過ごすこと
4.医師や看護師を信頼できること
5.家族や他人の負担にならないこと
6.家族や友人と良い関係で過ごせること
7.自分のことを自分でできること
8.落ち着いた環境で過ごせること
9.人として大切にされること
10.人生を全うしたと感じられること

〇人によって差が出る 8つの考え方
1.できるだけの治療を受けること
2.自然な形で過ごせること
3.伝えたいことを伝えておけること
4.先々のことを自分で決められること
5.病気や死を意識せずに過ごせること
6.他人に弱った姿を見せないこと
7.生きていることに価値を感じられること
8.信仰に支えられていること

以上です。共感される考え方はございましたでしょうか。
ぜひ、ご自身にとっての優先順位をつけてみてはいかがでしょうか。

実際に考えたくはありませんが、残念ながら、人間は誰しもいつかは最期を迎えます。しかし、希望通りの最期を迎えることは実は難しい、ということも教わりました。
希望や思いは、時間の経過や健康状態によって変化していくものであり、一度で決まるものではありません。何度も繰り返して考え、話し合うと良いようです。
そのためにも人生会議は大切です。
また、かかりつけ医・主治医、看護師、地域包括支援センター、介護サービスの各事業者・ケアマネジャー、ヘルパーさん、場合によっては弁護士さんなど、各種専門家の方の助言も大変役立ちます。

今回のブログを終えるに当たって、書籍の中の言葉で、最も納得した言葉を記して終わりたいと思います。

相談されると人はうれしいより
専門家は、相談してくれた人の力になりたい!そう考えて、全力で答えてくれる人がほとんど。
ただ一つ、落とし穴があるとすれば、
「専門家は豊富な知識と妥当な選択肢を教えてはくれますが、あなたの価値観、あなたの判断はあなただけのものなので、つまり「答え」は実はあなたの中にあるのです」
「あなたはあなたの専門家なのだから」という言葉です。

人生の最期について考えることはつらい側面もありますが、そればかりではありません。限られた時間を自覚することで、
「今日を力いっぱい生きよう」
「自分らしく今を充実させて生きよう」
そんな前向きな気持ちにもつながります。
人生会議を通して、QOLとともに、この機会にぜひ QOD(Quolity of Death)についても考えてみませんか?(ふ)