「スペパ」って何?

読者の皆さんは「スペパ」という言葉をご存知でしょうか。
「コスパ(コストパフォーマンス)」や「タイパ(タイムパフォーマンス)」は、メディアでも取り上げられたり、テレビの番組コメンテーターがやり取りの会話の中で普通に使っていたりして、既に市民権を得た形になっていますが、「スペパ(スペースパフォーマンス)」に関してはこれから認知が広がっていく状況にあると言えます。
「スペパ(スペースパフォーマンス)」とは、空間対効果、空間の利用効率を良くする暮らし方・過ごし方のことです。
近年、この「スペパ」を意識して、自宅の限られたスペースを使って利便性・効率性を上げるための物の配置や生活スタイルを実践する方が増えています。
昔から人々が色々工夫をしながら効率よくQOL(生活の質)を向上させてきたことは否めませんが、SNSなどの情報社会の発達で現代人は良いものはドンドンと他の人々に発信していくといった良質の価値観共有が進んできました。
その中で昨今立ち位置を確立したのが「スペパ」だと言えます。
スペースを十分にゆとりをもって過ごすために余分なものを持たないようにしたり、1台で複数の機能を持つ家具・家電を選ぶことで部屋をスッキリさせたりすることも「スペパ」を意識した生活の一つです。
自宅内での動線が良くなって時間効率が良くなったり、持ち物を必要最小限の荷物に限るようにすることで無駄な出費が減ったりと、長い目で見ると「タイパ」や「コスパ」にも大きく影響するのが「スペパ」です。

「スペパ」の全国の認知度は、ある調査によると3割弱(27.0%)ですが、関東圏だけの調査ですが、住環境タイプ別(戸建・マンション・アパート等)に見ていくと、戸建てと単身向けマンションでの実施率が約8割(各80.0%)ととても高い比率を示しました。
やはり、居住スペースが限られる都市部において「スペパ」への認知度や関心が高いことが分かります。

今注目の「スペパ」を実践するにあたってのきっかけを具体的に探っていくと、「テレワークにより自宅環境を整えるため」というのがかなり重要なファクターだと分かってきました。
コロナ禍において急速に浸透したテレワークを実践していくことで、自宅内に仕事用のスペースを設けなければいけない方が増えました。
自宅の限られたスペースの中で、日常生活もテレワークの業務も快適に行うために、自宅内の「スペパ」を意識して実践した方が多いように見受けられました。
例えば家具店でも、リビングやダイニングテーブルをテレワークのデスクとしても活用できるタイプのものが販売される等、テレワークの「スペパ」を意識した商品は数多く出回って来ています。
コロナ禍が落ち着いた今も働き方の一つのかたちとしてテレワークがなおも続いているケースは多く、今後も引き続き自宅で「スペパ」良く働く方法が注目されそうです。

他のきっかけとしては「値上げラッシュにより買いだめが増えた」と言うことでしょう。
近年、特に今年は色々な原因が複合的に絡み合った結果として、ありとあらゆる生活用品が値上げとなり、食品など賞味期限や消費期限が比較的早く到来するもの以外であれば、安い時に買いだめしておきたいと考える方が多くなりました。
また、地震災害や風水害などの防災用品の観点でもストックを増やしたいという方は多いようです。
普段の生活で収納スペースがストック以外の生活に必要なものだけでいっぱいになり、買いだめストックを十分に収納できるスペースが足りないと感じた方は多いようです。
そこで、スペースの不足を補う方法として収納スペースの収納効率を上げる等「スペパ」を実践した方が多いようでした。

これまでの「スペパ」の説明をご覧になって分かるとおり、空間効率を向上できるアイテムを導入したり、以前から使っていたものより効率的なアイテムへ取り替えたり、自宅の収納スペースを占拠しているものをできるだけ減らし、利用の段取りや動線等を見直すことにより「スペパ」が格段に向上します。
そのため、使用頻度を考慮して自宅にあるものを処分したり、「スペパ」の悪いものを良いものに変える為に手放すことがあります。
「スペパ」を実践する上で手放したものとしては、衣類、家電、家具などが主なものとなります。
年が経つとともに衣類はどうしても増えて行きがちで、いつか着れるかもしれないと思っていた服を保管し続けたり、服が増えて既存の収納スペースにぎゅうぎゅう詰めに保管している場合もあるかもしれません。
そうすると必要な衣服が取り出しにくくなったり、衣替え時のお手入れや収納の負担が大きくなりがちです。
「スペパ」実践にあたり、衣類を必要最小限にするために処分をし、収納をスッキリさせて日々使いやすくする方が多いことが分かりました。

その他家電製品については、加湿器兼空気清浄機・夏の扇風機と冬のヒーターを兼ねる家電等、一台数役の機能を持つ多機能な家電に取り替えることで、置き場所をスッキリさせたり、通年使用でオフシーズンの保管場所が必要なくなり「スペパ」が向上します。
それによって、過去に使っていた家電を処分することが多くあるようです。

このように「スペパ」を実践する上で、さまざまなものを処分する場合があることが分かってきました。
しかし、緊急避難的ですが「スペパ」の実践ため、本当は持っていたいけれど、やむなく処分して収納スペースを確保したいというニーズがあるときや、必要最低限の荷物にしてスリム化してもどうしてもスペースが不足しがちな場合、トランクルームを利用するという方法もあります。
自宅の収納スペースを占めているシーズンオフの衣類や家電、使用頻度の低い荷物等をトランクルームに預けることで、自宅の収納スペースにゆとりが生まれます。
トランクルーム利用も「スペパ」を上げる上で非常に有効な対策です。
一定期間トランクルームを利用している間に自宅において「スペパ」の深耕を図れば、新たな収納スペースを生み出すことに繋げられるかもしれませんね。

それでは、実践しようとお考えの方の背中を押すため、「スペパ」のメリットを3つご紹介するとしましょう。

①空間を有効活用できる
「スぺパ」を重視するメリットは、空間を有効活用できる点です。
複数の機能を有する商品やコンパクトに収納できる商品を活用することで、限られた空間で多くの作業ができるようになります。
つまり、空間のより良い使い方を意識することで、機能性や作業効率の向上につながる居住空間を実現できると言えます。

②コストを削減できる
「スぺパ」を重視することで、コスト削減を図ることができるのもメリットのひとつです。
なぜなら多機能な設備や備品を選択することで、その後の無駄な購入費用や購入の手間を削減できるためです。
「コスパ」や「タイパ」の考え方に通じるものを持ち合わせていると言えますね。
こうしたことから、「スぺパ」は家庭の出費を抑えるだけではなく、ビジネスシーンにおいても費用を削減するのに有効な考え方といえるでしょう。

③生活の質を高められる
生活の質を高められるのも「スぺパ」のメリットです。
「スぺパ」は機能性・効率性を高めながら、整理整頓もしやすくなります。
加えて、コストを削減できるため、自分の趣味や好きな活動に予算を回すこともできるでしょう。
つまり、「スぺパ」を重視の考え方は自宅の整理整頓をしやすくし、さらには自分の好きな活動に予算を回せるようになるため、生活の質の向上に役立つのです。

ご紹介した3つ「スぺパ」のメリットのうち、重要で今後皆さんに大切に育んでいただきたいことは言うまでもなく3つめの『生活の質を高められる』点です。
今ある状況を大きく転換するといった大手術ではなく、日々の気づきと工夫によりコツコツと前へ向けて進めていただくだけで、QOLの向上が具現化していくと思っています。
読者の皆さんも、これからは小さなことからコツコツと進めていただき、QOLの向上を図っていただければ幸いです。(ま)