「あなたは70歳まで働けますか」
さて、今回の話題は、「あなたは70歳まで働けますか。」のヒントとなることに触れてみました。
まずは、現状把握からです。
【自分のキャリアに対し、自分で責任を持つ時代】
「新卒一括採用・年功序列型賃金・終身雇用」がセットになった「日本型雇用システム」の中では、 新卒で就職した会社で、会社が決めた人事異動や辞令を受け入れながら、多少の不満や葛藤はあっても「会社に職業人生を預ければ定年まで働ける」と考えることがある意味で当たり前でした。
しかし、右肩上がりの経済成長と企業の継続的発展を前提とした「日本型雇用システム」の運用が難しくなってきたことを、経団連の故中西会長やトヨタ自動車の豊田社長などが警鐘を鳴らし始めました。
実際、2019年から2021年6月時点では、上場企業の178社が40代・50代を中心に4万人以上の希望退職・早期退職を実施しています。
「自分がキャリアの主役」として、各々が自分のキャリアに対して責任をもたなくてはいけない時代に突入している自覚を持つ方が現実的です。
確かに厳しい側面もありますが、見方を変えれば、「自分の考えたキャリアを自分で実現できる時代」であり、「生涯現役で、会社の枠組みに縛られず働ける時代」と前向きに捉えることもできるでしょう。
「今までの仕事の轍を振り返って、どんな感想を抱きますか?」
「これからの職業人生を、どんな旅にしていきたいですか?」
「自分が主演・脚本・監督を務める作品を、どんなストーリーにしたいですか?」
「職業人生を締めくくった時に、どんな景色を見たいですか?」
このような問いに対し、自分の希望をある程度自由に描き、実際に実現できる可能性が出てきた「自分がキャリアの主役」という時代は、悪いことや厳しいことばかりではないと信じています。
シニア世代においては、急に声高に人生100年時代がやって来たと言われてもと、とまどいのある方が多くおられると思います。
しかし、周りの状況はその戸惑いを許してくれるほど甘くはなく、本人の意識や考え方云々より一歩も二歩も先を見据えています。
今こそこれからの人生のあり方を見定めた軌道修正、意識改革を行う時期が到来しているのではないでしょうか。
【これから必要なものとは】
「変化し続ける力」と「学び続ける力」が大変重要で、必要なものになります。
「自分がキャリアの主役」「自由にキャリアを描ける」と言っても夢見るだけでは何も実現しません。
実際には「やりたいことを実現する力」「構想を具現化する戦略」は必要です。
今後の働く世界で、自分の「ありたい姿」を実現するための重要なスキルは、「変化し続ける力」と「学び続ける力」だと考えています。
「変化し続ける力」は、今後のキャリアに関して「世の中は変化し続ける」「自分の今のスキルは、いずれ陳腐化する」という前提を持っておくとよいと思います。
ミドルシニア社員と話すと「今までの経験を活かせる仕事が分からない」「長年同じ仕事をやってきたので、新しい仕事や職場で働くことが不安」という声がありますが、今までの経験だけで今後の10年・20年が働けるほど甘い世界はなく、新しい仕事に取り組むには後ろに下がるより1秒でも早く前に出て自らを変えていくことが大変重要なことといえるでしょう。
そのためにも、全方位にアンテナを張り巡らせて、自分のやろうとすることに必要な情報やスキルを獲得し、「学び続ける力」の実践を生涯継続していく気構えを持っていただきたく思います。
【恐れずに前向きに!】
「変化を楽しむ姿勢」がこれからの人生を切りひらくことに繋がるでしょう!
「会社から言われたことだけを実直に行う」「会社に人生を預ける」ことで変化に目を背ける姿勢は、今後リスクになる可能性があります。
未来の変化を見据えて、「自分がありたい姿」に近づくために「先んじて変化を起こす」「変化を楽しむ」姿勢が必要です。
「変化を楽しむ」ためには、「日常や仕事に、小さな変化を加える」などの取り組みも有効です。
例えば、通勤ルートを毎回変える、仕事の進め方を見直す、違う人に会ってみる、社外コミュニティに参加する等、「変化することは、意外に楽しい」という経験を自分の中に積み重ねることで、新しいチャレンジへのハードルは徐々に下がっていきます。
こういった日々の小さな変化の積み重ねが経験値を育み、社会の変化に柔軟に対応できる「柳腰」の身体や精神力をつくる要素になるのではないでしょうか。
変化に目を背けることなく、しっかりと前を見つめながら、人生100年時代を楽しんで行きましょう!